みんなの広場
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 アクセスされた方々との交流の場です。今月は次の三項目を取り上げました。先月の「みんなの広場」は「12 改訂履歴とみんなの広場(バックナンバー)」に移しました。

目 次 
 池上梅園の梅がほぼ満開です。暖かい日と寒い日が交互にやってきます。今年は春が早いような気がします。
1.今月の追加内容など
 1.1 今月の追加内容
  今月追加した内容の、ご紹介です。
 1.2 新聞の記事から
  この一月の間に読んだ記事の中で、ご参考になると思われるものをご紹介します。
2. 2月のトピックス
 2月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 上山さんのライヴ
  久しぶりに上山さんのライヴに家内と行きました。
 2.2 スキー
  今月は2回スキーに行きました。
 2.3 江戸東京博物館のジャズ
  2月14日に両国にある江戸東京博物館でライブ&レクチャーがあり、聴きに行きました。
 2.4 幕山観梅ハイキング(右の写真は、斜面に拡がった梅の木です)
  湯河原の近くに幕山という小山があり、V Age Clubの仲間と梅を見に行きました。
3. 来月の予定
 今、来月に向けて計画していることを、お知らせします。

1.今月の追加内容など
 1.1 今月の追加内容
  村上龍氏の「働くということ」は新聞記事の紹介で、氏の書かれた「十三歳のハローワーク」の紹介を兼ねています。
  村上春樹氏の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は、野崎氏訳の「ライ麦畑でつかまえて」の原著の新訳です。
  英語版をほぼ4年振りに改訂し、Donald Keeneさんの"Anthology of Japanese literature"を載せました。
 1.2 新聞の記事から
文芸時評 日本語文学 関川夏央 (作家)
「かざりもの」から成長 他国語の風が生む精気
『我的中国』−リービ英雄氏
「ハイブリッド日本語文学を」−米谷ふみ子氏
「そういう『批評の不在』」−橋本治氏

 「座卓の向こうにある障子が真っ白な画面のように広がると、その上に想像の形が次々と現(あら)われて、中国大陸の風景が甦(よみがえ)る。大河と砂漠と大地がその昨日まであった現実性を失いかけると、逆に記憶された大陸が、島国の文字となって原稿用紙に滲(にじ)む」(『我的中国(われてきちゅうごく)』リービ英雄、岩波書店)
 中国を旅して出自を尋ねられると、リービ英雄は「日本常住的(ルーベンチャンジューデ)、美国人(メイグオレン)」と答える。彼らはそのあと、たいてい仕事と月収を聞いてくる。中国人にいわせると、いまや世界中すべて「経済国家」なのである。
               □ ◇ □
 ユダヤ系アメリカ人のリービ英雄は、カリフォルニアに生まれ、台湾や香港で育った。67年、17歳の夏に来日、大学生たちの英会話クラブにまじっていたとき、「こんなことを言っちまえば失礼かも知れんが」とひとりの学生服の青年にいわれた。「あなたはかざりものにすぎない」 (『星条旗の聞こえない部屋』92年)
 リーピ英雄は、三島由紀夫作品中の人物のようなその学生にともなわれて、60年代の日本に分け入った。千年前、移住ユダヤ人がシナゴーグを中心に住んだという開封(カイフォン)の街の車夫が「毎日、お寺に火をつけていた」頃、彼は新宿の路地を歩きまわりながら長じた。その後プリンストン大学に学び、スタンフォード大学で教えたが、80年代末日本に「帰還」して、日本語文学の作家となった。
 開封に住んで李や趙になりかわったユダヤ人の痕跡を探る「私小説」 『へンリーたけしウィツキーの夏の紀行』はsojourn(逗留[とうりゅう])であったが、イアン英雄リービは、漱石の『門』の家そっくりの都心の崖(がけ)下の家に「常住」して書きっづけている。この人には、政治性と熱狂性とを抜いた60年代新宿のにおいがある。
               □ ◇ □
 一方、在米40年以上の米谷ふみ子は書いた。
 「文章をいかに美しく書くかとか、上流階級の遣う言葉で上品に書くかを重要視し、下卑た言葉でも内容のある心の訴えのあるものを日本では重要視しない傾向があります」 (「ハイブリッド日本語文学を」すばる3月号)「私も(日本語が)不自由です」という米谷ふみ子のこの一稿は、唐亜明「ぼくは不自由です」(すばる02年5月号)に対する、二年遅れの「返信」だった。
 唐亜明もすでに20年以上日本に「常住」しているが、日本語を書くと「所々が欠けたレンガでつくられた建物のよう」で「落ち着き」が悪い。それでも日本語を選ぶ。すると「より丁寧に観察し、激しい感情の起伏を抑えて、断定的な口調を排」する日本語世界に入って行く。その「たいへん」な作業で得られる、どこか「しみじみ」とした「なつかしさ」は、「落ち着き」という言葉を含め、みな「的確な中国語に訳せない」のである。
 「言葉がなければ、その言葉で表す感情も湧(わ)いてこない」
 唐亜明の最初の日本語小説『翡翠露』は、日中どちらの文学に分類するか編集部でも書店でも迷った。結局日本文学ということになったが、「ぼく自身はどちらにしても違和感がある」。「日本語文学」というジャンルがあってもいい。それが唐亜明の切実な感想であった。
 「中国語風の日本語もフランス語風な日本語も英語風な日本語もハイブリッドになるとエネルギーが湧き、これから先もっと精気が入って」くるのではないかと米谷ふみ子はつづけたが、70年代、片岡義男の「英語風な日本語」の衝撃は、衝撃として受けとめられなかった。彼は孤独だった。30年を経てようやく「日本語文学」の機は熟したということか。
               □ ◇ □
 芥川賞受賞作二作を掲載した「文芸春秋」(3月号)が三度目の増刷をかけた。これは異例中の異例のことだ。
 ただし、雑誌をわざわざ買いに走った「おじさん」たちは、口をそろえて「読むに堪えん」「途中で投げた」といった。彼らにとって「同級生交歓」と『蛇にピアス』は並立しがたいのである。
 もっとも『太陽の季節』でも『限りなく透明に近いブルー』でもおおかたの反応は「読むに堪えん」であったから、事情は半世紀かわらない。金原ひとみもそういうつもりでいればよい。
 だが、受賞第一作(実は受賞前第一作?) 「アッシュベイビー」 (すばる3月号)には『蛇にピアス』のような鋭い「痛点」が見えなかった。「生きづらさ」の表明だけでは小説にならない。平安寿子『もっと、わたしを』(幻冬舎)の主人公たちだって「生きづらさ」はおなじだが、それを「特権」とは思わず、明るくリアルに煩悩している。
 「おじさん」たちの「文芸春秋」購入動機は、「キャッチアップ」への意欲だろう。つぎに受賞二作に選評まで付いた買い得感か。
 「よい商品(作品)=高価」という常識が通らないのは出版界だけだ。コンビニのおにぎりでさえ「質が高いから値段も高い、でも売る」というのに、と不思議がるのは橋本治である(「そういう『批評の不在』」一冊の本2月号)。
 橋本治によれば「いい本だから値段を高くして売ろう」という態度の最後の本は、小林秀雄『本居宣長』(77年、4千円)だった。
 <「この本は内容に見合って高価です。だから買いなさい」が言えないのだとしたら、本は「ハンドバッグやおにぎり以下」なんだな>
 つまりは、読者と業界全体の、そういう意味での「批評の不在」を彼は嘆じている。
(出典 朝日新聞 2004.2.24 夕刊)

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2. 2月のトピックス
 2月の主なトピックスをご紹介します。
 2.1 上山さんのライヴ
  岩本町のTUCで上山さんのライヴがあり、家内と行ってきました。しばらくニューヨークに行っていたドラマーの高橋信之助さんも出演し、楽しいひとときを過ごすことかできました。演奏は他に高橋さんが選んだ吉岡秀晃さん/Pfと 塩田哲嗣さん/Bで、お二人共、現在New Yorkで活躍中です。
 2.2 スキー
  北軽井沢の近くにあるヒュッテに泊まり、草津・万座に2回スキーをしに行きました。一回目は元いた会社の山岳部の連中(OBと現役)と、二回目はNMCの仲間と一緒でした。
 最初の時は寒さのため排水が凍るなど、ヒュッテの設備に問題がありましたが、雪は最高で、草津のゴンドラが動いていたので、清水沢、ふりこ沢と目一杯滑ることができました。帰りは途中にある倉淵温泉でゆっくりと汗を流すことができました。
 二回目はヒュッテのトラブルは無かったのですが、暖かくて雪質が悪く、最終日はアイスバーンの上に新雪がまだらに積もる最悪のコンディションでした。
 それでも二回とも夜はヒュッテで、心おきなく四方山話を楽しむことができました。
 2.3 江戸東京博物館のジャズ
  江戸東京博物館には松井かおるさんというジャズ歌手の学芸員がおり、毎年ジャズをやっています。一昨年同様NMCの荒川さんが申し込んでくれ、二人で聴きに行きました。今年は「マイ・ファニー・バレンタイン」というタイトルで、アメリカと日本のジヤズの歴史を紹介するプログラムでした。日本のジャズにはエノケンが絡んでいたという話は驚きでした。
 一昨年はジャズメンの対談も交えたレクチャーがありましたが、今回は歌と踊りが中心でした。
 2.4 幕山観梅ハイキング
  湯河原には二つの川が流れており、西側の千歳川は奥湯河原に通じています。東側の新崎川の上流に幕山という標高626米の小山があり、その南斜面に約4千本の梅が咲いています。1月下旬から3月中旬が見頃で、JR湯河原駅からは路線バスが出ています。梅林だけなら運動靴で歩けますし、1時間余りで幕山登山も可能です。我々は観梅の後、ゆとろ嵯峨沢の湯までマイクロバスで行き、温泉と湯上がりの一杯を楽しみました。

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3. 来月の予定
 英語版を少しずつ充実して行きたいと思います。Japanese CultureまたはCivilizationを紹介するような内容にするつもりです。
 3.1 本の紹介または近現代史
  田中彰著「明治維新と西洋文明」(岩波新書)を読んでいるので良ければ、載せたいと思っています。
 3.2 ウオーキング・旅行
  2月に載せられなかった「おいはぎ坂」という面白い名前の坂のことを、「馬込の坂道」というような題で、ご紹介したいと思います。
 3.3 英語版
  般若心経の英語版があるようなので、ご紹介したいと思います。
 3.4 興味あるリンク
  今後も、少しずつ追加したいと思います。
 3.5 古いページの更新
  毎月、少しずつ更新して行こうと思っています。

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[Last Updated 3/31/2004]