Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第904夜

Let's call the whole thing off



 今月末で、現在の派遣先での業務が終了する。
 2000 年からなので、二つの世紀をまたいだことになる。俺がそこに初めて行ったときに生まれた子供は今頃中二病を発症して面倒くさい年ごろを迎えているわけだ。俺が中二だった頃のことを思い出して、うわー長ぇ、と思っているところ。
 ほかのスパンを考えてみると、俺が高校を卒業して上京、向こうで就職してから秋田に戻ってくるまでが 12 年なので、それより長い。恐ろしい。
 その 14 年なり 12 年なりの間の俺の成長と、今回の 14 年の成長とを比べてみると暗澹とした気分になる。

 そこはとある全国規模企業の秋田事業所である。働いている人の大半は秋田の人のようだが、使われている言葉はおおむね、標準語である。前にも書いたような気がするが。
 地元密着型企業ではなく、首都圏からの発注による仕事がほとんどだ、ということも影響しているに違いない。電話での会話はまず間違いなく標準語である。
 100% ではない。内輪の会話で、くだけた場面では秋田弁が混ざる。感情が出てくる、ってことである。ケンカを目撃したことはないが、笑いながらの会話だとその比率は高くなる。

 ここで切り替わるものがもう一つ。
 NHK ラジオの英語講座を聞いてるのだが、これが減る。
 聞き始めたのは去年の正月で、4 月に TOEIC を受けようと思って、その対策。
 別に一念発起、というわけではなく、どこまで錆びついてるか確認しようと思って。
 それにしたって事前準備を何もしないってのもあれなので、試験対策の問題集を一冊と、「基礎英語 1/2/3」と「ラジオ英会話」「攻略! 英語リスニング」を三か月だけ、通勤中に聞いた。
 試験も終わったし、暖かくなると通勤手段が自転車になって聞けなくなるので、「ラジオ英会話」「攻略」を残して「基礎英語」をやめ、その代わり、聞く暇が取れなかったらスキップしてもいい、というつもりで「入門ビジネス英語」と「実践ビジネス英語」を追加した。
 それと同じ。雪が積もるのに合わせて「基礎英語」を再開したのだが、雪が解けたのでまたやめる、というわけ。
 ちなみに、去年の TOEIC ではビギナーズラックが過ぎてとんでもない高得点をたたき出してしまった。次はそれより下がること必定、おっかなくて受ける気になれない。
 で、方言。
「ラジ英」は月の第5週などにいつもの、テキストを読んで聞き取ってというのとは違うやり方をすることがある。その一つが、聞き取りやすい歌を紹介するというもの。
 こないだ、『踊らん哉 (Shall We Dance)』の挿入歌“Let's call the whole thing off”が取り上げられていた。
 タイトルは、「もうなにもかもやめにしましょう」てな意味だが、歌詞の冒頭を掲げる。
   You say either, I say either
   You say neither, I say neither
 字では何のことやらわからない。CD もあるようなのでまぁ聞いてみていただきたい。カタカナで書くとこうなる。
   ユー セイ イーザー、アイ セイ アイザー
   ユー セイ ニーザー、アイ セイ ナイザー
 要するに“either”という単語は、アメリカ英語では「イーザー」、イギリス英語では「アイザー」と発音する。歌の登場人物は、他の単語も色々と取り上げて、ふたりにはこんなに違いがあるからもう別れましょう、と言っているわけ。
「基礎 3」でも、米語と英語の違いを取り上げていたようだが、クイーンズイングリッシュとまではいかないものの、標準的な英語が取り上げられることの多い語学番組で、こういうトピックが出てくるのは意外だった。「実践ビジネス英語」でもやってたが、それは「実践」だから当然、って気もするし。
「ラジ英」の 3/26 放送分では、歌では方言的特徴が消える傾向があるので練習に適している、などという発言もあった。

 講師の人たちがどんな人か、ってのは声からイメージをふくらますわけだが、俺の場合、こんな感じ。
「基礎 1」の高本裕迅氏は、作曲家の青島広志氏。
「ラジ英」の遠山顕氏は、iPS 細胞の山中伸弥教授。
「攻略」の柴原智幸氏は、「開運! なんでも鑑定団」の田中大氏。
 写真見たら思いっきり外れてて笑った。

 というわけで、4 月が区切りになる、というのも 14 年ぶりなわけだが、どんな 2014 年度になることやら。




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