正月に雪が (ほとんど) 積もってない正月は久しぶりである。おかげで、朝 4 時ごろに除雪車のゴーっていう低い音で起こされることもなくて助かった。尤も、風が強かったから安眠できたわけではないのだが。
と思ってたら、ここのところの寒波で一気に積もった。もう溶けないだろうな、きっと。
気温もぐっと下がって、金曜日は真冬日になった。こうなると、車通勤は時間が読めなくなるので、徒歩に切り替えた。そのつもりだったのだが、息も苦しくなるような猛吹雪で、うわーと思いながらバス停の横を通過しようとするとうまい具合にバスが来たので、乗ってしまった。
もちろん、それによる時間短縮効果はわずか 5 分。貧乏くさく計算すると、一分につき \30- ちと高い。
ということで、今回のネタは道路。
まずは、これ。「
あうぇーこなび」。こちらにも
記事がある。
宮古の高校生が、地元の活性化を目指して作った、街歩き用の地図。彼らが好きそうな店、飲食店や古着屋などが紹介されている。
「
あうぇーこ」は、宮城の言葉で「路地」を指す。「こ」は指小辞だが、前半は「間」「隙間」を意味する「あわい」という古語から来ているものと思われる。
もともとの企画意図は、自分たちは宮古のことを知らない、ということだったらしい。
そこに気付いたのは素晴らしい、と思う。一部の人を別にすれば、我々は本当に地元のことを知らない。
秋田の人は観光客に「秋田の面白いスポットを教えてください」と言われると「
なんもね」と答える、というようなことがあちこちで指摘されていて、「
しょしがり (恥ずかしがり)
にもほどがある」「全員が観光業のつもりで」なんて意見も上がるのだが、その前に、本当に知らない、ということもある。
県外から知り合いが遊びに来たとして、市販のガイドブックを見ずに、一日きっちりもてなせる人はそういないはず
*1。すべてはそこから始まる、と思う。
『秋田のことば (秋田県教育委員会編、
無明舎出版)』にあたってみると「
ひやこ」という語が見つかる。「
ひらこ」という形もあるが、それ以外の説明がないので『語源探求 秋田方言辞典 (中山健、秋田協同書籍)』を見てみると、「ひあわい」という解説がある。「あわい」が出てきた。
この「ひ」は「庇
(ひさし)」だそうである。庇が突出している間にある道のこと。尤も、そうだとすると「
あうぇーこ」とはちょっと意味が違うことになる。
『語源探求』には「
あわい・
あわいこ」があり、こちらは単なる「間」である。「
あわぇぁみち」という語はあるらしいが、意味は「田畑の間の小道」。
派生して「
あわいに」という副詞は「時々」という意味。
「道」として一般的に思い出されるのは「
きゃど」であろうと思う。「
けぁど」「
けど」とも言い、「
かいど」という形もあるようだが、これで「街道」だということは見当がつくであろう。だから大きい道のことであって、「
あうぇーこ」とは守備範囲が違う。
『語源探求』によれば、元々は大きな道のことを「海道」と言ったが、街道整備によって必ずしも海を通らない海道ができたので、陸路であることを示すため「街道」という語が作られたらしい。
一方
Wikipedia では、「東海道」という地域を通る道のことを「海道」とする、としている。どっちが間違い、というものではないような感じはする。
倉敷には「
ひやさい」という語がある模様。「日が浅い」「日当たりが悪い」だそうで、秋田の「ひあわい」と同じで建物の間、というイメージ。
大分では「
せど」。山陰・山陽にもあるようだが、どうやら「背戸」っぽい。これもやっぱり建物の裏側って感じ。
長崎には「
しゅうじ」という語があるが、これはおそらく「小路」。古くは「しょうじ」という言い方もあったらしいから、その変化したものだと思われる。なお、有田にある施設「
小路庵」は「しゅうじあん」と読む (
設置条例)。
んー、これはどれも、本来は人が通る目的で作ったものではない、って感じがする。「
あうぇーこ」が、店が立ち並ぶところを指すんだとすると、これらと「
きゃど」の中間に位置すると思うんだが。
市街地に積もった雪は捨てるしかない。
これ、四国とか渇水を起こしやすい地域に持ってけないか、って前にも書いたけど、コストってどうなんだろう。秋田からだといくらなんでもって感じだが、山陰や北陸とかだったら、渇水になってしまった時に市民生活に与えるインパクトと秤にかけてみる価値があるような気がするんだけどなぁ。誰か計算してみてくんないかしら。
問題は、雪を寄せないと困る地域も、水がなくて困る地域も、それをやったからってプラマイ ゼロになるだけで何か生み出せるってものではない、ってことかなぁ。