バカはバカなりに



昔こんな歌があった。
バカたすバカはバカばかり
バカひくバカはうすらバカ
今はバカの大安売りをやっている。小谷野敦『バカのための読書術』は、バカの連発本だ。

「新書が入門書として適切とはかぎらない」「文庫の解説はひどいものが多い」「書評を信用するな」など賛成できる意見が多い。ついでに読んではいけない本のリストとか、性別・年齢別の小説ガイドまでついている。

小谷野は、呉智英『読書家の新技術』、渡部昇一『知的生活の方法』をふまえている。私はそれに立花隆『知のソフトウェア』をつけ加えたい。どれも参考にはなるが、おすすめはしない。

「世界史は概略がわかればいい」と言いつつ、ブルフィンチ『ギリシャ・ローマ神話』をすすめたりする。旧来の教養主義路線は捨てていない。ずらりと並んだ日本の歴史小説も、読んだことのない本ばかり。どうやら私はバカのレベルにまで達していないようだ。

こういう本を眺めていると、類書を自分で書きたくなってくる。そんな誘惑にかられるところは、文章読本と同じ。本読みの病かな。

  • バカのための読書術 小谷野敦 筑摩書房 2001 ちくま新書280 NDC019.1 \680+tax

(2003-06-09)