Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第896夜

Super Sentou!



 で、風呂は今しがた直ったところ。故障して三週間、部品の発注漏れというアクシデントもあって、こんなにかかってしまった。

 先週、寸胴でお湯を沸かして、頭を洗って体を拭いている、と書いた。
 もちろん、寒い。風呂場にストーブを入れてやってはいたが、いきおい洗い方は手抜きになる。翌日、会社で体臭がしなけりゃ OK ってレベル。ただし、体臭の有無を判断するのは俺で、ほかの人がどう思ってたかは知らない。
 最初は、それとスーパー銭湯を一日おきかな、と思っていた。出勤するときも、お風呂セットを車に積んでいたのだが、これがまたどうにも面倒臭い。結局、トータルで四回しか行ってない。
 そもそも金がかかる。スーパー銭湯は「遠い」と思わずに済む範囲に三軒あるが、一番安いとこで \600、高いところは \850 である。故障から修理までは三週間かかったわけだが、その間、毎日行ったとすると一万円をはるかに超える。冗談じゃない。

 スーパー銭湯の場合、お土産なんかも置いてあったりするが、あるとき、おばあさんがそれを買っていた。
 で、店員が「袋に入れますか?」と聞くと、そのおばあさんが「入れていただける?」と答えたので驚いた。
 その前後の発話は、よそいきではあるが明らかに秋田弁の発音だったので、思わずそっちを見てしまった。

 話は変わるが、そのストーブは、カセットコンロのカートリッジを使うものである。
 前から、電気ストーブと石油ストーブの中間のパワーのものが欲しいと思って目をつけていたのだが、一万円もするのでずっと見送っていた。去年の暮れに、セールで七千円になっていたのでやっと買ったのだが、これが役に立っている。
 カセットコンロがそういうものだとは知らなかったのだが、温度が低いと火が点かなかったり炎が安定しづらかったりするものらしく、実際、何度か、途中で消えたりすることがあった。ガスの量が少なくなってくると起きやすい。寒いときに点かないストーブってどうよ、とは思うのだが、化学的特性だからどうしようもない。アウトドアで使うストーブ(この場合はコンロのこと) なんかにはそれ用の強力なガスの入ったカートリッジもあったりするらしい。
 じゃ、カートリッジをあっためればいいのか、って言うと、あんな可燃性のものをあっためるったってさぁ、というところである。ぬるま湯に漬ける、ということはしてみたが効果なし。まぁ、おっかなびっくりやってるのは確かだが。

 ガスの話をしよう。
 なんにも期待せずに「ガス AND 方言」でググってみてびっくり。
 ガスの語源は、“chaos”のベルギー方言なんだそうである (京都帝酸ガスに関する豆知識 Vol.001「gasの語源は?」) 。へえぇ。
 あと、ガソリンのことを“gas”っていうのはアメリカ特有の表現だそうな。これも方言ってことになる。そもそもイギリスでは“gasoline”ではなく“petrol”である。
 日本語に目を戻すと、霧がかかることを「ガスる」って言うのは北海道方言だそうな。割と普通に使ったり聞いたりしてるが、北日本で広く通用する語なのかもしれない。
 あと、ネット方言 (ジャーゴン) では「希ガス」というのがある。本来の意味は「長周期表第 18 族の物質」だが、ネット界隈では「気がする」の代わりに使われる。きっかけはミスタイプだろうか。俺も、バタバタと入力してるときに、「る」を入力するよりも先に変換キーを叩いてしまって、これを出してしまったことがあるような希ガス。

 そうそう、DYO さんから指摘をもらった。
「水を抜いてはいけない湯沸かし器」というのもあるらしい。
 機器の中に水を入れておき、凍らないようにゆっくりと循環させる機能を持った製品もある由。その場合、水が保温の役割を果たす。高い機械だろうけど。*1

 こういう生活を三週間続けて思ったのは、俺にとって風呂ってつくづくどうでもいいものだったんだなぁ、ということ。全然、困らない。
 ただその一方で、四回スーパー銭湯に行ってみて、これはこれでいいかも、とも思っている。行くたびに「ポイントカードお持ちですか」と勧められて、ゆっくりなペースで溜められるんなら、時々来てもいいかな、とも思ったりした。
 聞いてみたら、30 回来ると無料券二枚、ってことで、リーズナブルなラインかと思いかけたのだが、金額で言うと二万弱であることに気付いてやめた。風呂がどうでもいい人間にとっては、天文学的な数字である。




*1
 水は比熱の大きい物質で、温まりにくく、冷めにくい。(
)





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