本の紹介  精神と物質

本「精神と物質」

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 分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか
 はたして「生命」は神秘であるのか
 利根川進氏の”百年に一度”の大研究とは
 20時間に及ぶ徹底インタビューが明らかにした最先端生命科学の現状

立花 隆(たちばな たかし)
利根川 進(とねがわ すすむ)共著
 1990.7 (文芸春秋社)

1 まえおき
 NMCの読書会(98.11月)で本書を取り上げて報告した。

2 著者略歴
 2.1 立花 隆
  1940年 長崎県生まれ
  1964年 東京大学仏文科卒
      文芸春秋に入社、2年半で退社
      東京大学哲学科に再入学
  1974年 「田中角栄研究―その金脈と人脈」(文芸春秋11月号)
      技術と人間の問題に文明論的な考察を加えた領域で活躍中
 2.2 利根川 進
  1939年 大阪生まれ
  1958年 日比谷高校卒
  1963年 京都大学理学部化学科卒
      米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)に留学(生物学部大学院)
  1968年 PhD(博士号) 取得
      米ソーク研究所ダルベッコ研究室
  1971年 バーゼル免疫学研究所(スイス)
  1987年 「抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明」によりノーベル生理学・医学賞受賞
      米MIT(マサチューセッツ工科大学) 教授

3 概 要
 利根川進博士が1987年度にノーベル生理学・医学賞を授与されたとき、受賞理由の「抗体の多様性生成の遺伝学的原理に解明」に関して新聞等で説明がされたが、その意味とかいきさつについては今一つ理解できなかった。  この本は「勉強をするのが仕事」と称する立花隆氏が利根川進氏に20時間インタビューした内容をまとめたものである。次の三つが中心になっている。 1) 利根川氏がノーベル賞を受賞するまでの過程(どういう環境に育ったか→現在の日本の環境ではノーベル賞を受賞することがいかに難しいか)。 2) ノーベル賞を受賞するには、どのような資質が必要か。 3) 「抗体の多様性生成の遺伝学的原理に解明」とは、どのような研究か。  以下目次のみを掲げたが、詳細を知りたい方はぜひこの本を読んでいただきたい。

4 目 次 序にかえて  渡辺 格(いたる-慶応義塾大学名誉教授)

第一章 「安保反対」からノーベル賞へ
 百年に一度の大研究
 アメリカで学んだ第一世代
 大きかったオペロン説の影響
 基礎訓練に欠ける日本の大学院

第二章 留学生時代  ファージが発展させた遺伝学
 遺伝学の流れと生化学の流れ
 驚きだったイントロンの発見
 運とセンスが発見を左右する

第三章 運命の分かれ目
 ママ子扱いだったハイブリダイゼーション技術
 クチコミで入る最新情報
 人気研究室は二、三年先まで満杯
 ソーク研究所からバーゼル免疫学研究所へ

第四章 サイエンティストの頭脳とは
 大秀才は生物学者に向かない
 免疫現象の発見
 多様性のもとは遺伝子にあり
 いかにして自分をコンヴインスさせるか

第五章 科学に「二度日の発見」はない
 実験結果をどう解釈するか
 サイエンスには天分プラス集中力が必要
 ″常識外の仮説″を確かめたい
 重要なのは実験上のアイデア

第六華 サイエンスは肉体労働である
 制限酵素に着目する
 スマートな方法より確実な答えを
 秘伝″ラブのクック・ブック″
 ノーボディからサムボディへ

第七草 もう一つの大発見
 脳の未知のメカニズム解明の可能性
 遺伝子組み挨え技術の意味
 手さぐりの研究から目に見える研究へ
 時代の要求に応えない日本の大学

第八草 「生命の神秘」はどこまで解ける-->
 奇妙な塩基配列
 革命的だったマタサム・ギルパート法
 自我はDNAの自己表現

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[Last updated 5/31/2001]