みんなの広場
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 アクセスされた方々との交流の場です。今月は次の三項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「12 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。
 朝夕はかなり涼しくなりましたが、日中はまだ暑い日が続いています。月の後半は、梅雨のように雨の降る日が続き、また時には夕立のように激しい雨が降りました。
1. 「今月の追加内容」など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  「右脳に偏る現代人-竹岡俊樹さんに聞く」という記事を採り上げました。日本の学問を根底から問い直す必要があるというのが氏の主張です。
2. 8月のトピックス
 8月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 UENO JAZZ INN'08
  8月2日、上野公園不忍池畔、水上音楽堂での公演を、友人と聴きに行きました。
 2.2 軽井沢
  2泊3日で家内と軽井沢に行って来ました。右の写真はその際、訪れた美術館無言館の正面です。
 2.3 三原 研・鯉江良二展
  お二人の陶芸展を家内と見に行きました。
 2.4 コロー展
  上野の国立西洋美術館で開かれている展覧会を見てきました。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1. 「今月の追加内容」など
 1.1 「今月の追加内容」
 「5 本の紹介」に追加した「122 生物と無生物のあいだ」は、誰でも興味のある主題を、読みやすくまとめたものです。
 「8 ウオーキング・旅行」「37 アメリカ東海岸 美術紀行」の「6. 第5日 ワシントンーフィラデルフィアーニューヨーク」にマンハッタンの地図の見方を追加しました。
 「9 趣味」「3. 美術」「2. 絵画作品集」に追加した「27 バラ」は、2008年4月)のグループ展に出品した油絵(4作目)のご紹介です。これで出品作のご紹介は一段落しました。
 「11 興味あるリンク」には、「4 知人・友人のホームページ」に「4.9 矢口 紀義氏」を「10.1 陶芸」に「10.1.11 酉福(ゆうふく)」を追加しました。矢口 紀義氏は最近NMCに入られた友人です。酉福は少し古い情報ですが、このページの2.3項で採り上げた三原 研氏の作品が見られるので追加しました。

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 1.2 新聞の記事から 「右脳に偏る現代人-竹岡俊樹さんに聞く」
    論理的思考を鍛えよ 欠陥ある日本の学問
学問は本来、役に立つものである
 「『オウム真理教事件』完全解読」という刺激的なタイトルの本を著したかと思えば、教え子の女子大生にどうしたらブランド志向から抜け出せるかを考えさせる。旧石器の研究が専門とはとても思えないが、焦点は定まっている。「今の日本はこれで良いのか」との問いかけである。
 竹岡俊樹さんの名が一般に知られるようになったのは、2000年11月に発覚した旧石器発掘ねつ造問題。それまで誰も耳を貸そうとしない中で疑惑を指摘し続けた。
 「年代が地層と石器から50万年前と推定されていましたから覆すのは大変でした」
 問題発覚から間もなく8年。今や考古学の権威は失墜し、学生が集まらない状況が続いている。ところが、考古学界が変わった様子は一向にうかがえない。
 「何も変わっていませんよ、考古学の世界は。自分たちが問われたと思ってもみない人がたくさんいる。今後は石器をきちんと観察するようにしようといっても、日本では方法論が確立されていないから教えようがないのかもしれません」
 7百万年間の人類の進化と人間の成立、を石器の分析によって解明することを研究テーマとしてきた。その結果得られた「きわめて特殊な過程を経て形成された生物」という人間観を基礎として、現在の社会現象を分析する。
 「学問には直面している現実を分析する力があります。データを集めて分析し、そこから問題解決への手がかりを見つける。オウム真理教のようなカルトが出てくる社会背景を探るのも、石器を分析するのも同じことです。あの本を書いたのは、納得できる分析が他の学問からは示されなかったからです」
 研究の素材としたのは教団が発行したパンフレットや元信者の手記、新聞・雑誌の記事などだった。そこからオウム真理教とは何か、何がオウムを生み出したかを探った。内容は実証的だ。「読んだ人が検証を試みようとすれば、何に当たれば良いかすべて記した。学問は検証できなければ蓄積できませんし、発展もありません」

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日本の学問を根底から問い直す必要がある
 考古学を志したのは15歳の時。1949年の群馬県岩宿遺跡の発掘に始まる旧石器時代研究にあこがれて入った大学の考古学教室だったが、物足りなさを感じてフランスに留学した。
 「フランスには世界中から学生が集まります。明確かつ客観的に表現しないと理解されません。石器の見方も徴底的に教える。博士課程の授業は朝から夕方まであり、その後、夜8時から10時まで先生と一緒に石器を見た。時には土、日曜日にも。それを1年間やるとどんな人でも石器が見られるようになります」
 「学問はそれぞれの国の文化の上に形づくられるものですが、研究対象を厳密に観察して記述する作業は、文化の多様性を超えて、学問の基礎として普遍的なものです」
 どれだけ客観的な説明ができるかは、すべての分野の学問に共通する課題である。日本の学問に、そうした問題意識が欠落しているのは、成り立ちとも関係している。
 近代以降、考古学をはじめとして外国から移入された学問は、既成の枠組みをそのまま使って日本語に翻訳し事足れりとしてきた。が、日本の具体的な資料を分析しなければ現実の日本を知ることはできないし、直面する問題を解決することはできない。
 「日本の大学で教える学問、中でも人文科学で『これは役に立つ』という研究にめったにお目にかかることがないのは、学問に対する姿勢の問題です」
 とりわけ80年代以降、学問も消費の対象となって、あそび感覚のものが流行し、学問に対する真摯(しんし)な姿勢も、現状に対する批判精神も失われた。

感情に偏らず、自己を論理的に考えられる人間をつくることが大事
 今や、日本という国全体が"漂流"しているのである。しかし、流れのなかにいては漂流していることに気づかない。具体的な資料(証拠)を集め、意識的に対象化(自分から切り離す)する以外に、「流れゆく大河を岸から眺めることはできない」と説く。
 「日本全体が感性に流されてしまっている。それを変えてゆくには、感じるものを言語化し、論理的に把握する訓練が必要です」
 このため約20年前から、教えている大学で学生たちと「ある作業」を続けてきた。街へ出て自分の目で観察し、感じたことを報告させる。どうしてそのように感じたかを考えさせるのだ。これまで一方的に感じてきたことを初めて思考の対象とし、なぜそのように考えるかを問う。
 「その作業を繰り返すことによって学生たちは感じる主体、つまり自分を思考の対象とし、自己を取り巻く文化を自分自身でとらえるようになる」
 「2百50万年に及ぶ石器製作の果て、20万年前のころに人類は自由に動く手と、機能分化した左石の脳を獲得した」。感性やイメージをつかさどる右脳と論理をつかさどる左脳。そして人類が「自己」を考える対象としたとき、自分自身のことに悩む人間が現れた。
 「この人類の進化という観点からみれば、今後我々が行うべきことは、感性や感情に偏らず、自己と他者とを論理的に考えられる人間をつくることです」
 すでに欧州では、教育の本質が知識の記憶ではなく、考えることにあるとして、自己を客観化するための教育に力を入れ始めているという。
 「何としても(ねつ造問題の)後始末がしたい。考古学のレベルをアップすることで他分野の学問を刺激できれば……」
(編集委員 松岡資明)

 たけおか・としき 1950年京都府生まれ。明大卒、筑波大歴史人類学博士課程単位取得退学後、パリY大学に。パリY大学博士(先史学)。共立女子大学・国学院大学非常勤講師。著書に「石器研究法」「日本民族の感性世界」「『オウム真理教事件』完全解読」「旧石器時代の型式学」など。
(出典 日本経済新聞 2008.8.21 夕刊)

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2. 8月のトピックス
 8月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 UENO JAZZ INN'08
  上野公園不忍池畔に、水上音楽堂「みずどりのステージ」があります。毎年開かれているようですが、今月友人と初めて聴きに行きました。浅草JAZZコンテスト・グランプリグループセッション、審査委員ピックアップバンド、見砂和照と東京キューバンボーイズ、寺井尚子+古野光昭スペシャル・カルテットの演奏がありました。懐かしいビッグバンド、東京キューバンボーイズも良かったけれど、最後のジャズ・ヴァイオリンの寺井尚子は初めて聴きました。ヴァイオリンでジャズというのも、面白い発想で、改めて見直しました。
 戦争の末期から終戦後の青春時代を、上野公園前近くで過ごしたため、不忍池は懐かしい場所です。
 2.2 軽井沢
  この数年来、夏を軽井沢で過ごす友人を訪ねて、出掛けることが習慣になりました。昨年までは北軽井沢にあるヒュッテにも泊まっていたのですが、今年は軽井沢だけにしました。移動は車で、二日目の午前は塩田平の美術館無言館と信濃スケッチ館を訪れ、午後は友人宅に別の夫妻と3組の夫婦が集まり、友人の手料理で楽しい一夜を過ごしました。三日目は午前中、軽井沢銀座をぶらついて買い物をしました。
  長野新幹線ができ、軽井沢までは1時間で行けるようになりました。別荘地を歩いたり自転車で巡るときは電車で良いのですが、遠出をするには、やはり車が便利です。
 2.3 三原 研・鯉江良二展
  三原 研さんは、2007年度の日本陶磁協会賞を受賞しました。生まれ故郷であり工房を開いている出雲の風土を、作陶の基にしています。装飾性を排除した素朴な造形です。彼は「柘器(せっき 柘は木偏ではなく火偏)」という独自の作品を作っています。今回の展覧会はせっ器が中心ですが、米メトロポリタン美術館、英ヴィクトリア&アルバート美術館で買い上げになりました。出品されたせっ器は形も肌も独特のもので、一度眼にしたら忘れることができないと思います。
  同時に同協会金賞を受賞した鯉江良二の作品も展示しています。
  銀座の和光は建て替え中なので並木通りに並木館があり、そこのホールで陶芸展が開かれています。
 2.4 コロー展
  カミーユ・コローは19世紀のフランス画家(1796〜1875)です。彼は若い頃から3回イタリアを旅行し、フランス国内も広く旅しています。アカデミックな風景画家シャミロンやベルタンに師事し、詩情あふれる森や湖の風景画で知られています。他方では「真珠の女」「青い服の婦人」などの人物画も描いています。
 ルーブル美術館所蔵の作品が中心ですが、国内は勿論、世界各地から良い絵を集めて展示しています。名画の鑑賞は自分が描く立場で見ると興味が倍増します。

3. 来月の予定
 来月は次のような項目を予定しています。
 3.1 本の紹介
  米国で購入した絵本"Vincent's COLORS"をご紹介したいと思っています。
 3.2 ウオーキング・旅行
  今月、軽井沢から足を伸ばした塩田平にある二つの美術館「無言館」と「信濃デッサン館」をご紹介したいと思います。
 3.3 リンク集
  「興味あるリンク」を、少しずつ追加したいと思っています。

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[Last Updated 9/30/2008]