Speak about Speech: Shuno の方言千夜一夜




第600夜

青葉まつり



 さて、今シーズンの MTB レース 2 発めにしてラスト、仙台市は泉が岳。
 それにしても減ったもんだ。以前は、真夏を除けば 3 週に 1 回、てなペースでやってたのに。ブームが去ったことのほかに何か理由があるんだろうかね。スキー場のゲレンデが傷むとか、冬に忙しいから夏に遊びに来て欲しくないとか。
 選挙で首長が替わったらなくなった、というのはあったな。

 さて、仙台市は青葉まつりの真っ最中だった。
 太鼓はこんなリズムを繰り返す。
   
 ときどきバリエーションが入っているのだが、それが一体、何回目なのか、しばらく聞いていてもわからなかった。それは、そのバリエーションが入るくらいの間、聞いていると、隣のチームがやってきてそれとまざってしまうからである。
 この大会と青葉まつりがぶつかる事は多く、何回か見た事はある。山車が出てるのと、踊る人たちがいるのは知っているのだが、確か新しい祭りだったような気がする、という程度のことしか知らないので、改めて調べてみたら、元は伊達政宗を祀った青葉神社のお祭りだったのが、昭和 40 年代に交通事情で規模を縮小して、60 年代に市民の祭りとして復活したものらしい。
「山鉾」と呼ばれる山車の数は今のところ決まっているらしい。そう言えば秋田の竿灯も「俺らもやんね?」てな感じで、思いつきで出場できるものではない。いつだったか、国際教養大学だかその前身の MSU-A だったかで出てたような記憶はあるが。
 その一つ、「政宗公兜山鉾」には愛姫が載っている。
 愛姫と書いて、「めごひめ」。
 これって東北方言じゃね?
めんこい」「めごい」ってそうだよね。
 だとすれば、訛りはともかく、方言が人の名前についた珍しい例、ってことになるんじゃないだろうか。いや、本当に珍しいのかどうかの数値は持ってないけどさ。
 この辺って、「独眼竜政宗」見てればわかったんだろうか。「梵天丸もかくありたい」が話題になってたのは知ってたけど、俺は当時、学生で、日曜の夜なんかに家にいるかよ、って状態だったので見てなかった。
 なので、「独眼政宗」ではないことは、今回まで知らなかった。
『秋田のことば (秋田県教育委員会編、無明舎出版)』によれば、「めんこい」の元である「めぐい」は、「目」が「苦しい」で、見ていられない、というのが原義だが、そこから、胸が痛むほどかわいいという意味が派生したのだそうだ。
 あれ、「見苦しい」って意味の南部の「めぐせ」ってこれ?
 すずめ踊りのチームのことは「祭連 (まづら)」と言うそうだが、これも方言っぽい。

 かっこつける人を言う「伊達者」がこの伊達政宗から来てる、ってことは有名か。
「ダテメガネ」「〜は伊達じゃない」を筆頭に、「実体がない」「フェイクである」という意味に変わってしまったが。

 ちょっと手を広げて、仙台の方言について。
 青葉まつりや伊達政宗同様、Wikipedia 情報だが、「仙台方言」「仙台弁」という呼び方が正しいのだそうである。
 その正当性は、政宗の領地が「仙台藩」であることからもわかる。

 昔、聞いたことがあって、確認しようと思ってあちこち探しているのだが、明治維新のとき、旧幕府軍について新政府に楯突いた藩は、後の廃藩置県で、県名に従来の藩名をつけさせてもらえなかったのだそうである。
 そう思ってみてみると、青森、岩手、宮城と東北諸県は県名と県庁所在地の名前が違う。秋田は奥羽越列藩同盟を裏切って新政府側についたから名称安堵。
 でも、そうだとすると、同盟結成のきっかけになった山形や福島が説明つかないけどな。ガセか。あるいは、統合を繰り返した結果か。
「青森弁」って表現には違和感があるが、それは南部と津軽がはっきりと違うからで、それとはちょっと違う事情で、「宮城弁」って言葉には問題がある、ということになる。

 で、仙台弁に戻ると、県名のせいもあろうが、今では「仙台」と言うと、仙台市だったり、政令指定都市になる前の旧仙台市だったりと、いずれその辺の(県よりも)小さな範囲をさすことが多いので、「宮城弁」という呼び方が生まれた、ということらしい。
 俺、卒論のときに作ったアンケート、仙台の友人に送って撒いてもらったのだが、「宮城弁」って書いたような気がする。

 Wikipedia には、「〜なきゃない」で義務・必要を表す表現が紹介されている。「行かなければならない」の「行かなきゃならない」が「行かなきゃない」になる。
 これは、前に紹介したような気がするが、秋田にもある。というか、秋田固有の現象だと思っていたが、ひょっとしたら仙台から入ってきたのかもしれないなあ。
 尤も、秋田の意識が東京を筆頭に都会に向いているのは事実だが、仙台の現象がどれだけ入ってくるか、それをどれだけ取り入れるのかってのにはちょっと疑問はある。

「新仙台弁」「新仙台弁二世」など面白い現象が紹介されているので、暇があったら目を通してみていただきたい。

 前回は北上で降りたり、若柳金成から乗ったりしたが、今回は仙台宮城と大和。
 一緒に行った友人の車には ETC がついている。これには、距離と時間帯によって割引がある。100km までは半額になるらしい。これを利用して、100km のあたりにあるインターで下りて、直ちに U ターンして高速に乗りなおす。すると、そこまでの区間は半額、数百円の節約になるわけだ。
 こういうのを「セコロジー」と言うらしい。本来は、「セコく生活しつつ、エコロジカルである」というものらしいが、この乗り方がエコロジカルかどうかは不明。いや、多分、エコじゃないと思う。




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