巨大な結界が張られた部屋、

その中央で光っているのは人の形をしたブラッドレッドクリスタル・・・

違う、人じゃない、サキュバスだ!サキュバスの形で中央に浮いている、表情までわかる・・・

 

「すごい、芸術的・・・あれ?女王様は?」

「このサキュバスクリスタルそのものが、この国最後の女王・サマームス様です」

「えええええ!?じゃ、じゃあ、結晶化しちゃってるの!?」

 

わかる・・・黒い魔力がにじみ出ているのがわかる!!

でもかなり弱弱しく、人で言えば命を削って出しているみたいだ、

と、いうことは・・・大体わかったぞ、サキュバスクリスタルは、サキュバスが自らの命と引き換えに・・・!

 

「鋭いですわね、お察しの通りですわ」

「え?あ、まあ・・・でも一応、説明の方を・・・」

「かしこまりました、この土地は昔から地面が魔力を吸い取る地域なのです」

「うん、だから魔物でも特に魔力の高いサキュバスくらいしか住めない・・・敵を寄せ付けないためには良い土地ですね」

「だからこそ住めるようにするために、サキュバスクリスタルを造って魔力の源を置く必要があるのです」

 

で、城を建ててその中心部分、奥深くに・・・人柱、いや、サキュバス柱を置いて。

 

「サキュバスクリスタルに成れる者は魔力が飛び抜けて高い数名に限られています、それこそ領主レベルの方でないと」

「じゃあ、領主になるっていうことは、こうやって、固められちゃうっていう事?」

「いえ、通常は領主の任期を全うし、さらに寿命が尽きる直前に自らの意思でなるのですわ、何も若いうちに無理矢理する事はいたしません」

 

なんだ、ちょっとホッとした。

 

「しかし全てのサキュバスクリスタルを大戦のために徴集されてしまい、クリスタルになれるサキュバスはサマームス様のみに・・・!」

「そっか、それでなっちゃったんだ・・・可哀想に・・・」

「しかも、大戦に反対した罪で幽閉されておりましたゆえに、敗戦直前に無理矢理このように・・・サマームス様・・・うぅ・・・」

 

泣いてる・・・サキュバスだって、こうやって泣くんだ・・・

 

「でも、魔力が弱いですよね、しかも感じた所、徐々に弱くなってる気が・・・」

「ええ、サキュバスクリスタルは定期的にエネルギーの補充をさせて、大きな球体にまで育てなくてはなりません」

「エネルギーっていうことは・・・ひょっとして・・・・・やっぱり・・・精!?」

「その通りですわ、私達の食事もですが、大戦が終わるまでは暗黒竜の精をいただいておりました」

「あ!暗黒竜はもう全て根絶やしにしたはず・・・と、いうことは・・・サキュバスの餌が、いや食料が、もう無い!!」

 

そうとわかってたら10つがい位はサキュバスのために残すべきだった。

 

「ええ、暗黒竜でしたらこの土地でも平気な程の魔力はありましたから・・・」

「じゃあみんな腹ペコか・・・魔族第二の都市で手当て受けてるサキュバスの、食事は?」

「竜人族の方が何とかしてくださっているようですが、消耗が激しく大変なようですわ」

「それはきつい・・・って、じゃあ俺も!?まさか俺1人で、この国のサキュバス、ぜ、全部を!?」

「先ほど飲ませていただいた分だけでわかりましたわ、暗黒竜の精の1万倍は濃いエネルギーをお持ちのようです」

 

うう、なぜか勃起してきちゃった、ひょっとして、あの食事のせい・・・か!?

 

「あなたでしたら、サマームス様のサキュバスクリスタルもすぐに完成体へと・・・」

「どうすればいいの?まさか、この結晶を抱けとか・・・」

「さすがにそれは・・・挿入する場所がありませんから。ですから・・・かけていただければ」

 

かける・・・ぶっかけるのか、なんか嫌だなぁ。

 

「お手伝いさせていただきますわ、私の手で・・・」

「う・・・ちょっと待って!その前に、調べさせて欲しいんだ、こういう素材は魔道士としても興味深い・・・」

「終わってからでも良いではありませんか、さあ・・・」

 

背後からキュッ、と股間を両手で掴まれる!

パンツを降ろされ、くにくにこねこねとペニスをいじくり回すと、

あっという間にビンビン・・・やばい、やっぱりさっきの料理か水のせいで、あきらかに精が・・・はぁう!!

 

きゅきゅきゅきゅきゅ・・・・・

 

「い・・・いいっ・・・・いぐうっっ!!」

 

ぴゅうーーーっ!!

 

放物線を描いた白濁がサキュバスクリスタルに注がれる!

 

ピカピカピカッ!!!

 

「うわっ、まぶしいっ!!」

「きゃっ!?す、凄い反応・・・」

「・・・・うわ!精がついた所が、膨らんで固まってきた!」

 

大きな氷がくっついたみたいになってる、

反応して魔力のオーラもグンと強く感じ取れてきた・・・・

おかげで浮力もついたのか、ふわふわと少し浮き上がった。

 

「想像以上ですわ、領主様・・・いえ、救世主様」

「そんな言い方はちょっと・・・でも、おかげでサキュバスの形じゃ、なくなってきてる」

「仕方ありませんわ、それよりも、おかげ様で私の体も・・・あぁ・・・エネルギーが流れてくる・・・」

 

気持ち良さそうにうっとりとオーラを浴びているようだ、

肌の色の濃さもグンと魔力を増したよう・・・これで、よかったのかなぁ・・・

サキュバスを助けることに、とりあえず異論は無いけど・・・でも、どうしても助けたいことが・・・

 

「さあ、このままもっともっと注いで、完全体にしてさしあげてください」

「ひっ!し、しごかないでっ!その前にやっぱり、どうしても、確かめさせてっ!」

「何をですか?・・・ここからではもう届かないようですから、持ち上げますね」

 

俺を後ろから抱きしめたまま飛び上がる、

確かに下からじゃ精をかけられない高さになっちゃったからな・・・

サキュバスクリスタルに手を触れる・・・うん、間違い無い、これはまだ・・・・・生きている!

 

「ちょっと膨らんだ所へ・・・そう、そこでストップ」

 

さっき精がついて、盛り上がった所へ手をかざす。

白魔法を注いでみる・・・ポワッと暖かな明かりを出すと、

反発して黒いオーラが凄い勢いでそれを消しにかかってくる、それを我慢して・・・

 

「・・・・・うん、消せる、削れる」

「まあ!せっかく大きくしたサキュバスクリスタルを!」

「ちょっと試しただけです、その証拠に、ほら」

 

今度は黒魔法をかける、鈍い漆黒のオーラを浴びせるとそれを取り込んで大きく膨らむ・・・

 

「あら戻りましたわ」

「ええっと・・・今度は上にあがってください、真上へ」

「こちらですわね・・・何をなさるのでしょうか?」

 

こっち側はまだサキュバスの姿のままだ、

背中と頭部・・・ちょっと荒っぽいけど、なんとかいけそうだぞ?

 

「ミルネさん、俺ってここの領主になるんですよね?」

「ええ、なっていただかないと、我々は滅びてしまいますわ」

「サキュバスって、翼が無いと、死んじゃうの?」

「・・・死にはしませんが、多少の不自由はありますわ、飛べなくなる訳ですから」

「そっか・・・でも命には代えられないよね・・・ちょっと荒っぽい事をします」

 

結晶体となったままの大きな大きな片翼に手を掛ける・・・そして・・・!

 

「えいっ!!」

 

パキッ!!!

 

「きゃあっっ!?」

「し、しごいてっ!ミルネさん、い、いかせてっ!」

「はい!?では・・・・・」

 

しゅごしゅごしゅごしゅごしゅご!!!

 

「うっ・・・くうっ!!」

 

折った翼へ向かって・・・!

 

びゅうううっっ!!!

 

カッ・・・キーーーン!!

 

大きな丸いサキュバスクリスタルボールになった!!

 

「こ、これは・・・・・!!」

「はぁ、はぁ・・・これを育てれば、なんとかなります・・・」

「しかし、サキュバスの命を2つに割る事なんて、不可能なはず・・」

「・・・大丈夫そうです、人間の精にだって命は宿っている訳ですから・・・」

「あぁ、感じる・・感じるわ、感じますわ、これは・・・サキュバスクリスタル以上の魔力を・・・!!」

 

完全な球体になり、ゆっくりと回り始めた。

 

「ちょっと出来すぎかな?これだけで、もう元の倍以上の魔力を持っちゃってる」

「やはり人間とサキュバスの相性が、いえ、領主様とサマームス様の相性が飛びぬけて良かったのでしょう」

「これならあっという間に育つと思います、これでもう解決かな」

「・・・やはりお話で伺った通り、魔の血筋と聖の血筋を併せ持つ、人間で一番魔力の高いお方・・・素晴らしいですわ」

「さすがにこれを割ることはもう無理だけど、でも元の、サマームス様の翼はもう1つ残してあるから、これで2つ目を・・・」

 

・・・今すぐは無理かな、さすがに本体が、サマームス様のオーラがちょっと弱ってる。

 

「では3つにする事ができるのですね?」

「いや、2つですよ、だって、サマームス様を・・・元に戻すんだから」

「ええっ!?そんな・・・まさか、そんな事が、できるというのですか!?」

「うん、さっき最初に試したよね?白魔法でうまく治癒すれば、時間はかかるけどクリスタルになってる部分を元に戻していけて・・・」

「なんという夢のようなお話・・・ありがとうございます!!」

 

良かった、これで俺も、永住しなくて済みそうだ。

もどる めくる