免疫の意味論

本(免疫の意味論)

多田 富雄著

発行 青土社

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1.書 名 免疫の意味論

2.著 者 多田 富雄(ただ とみお)

3.出版社 青土社

4.概 要
 免疫は、病原性の微生物のみならず、あらゆる「自己でないもの」から「自己」を区別し、個体のアイデンティティを決定する。
この本では、いままで立ち入って論じられることが少なかった免疫現象の意味について、著者流のディスカッションを試みている。生命科学の一つの側面またはファジーな「自己」という超システムを、かいま見ることができる。93年に出版され、大佛次郎賞を受賞した。
 著者は新作能「無明の井」「望恨の歌」の作者でもある。

5.著者略歴
 1934年 茨城県結城市に生まれる
 千葉大学医学部卒業
 同大学医学部教授
 1977年 東京大学医学部教授
 1994年 同大学名誉教授
 現在 東京理科大学生命科学研究所所長
 1995年より 国際免疫学会連合会長
 野口英世、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞などを受賞
 1984年 文化功労者

6.主な著書
 1)イタリアの旅から(誠心書房)
 2)ビルマの鳥の木(日本経済新聞社)

7. 目次
はしがき P.7
第1章 脳の「自己」と身体の「自己」 P.11
 自己と非自己 脳対免疫 移植の拒絶反応 移植片対宿主反応 移植と脳死
第2章 免疫の「自己」中心性 胸腺と免疫の内部世界 P.29
 免疫の登場 「非自己」指向性の免疫 密室「胸腺」 「自己」の「非自己」化 教育と死のプログラム
 「自己」中心性免疫
第3章 免疫の認識論 ネットワーク説をめぐって P.51
 認識分子としての抗体 抗体の非先見性 ネットワーク説 閉鎖構造としてのネットワーク
 ネットワークの「解放性」 ネットワークによる調節 ナイヴな自己と洗練された自己 To react or not to react
 ネットワークの崩壊
第4章 体制(エスタブリッシュメント) としての免疫 インターロイキン王国の興亡 P.77
 メッセージとしての分子 さまざまな顔を持つ分子 インターロイキン オプチミストの王国
 インターロイキンの悪夢
第5章 超システムとしての免疫 自己の成立機構 P.95
 混沌の中から 造血幹細胞 免疫系の成立 超システムとしての免疫 超システムの拡大 超システムの条件と限界
第6章 スーパー人間の崩壊 免疫系の老化 P.111
 「自己」はどう維持されるか 老化の現象論 老人の免疫反応 免疫系の老化 超システムの崩壊 胸腺か幹細胞か
 胸腺の意味
第7章 エイズと文化 RNAウイルス遺伝子の謀略 P.129
 エイズは人間の友 エイズウイルス ウイルスの悪意 エイズに対する免疫応答 原始的な免疫の反撃 
 エイズと現代文化
第8章 アレルギーの時代 あるいは相互拒否の論理 P.149
 アレルギー現わる アレルギーと免疫 IgEとアレルギー アレルギーの矛盾 相互拒否の論理
第9章 内なる外 管(チューブ)としての人間 P.165
 管としての人間 管の免疫装備 抗体のペイント ファブリキウスの嚢 寛容と共存 内なる外との対話
第10章 免疫系の叛乱 自己寛容と自己免疫 P.179
 反キリストの検証 自己免疫の恐怖 反自己の反乱 自己に対する寛容 寛容はどうして維持されるか 免疫系の反乱
第11章 免疫からの逃亡 癌はなぜ排除されないか P.195
 地中海にて マラリアのトリック 寄生虫と人間 癌に対する自己免疫 癌免疫におけるキラー ガン細胞の逃走
 最後の希望か 曖昧な自己
第12章 解体された「自己」 再び「自己」について P.215
 「自己」の定義 行為としての「自己」 ミス・ラスロップのマウス小屋 MHCの発見 断片の集合としての「自己」
 「自己」の「非自己」化の本体 曖昧な「自己」 終りに
あとがき

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[Last updated 5/31/2001]