Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第912夜

てげてげ宮崎出張 (前)



 宮崎に出張で行ってきた。
 そう、浅香唯様ご生誕の地、宮崎である。
   
   JR の字が赤いのが、東日本管内の住人からするとものすごい違和感。

 暑い。
 ビルの壁に設置してある温度計が 31 度を示しているのには驚いた。5 月だよ、5 月!
 こっちはお客さんのところを訪問するので背広上下なのだが、いやまぁなんの苦行かと。
 一仕事終わって寝て起きたらホテルの室内温度計が 27 度で朝っぱらからげっそりする。

 人々の会話を耳をそばだてて聞いてたのだが、なんか二つにくっきり分かれてたような気がする。
 一つは、ほぼ標準語系の人たち。こちらのほうが多いと思われる。
 もう一つは、明らかに宮崎方言である人たち。これは高齢の人も若い人も含む。
 その中間が少なかったような気がする。
 仕事先の人とはトータルで十人ほどと会ったのだが、どの人もおおむね標準語風。何人か、イントネーションだけが宮崎風、という人がいた。おそらく、ビジネスの現場や、ホテルや飲食店における客とのやりとりというのはそれが主流だと思うのだが、そういう人が少なかった、という印象。話す人の大半が標準語で、ときおり、バスの中のほかの乗客といった人の中に語彙面・音韻面とも宮崎弁の人がいる、という感じ。
 イントネーションとしては無アクセント地域なので独特なのだが、何度か、津軽弁に似てる、という印象を持った。
 ときどき、秋田弁なんかも「フランス語に似てる」「シャンソンっぽい」などと言われることがあるが、おそらく俺も似たようなことを感じたのだと思う。
 ただ、そのイントネーションがヒアリングに影響を与えたようで、語彙というか音自体が聞き取れなかったことが多かった。もっと極端なことを言えば、しばらく聞いてないと日本語かどうかも断定できない、ということもあった。

 宮崎空港は、搭乗ゲートが十を超える、台北やソウルへの定期便も発着する国際空港。したがって宮崎空港は秋田空港よりも遙かに国際色豊かである。ある団体がわーっとしゃべってるのが日本語でない可能性は秋田空港に比べるとはるかに高い。

 空港で見てて気がついたのは、空港前の道路に「○○駐車場」と大書したワゴン車が何台も止まっていること。
 帰ってから調べてわかったのだが、宮崎空港の周りには民間の駐車場がいくつもあるのだ。で、それは当然、空港からは距離があるので、旅行や出張用の重い荷物を持って歩くわけには行かない。そのワゴン車は、駐車場利用者を送迎するためのものなのだった。同様に、レンタカーの会社の送迎車も行き来しており、待ち合わせ場所もちゃんと決められている。
 そういうものは秋田空港にはない。レンタカーの店舗はいくつかあるが、送迎している様子はない。*1 秋田の場合、民間駐車場はないし、レンタカーの店は空港の敷地のすぐ横なので、歩ける距離ではある。カートならなんてことはない。

 俺の今回の荷物だとちょっと歩きたくない距離だが。
 二泊三日なので、それほど重くはならないはずだが、重かった。ノート PC を二台持って歩いたからである。一台は会社支給の仕事用、もう一台は私物。
 仕事のスケジュールが昼だけで、どうやら夜に歓迎の宴会もない様子、では夜は暇に違いない、と思った。
 が、仕事用の PC はセキュリティ面でいろいろと制限がかかっており、オタク系のホームページを見に行けないし、これみたいな私的な文章を入力したとしても、私物 PC に取り出す方法がない。
 しょうがなくて二台、である。重いだろうな、とは思ったが、予想以上に重かった。

 車社会なのはどちらも同じだが、我々は車を持っていない。公共交通機関で移動せざるをえない、ということで宮崎駅前に泊まったのだが、そこが夜は寂しくなってしまう、というところまで秋田と同じ。
 ちょっと一杯、と思って出かけたはいいが、駅前には数軒、ちょぼちょぼとあるだけ。ひろしま通りにはあったのだがどうやら地元の常連さんで埋まってる風。結局、1km ほど離れた橘通り付近まで歩いた。
 秋田駅前の場合、確かに 20 時をすぎると人通りはだいぶ少なくなるが、飲み屋は大分、充実している。1km ほど離れたところに川反 (かわばた) という飲み屋街があるのは同じだが、そこは違う。って、単なる飲兵衛自慢か。
 
 つづく。




*1
 11 月頭に帰省した時、送迎車両を見かけたので訂正 (141228)。(
)





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