Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第918夜

ゴミを出そうぜゴミをよ



 さて、宮崎のゴミ捨てで驚いたこともう一つ。
「ごみ捨て場」「ごみ集積場」がないらしい。あの、北海道あたりで「ゴミステーション」と呼ばれる、町内の区画ごとに決められた、何ヶ月かに一回、掃除当番が回ってくる、ゴミ収集車が立ち寄るあそこのことである。
 じゃ、どこに捨てるかって言うと、それぞれの家の前に出しておくのである。
 アパートなんかは、アパート単位で捨てる場所が決まってるから、見た目、集積場と変わらないのでしばらく気がつかなかったのだが、朝、通勤のために住宅地を歩いていると、それぞれの家の玄関先や駐車場なんかにゴミの袋が二、三個ポツンと置かれているのに気づいた。
 なお、最初は、無精な家だなぁ、と思ったことを白状しておく。

 この辺をもうちょっと調べてみた。
 そういうところはほかにもあるようで、相模原市の職員のインタビューが見つかった。
 それによると、家の前に出すようにすることによって、だらしない出し方をしなくなるのだそうだ。つまり、袋が破けて中の液体が漏れてるとか、ルールに合わない出し方をして収集してもらえなかった、というような場合、出した当人が困るわけである。まぁ、合理的と言うかなんと言うか。そういえば秋田では、ルールに合わない出し方をしたゴミが集積場にずーっと残ってる、なんてのもちょくちょく見かけた。やっぱり公の場ってそうなっちゃうんだよねぇ。
 なお、各戸方式の主目的がそれなのかどうかは知らない。

 どんどん方言から離れていくのを承知で続けると、収集が真夜中の地域もあるらしい。最初に見つけたのは福岡だが、上のインタビューにもあるし、東京都下にもいくつかあるようだ。
 これは、収集を朝にやると通勤通学ラッシュにぶつかるからである。ご承知の通り、収集車は大きいし、ゴミ集積場をたどって小刻みに停車する。俺も、車での通勤時、遅刻しそうなときに収集車の後についてしまってイライラしたことは何度もある。
 当然、それには「夜中にうるさい」という苦情も想像されるわけで、難しいところではある。

ゴミステーション」という言い方はなにも北海道だけのものではないらしい。ググってみると、川口岡山の例が見つかる。
 なお、豊岡では、「はきよせ」という言い方がある由。おそらく古い言い方。
 まぁ、「掃き溜め」という言葉もあるし、ゴミは掃いて集めるものなのであろう。

 東北では、ごみと言ったらなげるものだが、関西ではほうるもんである。これが「ほる」と短くなるのもよくあることだが、学校などでごみを捨てる当番が決まっている場合にそれを「ごみほり当番」などと呼んでいたりすると、よそものは誤解するかもしれん。生ゴミなんかは土に埋めたりすることもあるわけだし。

 宮城では生ゴミのことを「よごみ」と言う地域があるらしい。語源は不明だが、「汚ごみ」という解釈をしている人もいた。
 この感覚、俺には普通だが、全国的にはどうだろう。
 というのは、秋田では「濡れている」ことを「よごれている (よごいでる)」と言う場合があるからだ。

 というわけで、二週にわたってゴミの話をしてみた。
 実はこないだ、同じように秋田から転勤してきた同僚と話していて、分別を間違っていたことを知った。
 アルミホイルは「燃やせないごみ」なのであるらしい。完璧に「燃えるごみ」だと思っていた。なんかほかにもやらかしてるような気がしてきた。後で再チェックせねばなるまい。




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