風呂に入ってたときのこと。
石鹸が小さくなってきたので、新しい奴を出してきた。
古い奴はサイズもさることながら、薄っぺらになっている。
それを見て、昔、「紙石鹸」ってのがあったな、と思った。
思い出したのはそこまでで、それ以外の詳細がさっぱり。
薄いのは確かだが、どこでどう使ったんだろう。学校に置いてあるとは思えないし、持って歩く性質のもんだとも思えない。駄菓子屋で売ってるオモチャかとも考えたが、一向に思い出せないので、ググってみたところ、当たり。駄菓子屋だった。俺が自分で買うわきゃないので、友達からもらったんだろうな。
今はもっとちゃんとしたのを売ってるらしい。それこそ携帯用に、マッチブックみたいに綴じてるものあるようだ。
というわけで、石鹸。
これを方言で見てみたら何がヒットするかと言うと、意外なことにご当地石鹸だった。
「
つかってみんしゃいよか石けん」というのが鹿児島にある。火山灰でできてる、って聞くと、「はいぃ?」って感じではある。名前の意味は説明するまでもあるまい。
京都には、お茶で作った「
おぶぶ」というのがある由。これも説明の必要はないだろう。
金沢には「
あんと」というのがあるらしいが、これはちと不明。「ありがとう」だ、という記事もいくつかあるが、決定打とはならず。
横浜の会社が、「
いいじゃんガスール石鹸」というのを売っている。ガスールは練りこまれている粘土の名前らしいのだが、まぁ、「
いいじゃん」を横浜方言とするのには抵抗がある。
なお、個々の商品について俺が保証だの推薦だのしているわけではない。ケチつけてもいない。リンクしてないのはそういう意味である。興味のある人は自分で探してみてください。
で、石鹸そのものを指す単語はないのかと思うのだが、ほとんどが「シャボン」系である。
「シャボン」そのものはポルトガル語から入ったもので、日本で作られたのは江戸時代。その辺は
Wikipedia に詳しい。
エゴの木のことを「
しゃぼんのき」と呼んだ由。果肉で泡が出るらしい。尤も、地域的な偏りがあるのかどうか、複数の記事を読んでみたがちょっとはっきりしない。
熊本では、汚れがおちることを「
あえる」「
あゆる」と言うそうだ。
転入者は、洗濯物があえたりするとびっくりするんじゃあるまいか。
大乃元初奈
(きのもとういな) の「おねがい朝倉さん」という漫画で、小さくなった石鹸を新しい石鹸にくっつけて使うことを「なかよしする」と表現しているエピソードがあった。
地域方言ではなく、主人公個人がそう言っているのを、つい口癖で、さして親しくない人に言ってしまって、恥ずかしい思いをする、という話。
どうも石鹸では広がりがない。
風呂関係ということで、手拭いはどうだろう。タオルじゃどうしようもないだろう、ということはわかりきっているので探さない。
これがまた商品がらみである。何かと言うと、方言土産がひっかかる。方言を染めてあるあれだ。手拭いの俚言形が見えてくるには相当に検索ページをめくらなければならない。
で、「
てのごい」「
てぬぎ」「
てんげ」あたりが多数。「手拭い」の変形なのは間違いないが、何で「の」とか「ご」になったんだろうねぇ。
地域的にはかなり広がっている。
ちょっと面白いと思ったのは「
ゆて」「
よて」系。湯で使う手拭いということらしい。今回の話題にはぴったりである。
大阪辺りでは、幼児語として「
てんて」というのがあるらしい。
これもあまり広がらない。
当然、シャンプーなんぞ調べてみるまでもないのだが、好奇心で
Wikipedia を見てみた。
洗髪の習慣がごく最近までなかったのは想像がついた。七夕に髪を洗うとどうこう、という言い伝えがあるらしいのだが、それはつまり、毎日洗う習慣がなかったからである。
で、記事の後ろの方に、福島では七夕の日に女性が頭を洗う、とかいう行があるのだが、それがどういうことかは他のホームページを当たってみてもわからなかった。
入浴に関する習慣は、地域ごとにどこか違っているのではないか、という気がする。そういうところを扱った本とかあるんだろうかなぁ。
入浴の習慣といえば、よく話題になるのは、どこから洗うか、ということ。
俺の場合、左腕である。右手にタオル持ってるんだからごく自然な話だと思うのだが、頭からって人も結構多いらしい。
掃除の鉄則は「上から下」なのだが、なんとなく頭は後回しだなぁ。ひょっとしたら、子供の頃、洗髪は入浴の数回に一回だったことが影響してるのかもしれない。
そういや、シャンプーハットとかってあったよね。今もあるみたいだけど。
と、昔のモノの話に戻ったところで、今回はおしまい。