Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第894夜

火曜朝の方言



 最近、本当にテレビで方言を扱うことが多い。「方言」をキーワードとして登録してある HDD レコーダーが勝手に動き出すので割とびっくりする。
 今週も二つ。
 尤も、一つは「にほんごであそぼ」なので何回に一回かはヒットするだろうが、もう一つは「あさイチ」。

「あさイチ」から紹介すると、今回は病状を表す言葉。あぁあれね、って感じ。
 が、方言間の違い以前に、痛みや辛さを的確に表現するのはそもそも難しい、ということを取り上げていた。
 冒頭で一般の人のインタビューがあるのだが「ズンズン」「ドーン」などというのが出てくる。

 俺も実体験としてある。胃が弱い、ということは何度も書いてるが、定期的に通院しているなかで、ちょっと症状に変化があった時に、なんと表現したらいいものか困ることがある。
 ここ一年ほど多いのは、「胃が重い」という状態。ズシーンというかボワーンというか。胃全体が腫れてる、って感じ。酒飲んでてこの状態になると、もういいや、って思う。それで 500ml 缶の半分を捨てたりする。不思議なのは、そういうときは決まってご飯を食べたくなること。この「ご飯」は「食事」ではなく「白米を炊いたやつ」である。「食べたいような気がする」だけでなく、実際、ちょっと食べると落ち着く。ひょっとしたら胃酸が出過ぎ、って状態だろうか。

 番組では、ペインクリ二ックの医師が登場していた。
 この人の場合、痛みを表現する言葉を自分から列挙していくのだそうである。当てはまる表現から痛みの原因を推測するんだとか。
「ズキズキ」「ガンガン」「ズーン」は炎症系の痛み、「ピリピリ」「チクチク」「キリキリ」は神経性の痛み、というような例が紹介されていた。
 医者から押し付けちゃいかん、というような風潮がある中、珍しいアプローチだな、と思った。まぁ、患者の言うことを額面通りに受け取っちゃいかん、という話もあるわけだしな。

 方言の方は弘前が登場する。と言えば、弘前学院大学の今村かほる氏らのあれだろうと見当がつく。
 ここでは、関係者と思われる人々による寸劇が流された。こんな感じ。
今こんど病院さ来たきゃぁ
体もこうウジャメデきたもんだとこで
(ゾクゾクしてきたので)
カゼだべこりゃな
もんだどごで」だと思うぞ。前にも書いたが、方言を扱うんなら、それなりの耳を持った人をアサインしていただきたい。
 ゲストが笑っていたが、失礼、と思う一方で、そういう気持ちもわかる。痛みの話してるのに「にやにや」って言われたらびっくりするよな。

「にほんごであそぼ」の方では、例の「ちゃわんむしのうた」のほかに、ワンテーマのコーナーがあった。表現だけ先に紹介する。
すまんだったね (島根・松江市)
おわるーございます (山口・光市)
かんしょな (山形・米沢)
 見当はついたと思うが、人に謝る表現である。どういう時かというと、大人数で食事をしていて、おかずの最後の一個を食べた人が、それを食べようとした人に向かって言っている。
 この着眼が面白い。単に謝罪表現を取り上げるだけじゃなくて、食事というシチュエーションを選んだのにはセンスを感じる。風景もどことなく微笑ましい。
 まぁ、子供がたくさんいる家庭でそれをやったらケン力になるかもしれないけどね。三つという数も絶妙。でも、全都道府県のも見てみたい。
 米沢の「かんしょな」が不明。ググっても十数件しかヒットしない。
 秋田弁では「きまりが悪い」という意味の「かんじょわるい」という語があり、意味的には接点なくもないような気がするのだが、ちょっと「かんしょ」−「かんじょ」の変化は難しいと思う。

 テレビと言えば、「なまりうた」。
 秋に放送したのは見終わって (やっぱり三時間かかった) メモにはまとめてある。そのうち紹介する予定だが、元旦の放送分もあるので急がないと――と思っていたら、先週、突然、別のが放送された。さわりだけちょっと見たが、なんか秋の奴の前、って感じ。えー、じゃそっちを先に見なきゃいけないのかなぁ。
 2014 第一クールのドラマは、またちょっと多くて時間が足りなくて困っている。俺の視聴スケジュールだと、一時間ドラマが三本あると辛くなるのだが、秋冬は「相棒」で枠が一つ埋まるから、いつも厳しいのだ。
 まぁ、幸い、「あ、つまんねぇ」と思ったやつがあったので (何かは書かない)、パンクはせずに済んでいる。
 パンクはしてないが、「なまりうた」を見る時間が取れない。困ったもんだ。



 と思ってたら、製薬会社のファイザーが痛みの表現に関して調査していたらしい。ここに盛り込もうと思ったが、結構、大部の内容なので後日。




"Speak about Speech" のページに戻る
ホームページに戻る

第892夜「安全装置作動!」へ

shuno@sam.hi-ho.ne.jp