バーバー吉野



「かもめ食堂」(05年)のできが良かったので、デビュー作の「バーバー吉野」(03年)も見てみた。荻上直子はぴあ出身なんだ。子どもたちがみな同じヘア・スタイルの小さな町、というアイデアがいい。秘密基地をもっていたり、集団で家出したりで、「スタンド・バイ・ミー」(86年)をなぞっている。ヘア・スタイルは、「ブラザーサン・シスタームーン」だな。ちぐはぐさの残る演出だけど、メジャー1作目としては成功ではないか。

「かもめ食堂」になると、もたいの過剰な演技も抑えられ、全体的なトーンの統一がとれてきた。ただ、女性雑誌の特集記事みたいな映画で、これでいいのかなとも思うが。次作の「めがね」も同じ路線をねらっているようだ。

スナフキンの話がさりげなく出てきたり、食堂のテーブルにはわざとクロスを掛けないし、キッチンは対面型で客席がよく見える。足音がうるさいとか、演出が単調だとか、まだ工夫の余地あり。

荻上直子はオリジナルにこだわりたいようなので、まず脚本ありきの映画を期待してます。

(2007-10-01)