自転車シーズン終了。
これから自転車にぴったりの季節にはなるのだが、俺のところから行ける大会はもうない。
*1
例年なら青森では 2 回あるのに今年は 1 回しかない。その上、5 月の仙台の大会が雨で中止、7 月末の矢島が俺個人の事情で欠場
*2。出場回数わずかに 3 度。しかも、最後のがリタイヤ、という状況。
一説に寄れば、青森の大会が減ったのは、青森のスポーツ関係団体がカーリングに金を集中投下したからだ、とか。噂だから真偽のほどは知らんが。
自転車と言えば坂。
平坦な道をスカーっと走ったって面白みはないわけで、アップダウンはぜひとも欲しい。
中には、坂こそ命、という「坂中毒」「坂バカ」なんて呼ばれる人もいる。大概、自分でそう言っている。達成感もあるだろうし、あるいは、マラソンの「ランナーズハイ」と似たようなものかもしれない。
念のために言っておくが、彼らが夢中になるのは、「登り」の方である。自転車には、坂を登る一方の「ヒルクライム」という種目もある。
下りの方には、「ダウンヒル」というのがある。「ヒルクライム」が舗装道路であるのに対して、「ダウンヒル」は山道である。
自転車の話はこの辺にしておく。
秋田あたりでは、「
さがべら」という単語があるらしい。らしい、というのは、使っているのを聞いたことがないからだが。
「坂」はいいとして、「
べら」は『秋田のことば (秋田県教育委員会編、
無明舎出版)』によれば斜面一般のこと。指小辞の類ではないみたいだ。似た形は全国にあるらしい。
「が」は濁音である。鼻濁音で「
さか゜」とやると、「嵯峨」「佐賀」「性」になる。
この本には、「
でぁのさが」という語が掲載されている。
「台の坂」「大の坂」で、死んだ人が越えて行く坂とあるが、ネットでは見つからず。
ただ、毛馬内の盆踊りに「大の坂踊り」というのがあるらしい (
十和田八幡平観光物産協会の「
毛馬内の盆踊」)。また、「大の坂」で始まる民謡もあちこちにあるらしく関連をうかがわせる。
「坂 AND 方言」でググると、地名がやたらとヒットする。案の定と言えば案の定ではあるが。
地名は地名で面白いし、坂の名前くらいだったら、そう古くまで遡らないようだから、眉につばをつける必要もないみたいだが、やっぱり地名は難しいのよ。
台風の被害とか土木工事の手抜きとかで「のりめん」という単語を耳にすることがある。
あれは、造成の結果できた傾斜地の斜面のことだが、「法面」と書く。これを「のり面」と書かれるとものすごくわかりにくい。
土盛りを (法面ができる) して水を止めたり溜めたりしたところのことを「堰」という。
と言われれば、それはもちろん納得する。
が、「
せぎ」と言えば、それは小さな川、用水路のことである。
大して確認はしてないのだが、「
せぎ」が「川」なのか「堤防」なのか、というのはどうやら異同があるらしい。父は、貯水池のことだ、と言っていた。
勿論、「堰」という字面からすればサンズイではなく土ヘンであることから、川ではなく堤防のことだ、というのは間違いのないところだが、ここで問題にしているのは、辞書的意味・使い方ではなく、日常生活、方言の面である。
それに、「川」とは言っても自然の川ではなく、用水路など、人工的なものをさすことが多い。つまり流れを誘導するための「堰」があるわけで、関連は深い。
『秋田のことば』によれば、規模や汚れ具合によって、それぞれを「
せぎ」と呼ぶかどうかは個人差もあって線引きは難しいそうだ。俺も、流れがよどんでるようなドブ川を「
せぎ」とは呼びにくいと思う。
*3
「
せぎ」の「
ぎ」も濁音。秋田弁というか東北方言特有の音だと思っていたらさにあらず。
「堰」を「せぎ」と読む地名が、中部地方あたりに散在している。なぜそうなったのだろう。鼻濁音かなぁ。と、またしても地名に踏み込んでしまいそうになったので慌てて撤退する。
ひどいシーズンだった。
敗因は、3〜4 月の長期出張である。
会社のほうで確保したウィークリーマンションには自転車を置くスペースがなかった。マジでない。部屋の中、ということを考慮しても、折り畳み自転車も置けないのだからすさまじい。
で、むしろこっちの方が問題だと思うんだが、職場は、時流に逆らうがごとく、自転車通勤禁止。一応、エコを前面に出してる会社なんだが。
というわけでシーズンオフの 3 ヶ月+シーズン頭の 2 ヶ月、まったく自転車に乗ってない、という状態だった。その後も、その長期出張から日常生活のペースを取り戻すのに忙殺され、練習がほとんどできず。
つくづく、会社員というのは下等な生き物だな、と思ったことであった。