という具合で、目的語なしで「あだる」と言えば、それはダイレクトに脳卒中を指す。
北東北全域で「
あだる」と言うようだが、南部 (東北の南部ではなく、青森の東側から岩手北部、秋田東北部の、もと南部藩の領域) では「
ちゅぎ」とも言う。これは「中気」であろう。
全国的には、「
ちゅぶ」「
ちゅうぶ」など、「中風」の変形が多いようだ。秋田でも、「中風」そのもののことは「
ちゅぶ」と言う。
鹿児島や宮崎など、九州南部 (これは、南半分) では、「
なえる」というらしい。
「さし縄」という狂言に「手中風」という表現が出てくる、らしい。
急に手が動かなくなったことを指すようだが、これと、聖書に出てくる「手なえ」などと考え合わせて見たりする。偶然かなぁ。「手萎え」って書いてるところもあるし。
単に「手なえ」で検索すると、稲庭うどん屋が山ほどヒットしてしまうので注意。
「手打ちうどん」とか言うが、稲庭うどんの場合は「綯う」のである。縄をなうのと一緒。
そういえば、「手打ちカツ」というのが話題になったことがある。あれは一体、何なのだろうか。確かにカツやステーキは作る前に肉を叩くが、あれを機械でやっているのではありません、ということを言いたいわけでもあるまい。
妹が、「おてうちラーメン」という看板を見つけたらしい。店主は「お手討ち」という単語を知らないのかもしれない。
これもびっくりしたのだが、「冬至にカボチャを食う」と、どうなるか。
俺は、風邪を引かない、だと思っていたのだが、中風にかからない、という言い伝えもあるらしい。
非常に大雑把な印象では、関東以西が中風のような気がする。いや、関東や北日本でもないことはないようなんだが。
秋田市に
県立脳血管研究センターというのがある。
名前の通り、脳とそこの血管の病気について研究、治療する組織である。
脳卒中といえば、高血圧と酒。
秋田にできるのも当然である。
国際的にも一目置かれているとかで、成果は成果なんだが、実はあんまり自慢できることでもないんじゃないかなぁ。
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