Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第615夜

なまらナイト



ドラマ』という雑誌がある。名前の通りで、映画やドラマの脚本の雑誌なのだが、それを読んでいたら、阿部美佳という人の文章で、NHK 山形放送局の「今夜はなまらナイト」というラジオ番組のことに触れられていた。
「陽炎の辻」とかを書いた人らしいのだが、この番組に出演しているらしい。アナウンサーやテツandトモと一緒に、「なまらナイターズ」というグループを構成している。

 NHK の気合の入り方は URL でわかる。改めて書くと、“http://www.nhk.or.jp/namara/”である。山形放送局 (http://www.nhk.or.jp/yamagata/) の下にあるのではないのだ。
 さらに、その下には、投稿用、アナウンサー柴田徹、キャスター藤田千枝と、ブログが 3 つもあるのだ。力瘤が見えるようだ。
 テレビに進出したり、公開放送で眞島秀和氏をゲストに呼んだりして、なまらナイターずの紹介ページで、柴田氏のところに「思っていた以上に大きなプロジェクトになってしまい、戸惑いを隠せない」とあるが、まさにそんな感じの状況。
 山形は、直江兼続をフィーチャした来年の大河ドラマ「天地人」で盛り上がっているところ。NHK 再度としてはそれとの相乗効果を狙っているというところはあるのかもしれない。

 別に全国の番組をチェックしたわけではないが、沖縄辺りを別にすれば、おそらく方言だけで構成されている番組ってほとんどないんじゃないだろうか。
 これが山形だというのがまた絶妙である。たとえば大阪や名古屋でやったりしても、「そりゃそうでしょうね」という感じで意外性はない。北海道や沖縄も同様、東北という方言の宝庫みたいな地域の中で、強いイメージを持った青森放送局でも、大規模な仙台放送局でもない、というところがポイントなのかもしれない。
 尤も山形は、あき竹城を筆頭に方言を隠さない人はいたし、アメリカ出身の山形人ダニエル・カールという例もある。下地はあったということになるのだろうか。

 ホームページに画像がある (基本的にラジオ番組なんだが) ので何本か見てみた。
 あれがどこまで実態に近いのかネイティブでない俺にはわからないが、やはり聞いている間はずっとニヤニヤした感じになる。方言に緊張緩和の効果があるのは事実である。それが、NHK の番組なのだから効果は一層ということか。
 柴田アナのブログ“Cafe Agasuke”だが、「あがすけ」というのは、生意気、目立ちたがりというような意味だそうだ。

 東北の放送局を見てみたが、やはりこの種の番組はない。
 なんだか、独自番組の数には大きく違いがあるようだ。
 昼前と夕方のニュース情報番組は全国で枠が取られているからそれは全局にあったが、それ以外の番組があるかどうか、というところは局によるようだ。
 尤も、独自番組を定期的にできるとは限らない。シーズンごとに一本とか、月イチとかだとホームページに載ってないタイミングもあるかもしれないので、作ってないとは断言できない。
 ちなみに秋田放送局の「ひるまえこまち」では、水曜日の「すったげ!カルチャー講座」で秋田弁講座を月イチくらいでやっている。「すったげ」は前にも紹介した様な気がするが、「死ぬほど」という意味で「死ぬだけ」が変化したもので、すでにマイナスの意味はなくなっており、強調の副詞である。

すったげ」が OK なら、「この曲ヤバい (ものすごくいい曲である)」も認められてしかるべきだと思うのだがどうか。

 青森放送局では「お国ことばで川柳 なもあんだも」という番組があるらしい。これは月イチ。「なもあんだも」は「私もあなたも」。

 方言から離れるが、盛岡、仙台、福島の三局は独自のマスコット キャラクタを持っている。
 盛岡のは岩手山だろうか。典型的な「ゆるキャラ」である。
 仙台は忍者っぽい。伊達政宗、武士、忍者って連想か。
 福島のが一番カワイイ。「ふ」の字だそうである。
 なお、BS のマスコット・ななみのご当地バージョンがあるらしい。
 リンゴ、竿灯、チャグチャグ馬コ、花笠、野口英世はいいが、ドテラはわかりにくかろう。確かに泉から県境には温泉が一杯あるけどさ。

「今夜はなまらナイト」は、Wikipedia によれば、柴田アナが地元に帰ってきて偉くなったのを契機に立てられた企画らしい。
 つまり、重要なのは人だ、ということである。




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