大分、暑くなってきた。
早ぇなぁ、と思ったが、もう 6 月も中旬なんだもんな。3 月あたりから続いてる業爆で感覚がおかしくなってる。平日はあっという間に過ぎ、その分のしわ寄せを食らって休日もあっという間に飛び去る。漫画読んで一日つぶす、とかいうことをしてみたい。こないだから『
劇場を世界に 』っていう外国語演劇の本を読んでるんだが、厚いとは言え、かれこれ一ヶ月。あれこれほったらかしにして読みきってしまいたいと感じられるのは、面白いほかに、忙しいことの反動もあるのではないだろうか。
しまった、愚痴になっている。
暑い話。
先月くらいからだが、足が痒い。靴下の上の方、すぼまって足に固定しようとしている辺りが。
汗疹というわけでもないのだが、帰宅して服脱いで風呂に入ると痛痒い。寝る頃に見ても痕が残ってる。鬱血でもしてるのかねぇ。
「鬱血」は静脈で血が滞留すること、動脈は「充血」。
消化器の血を吐くのは「吐血」、呼吸器は「喀血」。
「痒い」は、短い秋田弁としてよく話題になる「
け」。「かい」と言う場合もあるが、それがさらに短くなったものと考えればよい。ただし、『秋田のことば (秋田県教育委員会編、
無明舎出版)』では、「ゆ」が母音脱落を起こして「かいい」になり、さらに母音の連続を嫌って「い」が落ちたものとしている。
「
かい」は、俚諺形としているホームページも多いが、大辞林や大辞泉は「かゆい」の変形としている。確かに北海道から九州まで全国に散らばっている。
北陸には「
はしかい」という形がある。どうも、何かが当たって、あるいは、当たってる感じがして痒い、ということらしい。虫に刺されたのは
はしかくないのだそうだ。
長野あたりには「
はじかい」という形もある。
北陸放送の「石川名物 GOGOは本多町3丁目」という番組の
記事によれば、「はしか」は米とか麦の実についている毛のことだそうだ。
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「
えらっぽい」が『秋田のことば』に載っている。「えら」が「草木のとげ」だそうだ。
何かが接触して、というのであれば、「
いずい」が有名か。セーターなどもそうだし、目にゴミが入った場合もそう。
秋田では「
えんじ」という形があるそうで、『秋田のことば』では「おぞましい」との関連を指摘している。
吐き気を感じるという意味の「えずく」という語があるが、『語源探求 秋田方言辞典 (中山健、秋田協同書籍)』ではこれであるとしている。
「
えずく」も使われる場所が散らばっている。単に北や南なら周圏論分布だが関西で使われているとなるとそうもいかない。
例が少ないのだが、東北の一部地域では「
かり」というところがあるようだ。下北、宮古、米沢などが見つかった。これも「痒い」の変形だろうなぁ。
また『秋田のことば』から引っ張ると、「
えでげ」がある。想像がついた人もいようが、「痛痒い」である。
こういう合成語は最近のものかと思ったら、そうでもないのね。「痛気持ちいい」とか「エロ可愛い」とか。
昔、「痒み」は「弱い痛み」である、と聞いた記憶があるのだが、念のために
Wikipedia で調べたら、そうじゃないらしい。
「引っ掻き反射を引き起こす感覚」とあるが、「引っ掻く」って動作は「反射」だったのか! 道理で我慢しづらいわけだ。
で、その「掻く」。
「
かじる」と言うところがあるが、これまた、分布が広い。千葉、山梨、静岡、福岡、大分、熊本。
そうかと思うと近所の鹿児島・宮崎で「
かかじる」が見つかる。まぁ、同じ語だろうとは思う。
「
かじくる」になると、「かきむしる」に近くなるようである。
広島・島根には「
かぐる」がある。
「
かなぐる」という形もあちこちにある。古語辞典に当たってみたら、「引きむしる」という訳語があって、これはどうやら「かなぐり捨てる」の前半部らしい。ほぉほぉ。
それにしても、どれも「か」ではじまる。「掻」がポイントか。
土日にだらしない格好をしてると収まるので、靴下が原因なのは間違いないのだが、会社員なので平日は靴下なしというわけにはいかない。
丈の短い奴も考えた。自転車用のソックスがそうなのでわざわざ買わなくてもいいのだが (ちょっと厚いという問題はある)、そうなると冷房病患者生産工場のあの職場ではちょっと耐えられないことになるので困っている。
その前に、痕が消えにくくなってるのは老化の証拠なのかもしれないなぁ。