「うおおおおおおおおおおーーーーー!!」

 

銅鑼の音とともに英雄役が大声をあげ駆け出す!

999人の兵士も縦の列になって英雄へ向かっていく!

すごい迫力、あっという間に人波へと飲まれていく、そして・・・

 

「であ!はっ!ぐあっ!」

 

ガキィン!ザシーン!ボガッ!

 

英雄が次々と兵士を斬っていく!

みるみるうちに倒れていく兵士たち・・・

一瞬の隙なく倒していくその英雄に息を呑む!

列になっていた兵士も段々と英雄を取り囲み四方八方から攻撃する、

他の兵士を踏み台にし跳び上がって剣を振り下ろす者も・・しかし英雄は負けない!

むしろスピードが上がっているようだ、ムーンサルトまでした!すごいすごい、鮮やか・・・

相手の剣を奪ってWで斬ったりうまくよけて同士討ちさせたりと、ただ斬るだけの演技じゃない・・・

やられ役の兵士が倒れたまま山のように積み重なっていく、うまく場外に転げ落ちる人もいるな・・・

 

「はぁっ!でいや!ぐおおおおおーーー!!」

 

あの重い甲冑でよくバテないものだ、

劇とは思えないほど本気でやっているし・・・

それにしても立ってる兵士がずいぶん減ったなあ、

と思っているとその少なくなった兵士も次々と倒され、

あっけなく999人は全て床にはいつくばってしまった・・・

 

「・・・うーん、すごい、シャクナさん、すごすぎるよ」

「まだです・・まだ最後の闘いがあります」

「え?まだって・・・あ、ハプニカ様、の役の人が・・・ええ!?」

 

ハプニカ役が大きく跳び上がり、

3回転ほどクルクル回ったのち飛び降りた!

その腕には大きい剣を持っている・・・まさか!?

 

「トレオ様、1000人めの相手です」

「そうきたか・・・英雄役、さすがに肩で息してる・・大丈夫かな」

「・・・・・見ましょう」

 

ついさっき20分強かけて999人を倒した英雄が、

それをずっと見ていた女王と最後に一騎打ちを行う・・・

中央のなぜかうまい具合に兵士が倒れていないエリアで向かい合い構える2人・・・

 

場内を静寂が包み、やがて・・・

 

「であーーー!」

「はーーーーーーーーーっっ!!」

 

2人同時に跳びかかった!!

 

ガッ・・シーーーーーーーーーン!!!」

 

空中で激しく剣を交えたのち、

スタッ、スタッ、と床に降りるとひるがえり、

また互いに体と体をぶつかりあって剣を交える!

 

ガシィ!ガキャーッ!ガツッ!ズシャッ!ドギャーーン!

 

激しくやりあう2人・・・

英雄役はもちろんの事、

女王役もかなりの腕前だ・・・

 

「シャクナさ・・・」

 

ふとシャクナさんに話し掛けようと横を見ると、

真剣な表情で見入るその目から一滴の涙がこぼれている・・

・・・俺もちゃんと見なきゃ・・・あ、英雄の剣が弾きとばされた!?

 

「トレオーーーーーーーーーっっ!!」

 

ジャキーーーーーーーーーン!!!

 

ハプニカ様役が・・・

電光石火の斬剣でトレオ役を斬り付け・・・

バタッ、と前のめりに倒れた・・・シーンとなる・・・

 

剣を収めダダダダダッと駆け寄り英雄を抱き起こす女王・・・

英雄は・・・立ち上がった!そして2人、ひっし、と抱き合う・・・

熱い抱擁・・・感動的なシーン・・・とそこへ場外から大きな影が近づいてくる!?

 

バサッ、バサッ、バサッ・・・

 

あっ!あれは、白竜!?

・・・いや違う、よーく見ると、

普通の大きいドラゴンに白い装飾を覆っただけだ、

それでもこれは白竜を意図してるんだろうけど・・・

舞い降りたドラゴンに乗るトレオ役、ハプニカ役・・として跳び上がる・・・

 

バッサ、バッサ、バッサ・・・

 

倒れていた999人の兵士も起き上がり、

歓声を上げドラゴンを見送る!観客も総立ちで・・・

そしてドラゴンはそのまま劇場の外へと・・さようなら〜〜・・・

 

♪愛する〜英雄よ〜

♪我らの〜女王よ〜

♪永久の〜平和で〜我々は応える〜〜

 

バニーさんがいっぱい入ってきて兵士らと歌い踊る!

クライマックスだ・・なんて素晴らしい劇なんだろう・・・

俺はただ、ただ拍手する事しかできない・・・すごく良い物を見せてもらった・・・・・

 

「トレオ様、いかがでしたか?」

「うん・・・言葉にならない・・・感動しました」

「そうですか、安心しました・・・それで・・・」

「それで?」

「先程は、何か私に・・・?」

 

そうだそうだ。

 

「あ、ごめん、聞きたい事があったんだけど見入ってたから」

「なんでしょうか?」

「その、あの英雄役と女王役は誰?」

 

拍手喝采の中、司会の声が響く。

 

「以上、トレオとハプニカの物語でした!

本日のトレオ役・ジュビライJr、ハプニカ役・ヴィッセーラに

今一度、大きな拍手をお願いいたします!!」

 

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!

ワーワーワー!ワーワー!ワーワーワーワーワー!!ワーワーワー!ワーワー!

 

いつのまにか戻ってきた2人をまたもや大歓声で迎える観客!

俺もシャクナさんも、メイドさんたちまで手袋を脱いで拍手してる。

 

「あのお2人は、闘技トーナメントに出ていらした方です」

「そうなの?そうだっけ」

「はい、しかもこの役は3回戦以上進んだ方しか演じる事は出来ません」

「そこまで細かく決まってるんだ」

「ちなみに土日にこの劇をする場合、ハプニカ様役はマリーさんがやられるのですよ」

 

そんな事までやってるんだ・・・

それはそれで見てみたいな・・ん?メイド長が来た・・・

 

「本日のお土産でございます」

「ありがとう・・大きいなあ、しかも2つも・・・」

 

すごく大きな手さげにギッシリ詰まったお土産、

重くて持ち上げるとふらふらする・・何が入ってるんだ?

 

「大丈夫でございますか?のちほどシャクナ様のと一緒にお城へ届けさせていただきますですわ」

「ありがとう・・・すごく堪能させていただきました・・・シャクナさんもありがとう」

「いえ、その・・私も・・・トレオ様と御一緒に見られて・・・嬉しかったです」

 

顔を紅くしてる・・・

場内の方は慌ただしく観客が波のようにうごめいてる、

終わったからみんな帰ろうと・・司会もステージ上で終了を告げている。

 

「本日は誠にありがとうございました!

慌てず順番にゆっくりとチケットに書かれた出入り口よりお帰りください!

なおVIP席のお客様は専用出口にて送り用ペガサスが待機しておりますので・・・」

 

・・・・・俺たちも帰ろう。

 

「シャクナさん、行こう」

「あ、あの、トレオ様、よろしかったらこの後、パーティーを行いませんか?」

「パーティー?何の?」

「本日は予定はなかったのですが、毎週土曜の夜は貴賓客と劇の人気出演者を交えたパーティが・・」

「い、いいよ、そういうの・・そういうのってよくあるけど嫌いなんだ」

「そ、そうなのですか?」

「うん、疲れてる演者さんを終わってもパーティっていう名目で客が呼び付けるのって・・」

「・・・・・そうですか、本物のトレオ様でしたら演じてらっしゃる皆さんも大喜びなのですが・・」

「まあ、普段のパーティはある意味それも仕事だろうから仕方ないけど、俺のせいで仕事は増やしてあげたくない」

 

・・・今更、英雄顔したくないし。

 

 

 

 

 

お城の部屋に戻った・・・

もらったお土産を開けてみよう・・・

まずはこっちから・・綺麗な皿、モナカやおせんべい、

演者さんの写真集、小さな皮バッグに宝石箱なんてある、

スカーフ・・このへんは御婦人向けだな、後はタオルセットとか・・・

あんまり大喜びするような物は入ってない、あたりさわりのない物ばかり、

まあ写真集はファンにはありがたいんだろうけど・・もう1つの袋はどうだろう。

 

ガサゴソ・・・

 

今日のプログラムがあるこれ欲しかったんだ、

あと双眼鏡があって・・・毛布?いやこれはひざ掛けだな、

それとジュース、サンドイッチ、小さなワインが2本、おつまみ・・・

うーん、これは会場に来た時に開ける物っぽいな、底の方にミニ座布団や雨ガッパがある、

VIP席じゃなくてもVIP気分が味わえるセットとして売られてる物なのかも・・・

 

コンコン

 

「あ、どうぞ」

「失礼します」

 

シャクナさんの声だ。

 

「トレオ様、お風呂の準備が出来ました」

「ありがとう・・じゃあ入らせてもらうよ」

「お土産を見てらしたのですか?」

「うん、すごい量だね、これ」

「そうですね、貴賓席のお客様には、とにかくある物何でも詰めてる感じですから」

「いらない物もまじってるけどね」

「でも我侭な方ですと、屋根がある所にいても客席で

お土産の雨ガッパ着てらしてる人を見て欲しがったりするのです」

「へえ・・・ちゃんと考えてるんだ・・さて、お風呂に入ろう」

「はい、こちらです・・・」

 

 

 

「あらー、トレオ様ぁー」

「ばばばばば、バニーさん!!」

「良い湯加減でしたよー、ごゆっくりどうぞー」

 

脱衣所で全裸のシグリーヌ女王にでくわした・・・

マリーさんがタオルで雫を拭き取り下着を履かせてる、

もちろんマリーさんだって裸だ・・め、目をそむけなきゃ・・・

 

「それともお体洗うの手伝いましょうかー?」

「え、遠慮します!国王様にそんな事・・って、シャクナさん!?」

「じっとしていてくださいね・・・」

「い、いいよ、自分で脱ぐ・・っ!!」

 

見上げて俺を見つけるシャクナさん!!

 

「・・・じっとしていてください」

「は・・・はいぃ」

 

瞳で瞳を見つめられ、

金縛りのように動けなくなり逆らえなくなった・・・

胸がドキンと高まった・・・この感覚、ゆうべも味わったような・・・

 

するすると全て脱がされ恥ずかしい股間も涼しくなった、

正反対にシグリーヌさんはバスローブ姿となって髪を乾かしている。

 

「ではー、マリーを置いていきますからー、どうぞごゆっくりー」

「え、ええっ!?マリーさん?」

「お体を洗わせていただきますわ、ふふふ・・・」

 

その瞳だけでギンッ!と股間が熱くなった!

 

「それではー」

 

一礼して出ていったシグリーヌさん・・・

シャクナさんも清楚な服を全て脱いで全裸になった、

そしてマリーさんとともに風呂場の中へと連れて行かれる・・・

 

ぜ、絶対に何かされる!!

でも、でも・・・2人に逆らえない!!!

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