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1998年6月1日号 246

結核予防法の知識

   日本では結核患者総数は減っていますが、その減少速度は遅く、人口10万人あたり罹患者数は欧米に比べはるかに多いのが現状です。既感染率の高い高齢者での多発とともに、年での相対的増加、社会的貧困層への集積などの新しい傾向がみられ、治療中断の多い層の発病頻度不明が相対的に高くなっています。

 既感染率の低下を反映して、集団感染の増加、院内感染の増加などがみられており、接触者検診の重要性が増しています。米国と異なり、他剤耐性結核の増加傾向はまだみられていませんが、局所的には他剤耐性結核による集団感染などの報告が現れ始めており、今後の動向を見守る必要があります。


 結核予防法は69条からなり、5つの大きな柱があります。すなわち1)健康診断、2)予防接種、3)患者管理(届け出、登録、訪問指導)、4)伝染防止、5)医療(結核審査協議会)で構成されています。

*公費負担と「結核医療の基準」

 1996年4月にピラジナミド(PZA)を含む4剤併用療法の導入など一部改正が行われました。
公費負担の対象は薬剤、検査、処置のそれぞれに承認範囲が示されており、結核患者に要したすべての治療費が負担されるわけではありません。

*審査のポイント

 申請された書類に基づき保健所の結核審査協議会では以下の点に留意して公費負担の可否を審査しています。

1、診断:菌の検出の有無など結核と診断するに確実な根拠があるか。
2、治療内容:「結核医療の基準」に沿った標準的な治療であるか。イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP),を加えているか、逆にINH単独などの変則的な治療でないか。
3、治療期間:標準的な6〜9ヶ月の治療期間か。(初回治療で1〜2年も継続することはないか)

 最近感染を受けた可能性が高い人や結核発病のリスクが高い人にINHを与薬して、結核発病を予防することが行われます。結核予防法では制度上「初感染結核」(“初”)の診断名を用い、公費負担の対象となる。なおこれは病理学上の概念の初期変化群あるいは肺門リンパ節結核などの初感染結核とは異なります。

 化学予防の対象者は結核予防法では0〜29歳までとされています。医療従事者等などでリスクの高い場合、必要に応じて30歳以上に対しても化学予防が行われることがありますが、その場合は公費負担の対象とはなりません。

 結核の周囲への感染を予防するため命令入所の制度があります。命令入所の適応となる結核患者は(1)菌陽性の肺結核患者、(2)咽頭結核で喀痰中に結核菌を認めるなど特に感染性と考えられる肺外結核患者、(3)病状、経過から菌陽性と考えられる空洞性肺結核患者です。

 ここでいう菌陽性の肺結核患者とはほとんどの場合喀痰の塗抹検査で陽性の患者を言います。このような患者は国立療養所等の指定病院への転院が必要となります、ただし、外来治療開始後しばらく経過した時点で、培養検査の結果で菌陽性と判明してもその時点で命令入所とする必要はありません。

<ポイント>

・結核と診断したら〜「患者発生届」を2日以内に最寄りの保健所長へ

・結核の治療は医療費の公費負担制を活用

・治療終了後の経過観察は〜管理検診と結核定期病状調査

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追加記事

出典:JJSHP 1998.12

<結核感染の危険は高くなっている。>

 結核は飛沫感染によって起こる。喀痰検査で抗酸菌が顕微鏡的に認められる結核の患者の咳、痰に含まれる結核菌を吸い込むことにより、感染します。一度感染すると、新たな再感染はエイズ患者意外では稀と言われてきましたが最近、かつて結核を発病した人の間に外来再感染発病の報告が散見されるようになりました。

 感染した人のうち発病するのは約1割で、その半分弱が感染性のある結核になります。平均するとその人が1年間菌を出し続けると感染させるに人数は10人程度(人によっては100人以上)です。感染後、多くは6ヶ月以降から2年以内に発病しています。

 既感染者の少ない現役世代(20歳で2%、30歳で4%)では、ひとたび排菌する結核患者が発生すると、周囲の人で新たに感染を受ける確率が高くなり、1980年代以降集団感染が頻繁に報告されるようになりました。(40歳12%、50歳30%、60歳60%)

 病院では、器官内挿管や気管支鏡検査など咳や痰を誘発する手技が一般的になり、1980年代以降院内集団感染事例の数が増えてきました。看護婦の結核罹患率は同年代の平均よりも高く、特に20〜30歳代では3倍となっています。


[耐性菌]〜 薬剤感受性検査結果が出るまで1ヶ月以上かかります。

2002年追記

 それぞれの薬剤の耐性の分子機構は徐々に解明されていて、特にRFPではRNAポリメラーゼのベータサブユニット変異で、その遺伝子rpoBを検索することで迅速診断が可能となっています。


 未治療耐性性がイソニアジドで3.7%、RFPで1%以下という数字はヨーロッパ先進国の平均的な結果と同程度です。

 現在の結核医療の基準では、INHとRFPの6ヶ月の治療が標準、喀痰塗沫陽性の場合ピラジナミドを最初の2ヶ月加えるか、使わないときはINHとRFPを9ヶ月使います。

 INHかRFPが耐性の場合はこれでは不十分で他の感性薬剤を含んだより長期間の個別的な治療が必要となります。

 過去に結核の治療歴があるものでは、INHとRFP両剤に耐性のある者の割合は12%と高くなっている。

 ニューキノロンが耐性菌や副作用で標準的な抗結核剤が使えないときの、EBやエチオナミドに次ぐ薬として広く使われてきています。

 結核以外にも広く使われているため抗結核薬として医療の基準にのらず結核の治療の中では非定型的な扱いを受けていますが、実際に使用するときには使用歴を知ることが難しく治療開始時に感受性の有無の推測が難しく、今後の未治療耐性の頻度の動向が気になるところです。

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2002年8月15日号 No.343

結核と免疫

    {参考文献}大阪府薬雑誌 2000.2

 結核に感染しても全員が発病しないのは宿主の免疫力で結核菌の増殖を抑制することができるからです。それは結核免疫を担当するCD4-T細胞が破壊されるHIV感染者では結核の発病率が高いことからも良く分かります。

 結核に感染した場合、HIV非感染者の発病率は一生の間で5〜10%にすぎませんが、しかし「なぜ健常人の中で一部の人だけが発病するのか?」その理由はよく分かっていません。一説によると、初感染当時の宿主の細胞性免疫形成能によるとの考えがあります。

 結核菌が肺に侵入したとき結核免疫が速やかに形成され、肺の小さな病変(初感原発巣)と所属の肺門リンパ節病変のみで終った人は後日の結核発病はほとんどないと考えます。しかし、結核に対する免疫の獲得が遅れると菌が増殖・拡散し、肺門リンパ節から縦隔リンパ節、さらには静脈リンパ節を経て、ついには血行散布がおこります。

 血行散布した菌量が多いと粟粒結核等になります。一方、血行散布した菌量が微量の場合は将来肺結核の原因となる小さな病巣が肺尖部に形成されますが、一旦は免疫力で菌の増殖が抑えられ自然治癒します。しかし後日、何らかの要因で免疫力が低下したときに菌が再び増殖を始めて発病すると考えられています。

 したがって、結核の発病には初感染当時とその後の免疫状態の両方が関与していると考えられています。

 一般に結核に感染し特異的な免疫を獲得した場合は、ツベルクリン皮内反応検査(ツ反)が陽性となります。しかし、わが国ではほとんどの人がBCG接種を受けていますので、ツ反が陽性となってもBCG接種と結核の自然感染との区別が困難です。しかし、結核に感染すると反応が大きくなることを利用して、一定の大きさ以上の時は結核感染の疑いが強いと考えます。

 ただし、一度結核に感染すると長年月にわたりツ反陽性が続きますので、一度ツ反が強陽性となった方に繰り返しツ反を行うことは診断的には意味がありません。


※ ツベルクリン幼児では、廃止

 平成17年4月から、BCG接種が6ヶ月未満(これによりがたい場合は1歳未満)の子供にツベルクリン反応(ツ反)検査ををせずに直接行われるようになりました。

 これは、このような小さな子供では、結核感染を受けている確立は極めて低い(推定で0.02%以下)ので、わざわざツ反をして結核感染をしている子供を見つける必要は無いとの考えによるものです。

コッホ現象

 コッホ現象は、結核の感染がある人にBCG接種を行った場合に接種した部位を中心に起こる反応のことで、接種されたBCG菌に対して前から出来ている免疫が強く作用して(一種の防御反応)起こるものです。

そのため通常より早期に(接種後1〜2日から、遅くても10日まで)、またやや強く反応が出ますが、治り方も早く、接種後2週間から1ヶ月で治ってしまいます。

※ コッホ現象が見られた被接種者への対応(1)

 普通治療はいりません。化膿が強く、入浴後膿が出るようなら清潔なガーゼを当てておく。ただし、反応が起こってから膿瘍・潰瘍が治るまでに4週間以上もかかるなど経過が長引く場合には、混合感染の可能性もあるので、抗生剤の内服、塗布などの対応が必要です。保護者には治りも早いので心配しないようによく説明します。

 しかし、コッホ現象は結核感染を意味します。したがって、その反応が見られた被接種者には、そのための検査を受けるように指導する必要があります。その時点で結核を発病している可能性もあり、また発病していなくても発病予防の内服(化学療法)を行う必要があります。

※ コッホ現象が見られた被接種者への対応(2)

 接種医療機関は、コッホ現象が見られた場合、その情報を所定の様式によって市町村に報告します。市町村はこの報告を受け取ったら、保険所に報告します。これらの報告に際しては、保護者の同意が必要とされます。

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<用語解説>

ガフキー

 喀痰などの材料の塗抹染色標本における結核菌(抗酸菌)の多少を表す基準

 観察に用いる顕微鏡の倍率、各号数の示す一視野中の菌数は原法に多少の修飾が加えられて、10段階に分けられています。(ガフキーはドイツの細菌学者)

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MAC
MAC症
Mycobacterium avium complex

  出典:日本病院薬剤師会雑誌 2002.9

 非結核性抗酸菌(非定型抗酸菌)のうち分類学的に近縁のMycobacterium avium とM.intracellulareを一括した名称で、両菌種は性状が類似し、DNAレベルで鑑別は可能ですが、臨床症状に明確な差がないことから、この名称が使われています。

 非定型抗酸菌は自然環境の水、塵、土壌等に生息しています。
ヒトからヒトへの感染が無く、結核菌と比較して日和見感染菌の性質がより強く現れています。特にMAC症はこの傾向が顕著で全非定型抗酸菌症の70%を占めています。

 MAC症は、主に肺結核類似の空洞の形成や気管支拡張症様のものとに大別されます。

 近年、MACが注目される理由は、AIDS患者に播種性感染症を引き起こすためです。更に問題になるのは、抗菌薬に感受性が低く難治であることです。

 治療薬として、クラリスロマイシンを主役とし抗結核薬を併用します。反応しない場合には、保険適応は有りませんがニューキノロンやアミカシン等も併用されます。

 最近は、国内でもアジスロマイシンがAIDS患者のMAC症の治療薬として適応症が追加が追加されています。


薬はどこまで効くのか

シリーズ癌治療を考えるH  


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2001年3月15日号  NO.310

ツベルクリン反応についての最近の知見


 ツベルクリン反応も細胞性免疫反応の代表的な1つで、Tリンパ球、マクロファージ、NK細胞などが結核抗原に対して反応した結果を皮膚で観察していると言えます。

 これらの細胞は、その活性の発現あるいは細胞間の情報伝達のためサイトカイン(生理活性物質)を産生しており、結核の免疫でも種々のサイトカインが関与しています。


 ツベルクリン反応の機序は、結核菌に感染した患者の体内にある結核特異的Th1細胞が結核菌の代表的な蛋白抗原である精製ツベルクリン(PPD:purifid protein derivative)によって刺激されたときに惹起されるものです。すなわち、PPDを皮内に注射するとマクロファージがPPD抗原を感作Th1細胞に提示して抗原特異的炎症反応が始まります。

 種々のサイトカインやケモカインが産生され、注射部位にTリンパ球やマクロファージなどが集積する結果、特徴的な組織像が形成されて、それが発赤や硬結として観察されます。

 患者が結核菌に感染していなくて結核特異的Th1細胞が存在していなければ、このような反応が起こらないため発赤も硬結も見られません。ただ、ウシ型結核菌の弱毒株であるBCGを接種したり非定型抗酸菌に感染したりすると、これらの菌は結核菌と同じ様な抗原を多く持っているため、ツベルクリン反応が陽性となります。

<ブースター現象>

 ツベルクリン反応は1回目の検査の後1〜5週間ぐらいの間に再度検査を行うと、2回目の反応は1回目の反応に比べて大きく成るブースター現象が見られます。

 これは、結核抗原に感作されたTリンパ球が、PPD抗原で刺激され活性化されたところに、2回目のPPDがそれを刺激してさらに大きな反応を引き起こすためです。


 ツベルクリン反応検査の後、結核感染源との接触が疑われて再度検査を行ったときに1回目より強い反応が見られた場合、新たに起こった感染によるものかブースター現象によるものか判断が難しく、日本結核病学会は医療関係者の雇い入れ時の健康診断で「1〜3週間の間隔をおいて2回ツベルクリン反応検査を行い、2回目の反応をその後の検査に対する対象として記録する」とし、二段階試験を薦めています。

 院内で、結核患者が発生し、定期健康診断で実施したツベルクリン反応の発赤径が30mm以上有り、かつ前回(雇い入れ時の対照など)の反応よりも10o以上大きくなった場合に最近の感染の可能性が高いと思われます。

 二段階試験の問題点の1つはその検査対照です。学会の提言では、1回目のツベルクリン反応が強陽性者以外のものに再度ツベルクリン反応検査(二段階試験)を行うとしているため、実際には発赤径30mm未満で副反応の無いものを対照としているようです。しかし、病院職員では1回目の反応で30mm未満でも副反応を伴う例が多く、検査に際しての不快な反応を少なくするために、発赤径を20o未満の者を対象にしている場合もあります。また、反応の計測が不安定になりやすい発赤径だけでなく、硬結径も参考にすべきだという意見もあり、今後の検討が必要です。

<ツベルクリン反応診断上の注意>


 PPDに対する反応性は、結核菌感染後数週に成立すると言われていますが、個人差が大きく、また、HIVなどのウイルス感染や免疫抑制剤などの種々の因子によりツベルクリン反応の減弱がみられるため注意を要します。

 臨床的には結核を疑うが結核菌を検出できない患者の場合、BCG未接種でツベルクリン反応の発赤径10o以上であれば結核の可能性が高く、BCG既接種者では、参考となりません。発赤径が10o未満の場合で、下記ような要因のない患者では結核はほぼ否定できます。

*ツベルクリン反応で偽陰性を呈する原因のうち被験者自体に関する要因

感染症:ウイルス(麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、HIV)
   :細菌(腸チフス、プルセラ症、発疹、チフス、レプラ、百日咳、重症結核、結核性胸膜炎)
   :真菌(南米プラストミセス症)
生ワクチン服用:麻疹、流行性耳下腺炎、ポリオ
代謝性障害:慢性腎不全
栄養:重篤な蛋白結合
リンパ臓器疾患:ホジキン病、リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、サルコイドーシス
薬剤:副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤
年齢:新生児、高齢で過敏性が減弱した患者
最近の結核感染、非常に強力な結核感染
ストレス:手術、火傷、精神障害、移植反応


{参考文献}治療 2001.1

関連項目 ツベルクリン製剤

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クォンティフェロンTB-2G
クォンティフェロンTBゴールド(QFT)

精製ツベルクリンに含まれる蛋白質の多くはBCGと高い類似性を持つ為、ツベルクリン反応は既接種のBCGの影響を受け、結核未感染でも陽性になることがあります。

最近、既接種のBCGの影響を受けずに結核感染の診断を行うクォンティフェロンTB2Gが開発され、保険適応となりました。

これは、2種の結核菌特異抗原を用いて全血インターフェロンγを測定する簡易測定キットで、感度89%、特異度98%と優れた成績が得られています。

最近は、抗原を3種類にしたクォンティフェロンTBゴールド(QFT)が使用されています。

ツベルクリン反応検査を短期間に2回行うと、2回目が増強される現象が現れますが、QFTではこのようなことはなく、職員の採用時検診で行う医療機関も増えています。

        出典:治療 2010.12


難治化の原因はステロイド?!

ステロイドを考える(2)

{参考文献}治療 2000.9
 このシリーズは、新潟大学医学部医動物学の安保徹
教授が「治療」に1999年から2000年にかけてに連載されておられたものを再構成したものです。

 ステロイドやNSAIDsを長期使用することによって、炎症が悪化します。

 身体の組織は、色々な原因によって障害を受けます。例えば、寒冷による血流障害(しもやけ)、筋疲労による血流障害(椎間板ヘルニア)、物理的力による組織障害(外傷)、熱や紫外線による組織障害(火傷)、アレルギー反応による組織障害(アトピー性皮膚炎、気管支喘息)などでは、血流障害や組織障害の極期には、その局所や全身が交感神経緊張状態になっています。

 この血流障害や組織障害の部位には顆粒球が集まってきて破壊された組織を取り除く働きをしますが、この過剰反応は自らの組織を自分でさらに傷つけることになります。そして、生体がこのような状態から逃れようとする反応が次に引き起こされます。これが、副交感神経反射あるいは治癒反応です。

 この時、プロスタグランジン、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミンなどが分泌され、血流が回復し組織の治癒が進みます。しかし、これらの物質は血管拡張や発赤、痛みを生み出し炎症として現れます。

 このような反応が十分起こると、組織は修復され正常あるいは健康な状態に戻ります。しかしこの副交感神経反射が強く起こりすぎた時は、「虚血後再灌流」とも呼ばれる反応となります。

 この治癒反応をゆっくりと進める意味で、ステロイドやNSAIDsの使用は有用です。ところが、これらを多量あるいは長期使用した場合には、逆行反応を引き起こすことになります。これが、アトピー性皮膚炎の難治化や腰痛の難治化です。



            治癒反応(副交感神経神経反射)

              痛み、発赤、炎症 

            PG、Ach、セロトニン、ヒスタミン
血流障害、顆粒球増多−−−−−−−−−−−−−−−−−−−→
(交感神経緊張)                      正常、健康
          ←−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
             逆行反応(ステロイド、NSAIDs)

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