9/2 の放送で方言を特集した
NHK の「みんなでニホン GO!」。
スタジオにいた人に、「とても」に相当する表現を尋ねた。
以下、HDD レコーダーのスロー再生とポーズを駆使して書き取ったもの。名札が映らないので、調べないとどこの表現だかわからない。
「
ぼっけぇ」は岡山。
岩井志麻子の「
ぼっけえ、きょうてえ」の「
ぼっけぇ」。
「
ちょう」は「超」だろう。「まじ」も同系。
「
わっぜぇ」は鹿児島。
「
ぶち」は山口、岡山。
「
ごっつい」は大阪。
「
がっつい」は和歌山のようだ。鹿児島の「
がっつい」は「丁度」らしいのだが「本当に」だという説明も散見される。
「
ごうげに」。ほとんど用例がないが、愛媛らしい。
「
まっこと」。これは説明いらないよな。二代目麻宮サキの土地。
「
ひっでぇ」。探索断念。悪い意味の言葉ならいくらも出てくるのだが。
「
いっちょん」は「一番」。長崎、佐賀あたりらしい。九州南部に行くと「一向に」という意味もあるらしい。
「
ど」も説明いらないだろうけど、「好きです」につく?
「
めっちゃ」もいいだろう。
「
なまら」は北海道。
「
ほんまに」は近畿。
「
ばり」は福岡あたり。
静岡の人が「
バカ」を挙げていた。秋田でも「死ぬほど」が元の「
しったげ」がある。マイナスの極とプラスの極は用意に接続する。
新潟の「
こってこと」も例は少ない。というか、ノイズが多くて除去が大変。
「
おんまく」は愛媛。初めて聞いた。そういう名前のお祭りがある由。
「
でら」は愛知。
「
でーじ」は沖縄。
「
うーんと」は岩手の方言としては微妙だと思う。
元の例文は「本当に好きです」だったのだが、陣内孝則氏は、「
ほんにすいとーとばってんくさ」を言うのに照れていた。
方言キャバレー「白いばら」の風景がもう一度映し出される。
客も一緒になって方言でしゃべっているのだが、マイクを向けられた途端に全国共通語になってしまうのが非常に示唆に富んでいる。
やっぱり、方言は生活の言語であって、改まった場面で使う言語ではないのだ。
まぁ、若い人たちはそうでもないかもしれない。場面差を認識できないだけなんじゃないかって気がしないこともないが、それは措く。
江戸時代、参勤交代でやってきた地方侍が江戸の言葉を身につけるのに苦労したとか、三河からやってきた徳川一族に取り入ろうとして三河弁を身に着けようとしたとかいうのも微笑ましいというかなんというか。当人達は必死だっただろうが。
東京の
ど真ん中は
めっちゃうざいっしょ
けど、
あすこの
三階に行ったら、
まったりしてられん
じゃん
番組中で取り上げられたフレーズ。
東京の言葉の様に見えるが、他地域の表現の塊。「三階」を「
さんかい」と言うのが九州というのは言われてみればなんとなく納得。
80 年代頃になって、方言がアイテムとして取り上げられるようになる。
「うる星やつら (1978-87)」のラムが仙台弁っぽい語尾、「スケバン刑事 少女鉄仮面伝説 (1985-86)」の五代陽子こと早乙女志織が土佐弁。三代目風間唯の宮崎は出てこなかった。
キレンジャーは九州だし、大阪は枚挙に暇がないが、「特警ウインスペクター (1990-91)」には名古屋弁を話す警察ロボットが出てくる。
なんで方言を使うのかについては、それによって自分の発現に色がつく、一定のスタンスを表明することができる、という意見。同じようなことを真田信治氏が『
方言は気持ちを伝える』で言っていたと記憶する。
陣内氏の終盤のコメントがまた興味深い。
氏は博多出身だが、東京に来てから知り合った博多出身の人たちと博多弁で話す事はないそうである。
司会の船越英一郎氏が、方言を話していた時代を一緒にすごしていた人たちと話すとき、というようなまとめ方をしていたが、東京に来てから、つまり、仕事をするようになってから知り合った人との間には、人間関係の上で一枚、薄紙がはさまっているんじゃないだろうか。まぁ、一緒に帰省するような関係にまでなれば別だろうが。