夏季・塩見岳から北岳縦走(’56年8月)
南ア・スケッチ「塩見岳」 S.Tuchiya・・・部報“山靴”No.67 -'62/4発行- から
赤石岳と共に南アルプスの中央部に位置し、大きさこそ赤石岳に劣るかも知れないが、その山容の美しさを誇る塩見岳。「良い山だ!」。
晴れた日に太平洋の潮が見えるところから、「塩見岳」なる名前がついたらしいが、私は数度の登頂でも未だ海らしきものを見たことはない。「海なんかどうでもよい」。「山だ」。
間ノ岳から塩見岳に至る稜線、また塩見岳から荒川岳に至る間の峰々は、これと言って素晴らしい山ではないかも知れない。しかし、針葉樹の地味な峰々は、より一層の美しさをあたえてくれる。
「花」咲き乱れる三伏峠、ドサッと積った雪の峠から見る塩見の山、「山」と言う字は塩見岳を真似て造り出したのかと思うほど、美しい山だ。また白峰三山を歩いている時、いつも右側の山脈のその向こうに整った美しさを見せる山は、間ノ岳での休憩の間にでも行ってみたくなる。私は間ノ岳から農鳥岳を求めるより塩見岳の方に足が向く。
大井川の川べりは椹島から二軒小屋迄の僅かしか歩いていないが、私は大井川が好きだ。その大井川の源流が塩見沢、雪投沢である。美しい山から、好きな川が流れ出ている。
三伏峠に校舎のような大きな山小屋ができ、塩見の肩にも小屋が出来た。登山人口の増加と共に仕方の無いことかもしれないが、何となく複雑な気持ちになるのは私だけではないと思う。
山岳部の北岳集中登山に、リーダーZ氏、H氏と最長コースの塩見岳からの縦走に挑みました。
詳細は部報No.57に掲載した「山行報告」をご覧ください。
ぎょうせい社“日本の名山(6)「北岳・赤石と南アルプス」”よりCOPY (赤線は踏破コース)
7月31日
新宿発 22:15
8月1日
伊那大島発 07:30
広河原 10:00
本谷沢出合 13:20
三伏峠 16:30
三伏小屋(幕営)17:00
8月2日
出発 07:00
本谷山 08:00
権右衛門鞍部 10:00
塩見岳 13:35
〃 14:30
北荒川岳下(幕営)16:15
8月3日
出発 07:30
熊ノ平 10:30
〃 12:40
三峰岳 13:30
間ノ岳(幕営)16:30
8月4日
出発 07:30
北岳 09:10
〃 12:10
間ノ岳(幕営)15:00
8月5日
出発 05:30
農鳥岳 07:30
大門沢小屋 10:30
奈良田 14:20
西山温泉(宿泊) 15:20
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本谷山から塩見岳と仙塩尾根、白峰三山方面を望む |