獣の奏者 エリン



アニメ「獣の奏者 エリン」がもう15回終了。不満たらたらのわりには、しぶとく見ている。全部で50話もあるというのに、最後までつきあってしまいそうでこわい。

初回を見て、これじゃ「アルプスの少女ハイジ」じゃないかと少々がっかり。原作がとてもおもしろかったので、ずいぶんと期待していたのに。

全体の構成がよくない。使いまわしのシーンが多くて、できの悪いバラエティを見せられているみたいだ。序盤では母と娘のエピソードが長すぎるし、14回目では今までのおさらいを本編でやってしまった。民放ドラマのスペシャル版のまねだ。おまけに15回になると、過去の話をさらりとやってくれる。見ている人は、これで理解できるのかなあ。

闘蛇、蜂、王獣と3つの生き物とともに生きるエリンだが、原作でいちばん好きなのが蜂飼いの生活だ。近ごろは蜂の大量死がおきているので、時代にフィットしたテーマでもある。できれば西洋ミツバチではなく、日本ミツバチで描いてほしかった。

母の死という子ども向けアニメでは珍しいできごとを描いているので、全体が暗くならない工夫がなされている。ジョウンのキャラクタとか、狂言回しを登場させたり、子どもだましの手法を随所に取り入れている。こちらは「隠し砦の三悪人」と「スターウォーズ」の延長。

「精霊の守り人」は原作にとらわれず、しかも完成度の高い作品になっていた。NHK教育には、これまでにも「未来少年コナン」とか「電脳コイル」みたいな、私では話についていけないハイレベルな作品を作ってきた実績がある。子どもをバカにしない作品つくりが、できないわけではない。これからの王獣編でぜひ挽回してほしい。

(2009-04-25)