ちょっと前までマリーさんが手を振っていたお城がもう豆粒のよう・・・
幹を旋回しながら昇っていく・・・もうすぐ・・・もうそろそろ・・・出た!!
白竜は真っ直ぐにそこへ向かって降りて行く、近づいてくる・・・
懐かしい・・・恋しい・・・心地良い・・・会いたかった・・・・・
「ハプニカ様と離れてみて、一人でじっくり考えて、ようやくわかったんです、
俺が愛すべき人、俺が本当に愛する人に、どうするべきかという事を・・・
もう俺は迷いません、ハプニカ様、好きです、愛しています、どうか、今までの無礼を、
許してください・・これからはどんなことがあっても、ハプニカ様の、そして、
みんなのそばを勝手に離れたりしませんから・・・もう疑ったりもしませんから・・・」
「ううぅ・・・そなたから・・そのような言葉が聞けるとは・・・
私は・・・どう感謝していいのか・・・謝るべきは私の方であるのに・・・」
「ハプニカ様・・・感謝するなら白竜にしてあげてください・・・
全部降ろすと白竜はこちらへ歩いてきてハプニカ様に擦り寄った・・・
「白竜よ、ご苦労であった、そなたをパートナーに持てて誇りに思うぞ」
家族の待つ巣へと戻っていった・・・そうだ、あれを渡さなきゃ。
でもハプニカ様が俺に、本当にそばにいて欲しいというのであれば、
私はハプニカ様の望む限り、そばにいようと思います・・・ですから・・・
「もし、了承してくれるなら・・・俺にも・・・はめてください」
「俺、もう心に決めたんだ、地上に降りて、考えさせられる事があって、
そこで色々思い出して・・・俺、実はみんなに甘えてたんだと思う、ああいう事があってこんな体になって、
それを、みんなの愛に応えない事で、あたりちらしてたんだと思うんだ、心の奥では、許さないけどもっと償え!って
みんなに命令していたみたいな・・・それって酷いことだよね、みんなの俺に対する苦しい気持ちを考えると。
まるで自分が傷ついた分、みんなに傷つく事を強要してたみたいで、それって男として恥ずかしいし、戦士としてもそう。
みんなが一番悲しむ、俺がいなくなるって事を必死でやろうとして・・・留守にしていた間、みんな心配してたと思う、
突然いなくなって、もう帰ってこないかもしれないって・・あれは俺も白竜に連れ去られたようなものなんだけれど、でも、
みんなと別れて地上でアバンスかどっかで一人で暮らそうって考えがあったのも確かなんだ、地上についた時、正直言って、
やった、逃げることが出来た!って喜んでたし・・・でも、みんなと別れて、そしたら急になんだか恋しくなって、
それは毎日受けた快感の禁断症状、中毒っていう部分を考えても、あきらかにそれ以上のものがあったんだ、みんなに対して・・・
ハプニカ様は本当に、真剣に俺を愛してくれている、それはもちろんララさんやみんなだってそうに違いない、っていう事を、
地上で思い知らされた、実感した・・・だから俺はもう、みんなとは離れたくないし、みんなの想いに応えたいと決めた。
ララさん、言ったよね?俺を、いままでのどんな戦い以上に命を賭けて愛してくれるって。それを受け止めるためには、
俺だって命をかけないと失礼だし、受け止めきれないと思う。そして受け入れると決めた以上、俺も覚悟を決めたんだ、
それで、ここへ戻ってきてまず、真っ先にハプニカ様にプロポーズしたんだけど・・その、俺、告白する順番がどうであれ、
第一王妃とか第二王妃とか、愛する人にランクを付ける事なんて出来ないんだ、もちろんまったくの平等っていうのは
不可能だと思うし、長くつきあっていくうちに偏りも出来ちゃうかもしれない、でも、でも一度俺と一緒になってくれるって
決めてくれた女性は、必ず一生、幸せにしてみせる・・それが何人であったとしても・・・だから、だからララさんに、今、
はっきりと言わせてください、これはハプニカ様も了承していますが、それに関係なく聞いて欲しい・・ララさん・・・ララさん・・・」
そっとその体を抱きしめてあげる・・・ララさんも抱き返す・・・
「・・うっ、嬉しいですわっ、そのような言葉をいただけるなんて・・・うぅっ・・・」
「旦那様の方から、このようにきちんと求婚していただけるなんて・・・夢のようです」
「その、こういう事は、きちんと言っておいた方がいいと思いまして・・・ララさん・・・」
唇を近づけようと思った矢先、ララさんの方が唇を寄せてきた!?
「旦那様からプロポーズしていただいたのですもの、次は私からですわ」
干し終わったばかりの綺麗なタオルで口を拭いてくれるララさん。
「私だけではなく、みんなの愛も受け入れてくださるのですわね?」
「1人と愛し合ってると他の皆の嫉妬も同時に受け入れなければならないのですわよ?」
「そ、そうだね・・・みんなと愛し合うからには、仕方ない事だから・・・」