Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第691夜

出会った頃 - My Old NX (1)



 実は、先月の末に車を買い換えた。
 これがなかなか、色々と考えることのあった出来事だったので、その辺でつらつらと書いてみようと思う。

 初めて会ったのいつだったのかは覚えていないが、それは TV の CM だったから、新発売された頃であろう。ということは、1990 年頃である。
「僕はジェッター、未来からやってきた」という「スーパージェッター」が登場する CM がオタクである俺の気を引いたのは当然であろうし、その頃まだ珍しかったモーフィングによって車がクネクネと曲がったりするのもまたオタクにとっては見過ごせないものである。
 だが、なによりもそのスタイル。
 シンプル、しかし大きな瞳。
 スラっと流れるボディライン。
 後に、黒いモールが追加されるのだが、それによって印象がぐっと引き締まる。
 かっこいい、と思った。
 それが俺と NISSAN NX クーペとの出会いだった。


 まず言っておかなければならないのは、俺は車にはさほどの興味はない、ということである。
 したがって、足回りがどうとか、加速がどうとかいうことはまったく関心がない。気になるのはデザインだけと言っていい。
 その頃、まだ東京に住んでいたのだが、時折、街で見かけた。確かにかっこよかった。
 車に関する俺の感覚は 70 年頃に培われて、そこで止まっている。端的に言えば、フェアレディZとコスモ スポーツである。つまり、平べったくて先が尖っている、楔形の車だ。直角だけで描けそうなセダン タイプは今に至るまで苦手である。まして、大きなワゴンだのバンだの RV だのにおいてをや。好きな人には申し訳ないが。
 勿論、フェアレディZとコスモ スポーツが、当時の特撮番組に頻繁に登場した車である、ということは重要なファクターであろう。

 秋田に戻ってきて、車を買う必要に迫られた。やっぱり田舎では車がないと動きが取り辛い。
 こういうのは人に聞くと複雑になるもので、友人数人に相談しただけで混乱、船頭多くして、の雰囲気を感じたので、ここは好みにこだわって、ということで NX クーペにした。
 当時、既に生産は終わっており、中古を探すことにしたのだが、驚いたことには、電話帳ほどの厚さがある中古車専門雑誌でも、NX クーペは数台しか載っていないのである。後になって知ったのだが、NX クーペは、売れなかった車らしい。マイナーな部類に入るのだそうだ。そういえば、マニアックとか言われたこともあるなぁ。
 探すのは、全国チェーンのフランチャイズに頼んだので、割とあっさり見つかった。
 色は赤だったのだが、実はこれは嫌だった。いい年こいたオッサンが赤いクーペって、と思ったのである。しかし、そうそう数がある車でない事はもうわかっているから探しなおしてもらうのもどうかと思ったし、NX クーペのメインのカラーは黄色で、それはさすがに勘弁して欲しい、と思ったので赤で手を打った。
 マイナーとは言いながら、その頃には、秋田市界隈を走る NX クーペは 4 台あった。白が 2 台に青が 1 台。次第に見かけなくなって、ここ十年くらいは一人ぼっちだったが。

 忘れていたが、ここは方言の話をするところである。
「ひとりぼっち」で俚諺形があるかと思ったが、なかった。
「ひとりぼっち」と「ひとりぽっち」の対立はどうかと思ったが、それもさして話題になってない。こういう場合、「○○は○○の方言」って断言する人がいたりするがそういうのもみあたらない。
 ちなみに後半部分は「法師」である。
 辛うじて引っかかったのは、「仲間はずれ」。
 俺が子どもの頃、秋田辺りでは、「つけ」と言っていた。「弾く」のだと思う。
 愛媛では「はせだ」と言う地域があるらしい。「は」だけ重なってるが違うような気がする。「はずれる」でもなさそう。
 山形や宮城では「はめち」という形があるようだが例が少ないのが残念。
 ほかに名古屋辺りの「はば」というのが見つかる。
 最近は「はぶにする」というらしいが、どうも「は」で始まるなぁ。
「村八分」の「八分」との関連で述べている記事もあった。因みに「村八分」は「八分」が示している通り、完全な断絶ではない。

 なんでいきなり「仲間はずれ」の話題になってしまうのだ。




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