Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第733夜

方言彼女 (後)



 独立U局で放送しているため秋田では見られない「方言彼女」という番組に絡めた文章、後編。
 出演者のブログで、出演している人たちの方言ライフを覗いている。

 柚木渚は北九州市らしいが、最近、ブログをリセットしたらしく、日記が少ないため、方言関係の文章が拾えなかった。

 葵ゆりかも愛知。
 9/17 に「方言彼女」の紹介をしているが、「でらおもしろい番組になると思うもんでぜひ見てみやー(*^-')←名古屋弁(笑) 」と書いている。

 渡辺あさ美も新潟だが、これまた方言に関する日記を見つけられなかった。

 池原冬実は熊本。
 6/24 の日記で、「こゆい」について触れている。
「さっき『』も通じなかった。/『』は/血の固まりの事なんだけどな」というのもある。
「かさぶた」って説明を聞いたことがあるが、「ち」が固まって「」になる、という俗説があるらしい。

 川口真央は宮崎出身だが、ブログを持っていない。

 田井中茉莉亜は京都。
 9/28 の日記で、「収録のあいだは/京女らしく京都弁ばりばりで/はんなりってきました(^^)」と形容詞の「はんなり」を動詞化しているが、その辺りが今風のコって感じ。

 小祝麻里亜は宮城。
 10/13 の日記で、「台本を宮城の方言Verに/変換しているのです」と書いている。翻訳はそれぞれがやるらしい。まぁ、ネイティブだからそのほうがいいのかもしれん。

 滝元吏紗は北海道旭川市。
 10/10 の日記で、「しばれる」について触れている。「『しばれる』っていうのは/北海道の方言で【凍るように寒い】って意味です」とあるが、前にも書いたように、「しばれる」は単に寒いのではなく、すんげぇ寒いことを言う。

 長野静は愛媛。
 12/11 に同郷の友人と会ったときのことを書いているが、「もちろん話すときは二人とも伊予弁やけんね(笑)」だそうである。

 個々の紹介に長短があるのは、それぞれのブログでどれだけ方言を使っているか、俺がそれを見つけられたかどうかの違いであって、それ以外の理由はない。

 柚木渚は製作発表で、「何かを頼む時とかに『〜してよ』って標準語で言うよりは、方言で『〜してくれん?』みたいに言うと軽い感じがして良いと思います」と言ったらしいのだが、これがそのまんまこの番組のコンセプトになるのだと思う。
 番組では「方言を話す女の子はカワイイ!!」というフレーズもあるが、可愛い女の子に上目遣いで「〜してくれん?」と言われて抗える男はそうはいまい。
 ちょっと意地の悪いことを言うと、おそらく、「可愛い」という言葉のもつ「上から目線 (褒め言葉ではあっても、目上の人に『可愛い』は言いにくい)」と、「方言」が持つ「一段、ランクが下がってる感じ」とがマッチするんだと思う。
 したがって、「方言を話す女の子は美しい」というのは成立しづらいような気がする。
 ということを書くと不愉快に思う人いるかもしれないが、公式な場面で使われない言葉であることを考えれば、そういうイメージが定着してしまうのは当然の結果である。
 そのことと、好き嫌い、誇りが持てる持てないというのはまったく次元が異なる。そこに、この種の番組が成立する基盤があるわけ。

 今回の文章を書いてみて思ったのは、「美人って一杯いるんだなぁ」ってこと。
 一般社会における美人率より、芸能界における美人率がはるかに高いのあたりまえだが、ってことはつまり、キレイなだけでは芸能界で生き残ることは不可能なんだろうな、と改めて思った。

 それにしても見てぇな。
 どっか衛星系でやってくんないかな。
 DVD でもいいんだけど。「戦国鍋 TV」が出るんだから、こっちが出てもいいんじゃね。いや、俺はきっと買わずにレンタルすると思うけど。




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