Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜



第835夜

「ラ」は「ライブ」の「ラ」



 先日、pramo のライブが行われたので行ってみた。ここは方言について語るホームページじゃねぇのか、とか言わないでほしい。ちょっと触れるから。
 自治体や団体のイベントヘの出演はこれまで何度も行われているのだが、スケジュールがことごとく合わなくて見送り続けてきた。
 まぁ、さほど興味の持てないお役所イベントにわざわざねぇ、という気持ちがあったのは事実。今回は pramo の単独ライブで、定時退社さえできればスケジュールにも問題なし、ということで初参加。
 歌ってるのを見るのは初めて。
 実は去年の夏、彼女達がコンビニでのコラボ メニューを店頭でキャンペーンしてるのに出くわしたことがある。なんだかは忘れたが用事があって急いでたので、そそくさと帰ってきてしまったが、「背高ぇ」というのが第一印象。
 あと、「アイドルとしての空気を既にまとっている」。正直、どれほどのものなのやら、と高をくくっていたのだが、立派なものじゃないですか、と思った。
 背も高いが、その分、足も長い。それぞれのシルエットもスリムで、ぴあの記事でモデル体形って書かれてるが、まさにその通り。秋田美人と言うと純和風を連想する人が多いと思うが、その対極を行く。
 歌と踊りもしっかりしていて、あちこち引っ張り凧になるのも当然、という感じ。
 一番感心したのは、途中のアトラクション部分こそ FM 秋田で一緒にラジオをやっている古谷氏が登場したものの、全体のトークと進行は自分たちでやっていて、それがスムーズだったこと。話が途切れたりすることが無い、というのがすごい。
 たとえば駆け出しのアーチストやストリートミュージシャンなどは、演奏は悪くないが、話をさせるとてんでダメ、ということがあるが、そういうのでない。色んなステージで場数を踏んだ成果であろうか。

 ちょっと期待したのだが、彼女達が秋田弁を披露する事は、ラジオでやってる Q&A「んだす/んでねす/んだがもさねす」のようなのを含め、なかった。
 ファンの若者たちの会話に聞き耳を立ててみたが、彼らも、一部のイントネーション・アクセントを別にすれば、基本的には標準語風。
 メインの年齢層は、高校生かそのすぐ上、というあたりだろうと思う。
 となると、方言はあまり使わない世代である。県外から来た人もいたようだが、それが理由ではないだろう。

 昔、若い人もみんな結構、秋田弁使っている、と書いた。
 その頃は、派遣先の都合で列車通勤をしていて、高校生達の会話を耳にすることが多く、その印象からなのだが、それとは違うことになる。まぁ今回の場合、開演までの数十分なので、ごく短時間ではあるのだが、聞いてすぐ「秋田弁だ!」と指摘できるような表現はやはりあまり使われないということなのだと思う。
「気づかない方言」というのもあることはあるが、それは多量の会話を聞いてないと拾えないものだし。

 だが、秋田弁を使う若者がいる、というのは事実である。絶えてしまったわけではない。
 で、これは全くの主観なのだが、「アイドルに熱狂するグループ」とそのグループとはおそらく重ならない。
 なんで、どういうこと、と聞かれても困る。そういう気がする。

 それにしても、「コンサート」が「ライブ」になったのっていつ頃だろうね。それほど多く行ってるわけじゃないのであれだが、80 年代には、新しい印象を持った表現として「ライブ」が使われてたって感じがする。
 ただ、その当時も、「コンサート」の様子を収録したレコードは「ライブ盤」「ライブ アルバム」だった。
 それでわかる通り、これも「ケータイ」と同じ、修飾部分だけが残った語。本来は「ライブ コンサート」だったのだろうと思う。
「ライブ」じゃない「コンサート」には、「フィルム コンサート」というのがあったが、昨今は「パブリック ビューイング」というものに形を変えている。
 これ、おそらく世代差を示す語になってると思う。俺も、意識しないで話すと「コンサート」って言うようだし。
 ただし、「ライブハウス」でやる場合は「ライブ」で、「コンサート」とは言わない。会場の違いだけじゃなくて、雰囲気も、観客数も違う。別物だ、という感じがする。

 ニュース番組の生中継が「ライブ」“LIVE”と表現されるようになったのはバブル期かなぁ。これも感覚的なもので証拠なし。それにしても「ライブ中継」って恥ずかしい表現だよね。「生出演」もなんだか下品。なんで「生中継」はいいんだ、って聞かれると困るけど。単に慣れの問題だろうか。

 会場は、この秋にオープンしたなかいち。公民館機能があって、そこの多目的ホール。ピアノ練習室があるので、その内、使ってみたいと思ったりしている。旧ダイエーに中央公民館があった頃、個人には貸さない、って言われたことあるけどね。
 開場まで時間があったので商業棟を覗いたんだが、そこの食品スーパーで買い物している会社員風の大人が結構いた。近くのホテルに泊まってるビジネスマンだろうか。あるいは、このあたりで仕事をしている人? まぁ、ちょっと離れれば民家やマンションもあるにはあるが。
 営業時間の都合か、17 時を過ぎると食料品の割引が始まるみたい。駐車場は 30 分まで無料なので実は狙い目かもよ。

 pramo は、なかいちのオープニング イベントに出演している。また、ここで公開練習をすることがあり、そうするとファンが集まる。
 まさに中央街区での賑わい創出に一役買っているわけで、この辺が、「秋田のアイドル」ではなく「秋田在住のアイドル」である意義、ということになろう。
 正直、もうちょっとテレビに出て欲しいな、と思っているのだが、そういう観点から言うと、「会いに行く」というところに重心を置くのが正しいのかもしれないね。

 それにしても、俺みたいなオッサンがもうちょっといるかと思ったが、見当たらなかった。その層への遡及はまだ進んでないらしい。
 物販会や FM 秋田での収録見学、キャップで白髪を隠したくらいじゃ行けねぇなぁ。



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