「そうよ、この国唯一の奴隷・・この国で一番地位の低い人間よ」
「それぐらいになんないとみんな納得しないわ、ワタシは女王の座に目が眩んで、
この国を破滅に追いやろうとしてしまった・・その責任を取るには相応しすぎる身分ね、気に入ってるわ」
「でも、マリーさんの様々な助言がなければこの国をここまで立て直す事は不可能でした、
さすが、この国に唯一残された王族の方らしく・・的確なアドバイスをくだすって・・」
「ワタシは奴隷らしく、この国に仕えてるだけよ?国民全てがご主人様だから、そのためにやってるだけ」
実際はマリーさんが国政を動かしています、このように皆が納得する形で」
「ま、当然のことね、でも形ばかりじゃなくて本当の奴隷のつもりよ、ワタシは。
一番偉いご主人様から助言を求められたから応えただけ、奴隷としてね」
バニーさんが腕で合図をするとマリーさんが玉座の後ろに身を引いた。
「さあトレオ様ー、お話はこれぐらいにしてー、今日はゆっくり休んでいってくださいー」
「あ、はい・・バニーさん・・いや、その、シグリーヌ国王・・様・・」
しずしずと誘導するシャクナさん、王間を出るときに一礼して・・・
それにしてもすごいことになってるな・・バニーさんの国王にマリーさんが奴隷、でも実はフィクサー・・・
「あの・・・ハプニカ様は・・どう・・なされたのでしょうか・・」
「う、うん、その・・・そうだ、シャクナさん、結局お城に戻ったんだ!」
「はい、こういう緊急事態ですし、シグリーヌ様がぜひ、と・・大臣の方々も、
トレオ様を守ったのはシグリーヌ様と私の2人だけだったから、国民を納得させるためにと・・お飾りかもしれませんが・・」
「いえ・・私だって途中でトレオ様を疑ってしまって・・・酷い事を・・あの時・あの時・・・」
やばい、辛気臭くなってきた・・まだ引きずっているんだろうか?
いや、思い出させてしまっただけかも・・でもシャクナさんてもうちょっときつい性格だったような・・
国政に携わるようになって、いろいろ多忙で精神的に弱くなっているのかもしれないな・・うーん。
はじめて来た時の、そして倒れた後、ずっとリハビリしてた、あの・・
懐かしい反面、あの時のみんなの看病や温もりを思い出す・・胸がきゅんとなる。
「・・・トレオ様は先程、終わった事だから忘れよう、とおっしゃいましたよね?」
この国がしてしまったトレオ様への仕打ちは絶対に忘れてはならないのです、
その苦しみは消える事はありませんが、癒す事はできます、それはトレオ様に償う事です、
トレオ様を癒す事のみで、私達はほんの少し、癒される事ができるのです・・
この国に戻ってきていただいて感謝しています、どうか、どうか私たちに、トレオ様を癒させてください、
愛するトレオ様に・・国民皆が敵だった過去を忘れさせて、国民皆が味方だという事をわからせていただきたいのです」
「もう俺なんかいなくても、この国は立派にやっていけてるじゃないか」
「すみません、トレオ様のお考えが変わられてないか確かめただけです」
「でも、これだけはわかってください、この国は、トレオ様のためなら何でもする、と・・
いつでもどこでも、この国はトレオ様のためなら力になりますし、故郷だと思っていただきたいのです、
その気にさえなっていただければいつでも国王になれますし、望む物は何でも・・・」
看病してもらってた時に置かれていた、リラックスできるあのお香が・・・
3ヶ月もたったのに、染み付いているんだろうな・・ベットに横になる・・
ふぅ、と一息つく・・こうしていると横にララさんか誰かがいるような気がする。
この国・・ここまでがらっと変わったのなら、俺なんかもう関わらない方がいいや・・
過去の事件を掘り起こす必要はもうない・・少し休ませてもらったら借りた服を返して、
山を降りよう・・海が懐かしい・・・潮の匂いが恋しい・・・スバランの木の上では思わなかったけど・・
・・・・・静かだ、本当に静か・・・窓の外では天馬や飛竜が寒い中、行き来している・・・・・
ハプニカ様やみんな、心配しているのかな・・何も言わずに来たから・・
白竜がいなくなってるから気づいてはいると思うんだけど・・・うーん・・
・・・今、ハプニカ様が俺を追ってここへ来たら、どうしようか・・
木の上に戻って欲しいと言われたら・・やっぱり断るよ、せっかく脱出できたんだ、監禁されに戻る必要はない。
もうすっかりふぬけにされていたもんな・・監禁されてた実感が湧かなかった。
今度こそ誰にも邪魔されないうちに、そうだな、明日の夜明け前にはもう出よう!!
と同時にスバランの木が恐く感じる・・あそこの空気は危険すぎる。
それにしても無一文だと思ってた俺だけど、まだお金があったんだ、
アバンスのセルフ様が俺に各国を回ったお礼として、あらためてダルトギアへ、
お金を送ってくれていた・・ハプニカ様は黙っていたようだけど、さっきバニーさんから貰った。
おかげでこの山を降りるための服も買ってきてもらえたし、あの奥さんにも謝礼が出せる。
どこへ行くにしてもこれでとうぶんは生きていけそうだ・・アバンスかどこかで仕事探さなきゃ。
昨日までだったら激しい運動の後で疲れきってすぐにぐっすり眠れるんだけど・・・
今夜は静かすぎる、あまりにも静かだ・・・俺1人の夜・・お、落着かないなあ・・
心もモヤモヤしている・・・何だろう?締め付けられるような切なさが俺を苦しめてる・・・
うーん・・眠れない・・でも寝なきゃ・・・落ち着いて、落ち着いて・・・・・
体がムズムズする・・・耳に吐息がかかってくるような錯覚が!?
なんか、ララさんやリリさん、ハプニカ様の声が幻聴のように思い出される・・・
も、もうそうとうやばいぞこれは・・・全身の汗が止まらない!冬なのに。
我慢できない・・自分でしごくか・・でも、そんなんじゃあ物足りない・・よな・・・
そして全身をくまなくしゃぶりつくす、4姉妹やミルちゃんの責めが・・
木の上でも毎晩必ず誰かと交わっていたから・・もう、SEX中毒に、なってるようだ・・・
そして城の屋上へ・・ああ、ハプニカ様の、みんなの呼び声が・・・
はやく、みんなの所へ・・行かなくっちゃ・・うう、勃起しすぎて痛い・・・・・
無理矢理上に乗ってみるか・・でも寝返りとかされたらひとたまりも・・・
こ、ここから飛び降りれば、白竜はきっと起きて助けてくれるはず・・
すぐ近くで俺がピンチになれば、きっと・・これだけの高さなら大丈夫だと思う・・・
恐いけど・・戻るには、もうこれしか・・城壁をまたごうと足をかける・・・白竜、たのむ!!