・・・・・かろうじて見えていた太陽が、もうかなり沈んでいる。
夜になったら本格的に身動きが取れない、そうなれば確実に野宿だ。
この場に寝て、起きたら引き返そう、単なるやけに長い散歩で終わる。
「こういうのって、もうやめようと思うと、到着するもんだよな・・・?」
「まずいな、道そのものがわからなくなったら、帰れなくもなる」
魔力よりも体力が限界になる、それにこの場所だとせっかくの魔法もすぐ地面に溶けちゃうだろう。
知能をあまり持たない、それこそ猛獣や毒蛇、さらには怪物が出ないとも限らない。
「どうしようか・・・ああ、太陽が沈んでいく・・・完全に・・・・・消えた」
だったらしっかり迎えに来てもいいのに・・・うぅ、腹減った・・・メシだメシ。
「パンと水・・・まずい、水は半分どころか、あと3口くらいしかない」
町に行けばご馳走が、と思ったら、その町に着かないのなら、まさに蜃気楼・・・
ひょっとして、もうサキュバス族は滅びて誰一人いないんじゃないか!?
それで大戦の影響で、ここは更地に・・・その伝達が竜人王に届いてなかったとか・・・
迎えが来なかった時点で『話が違う』と魔城へ引き返せばよかった、それならそれでゴーレム族とか違う国へ回せてもらえただろう。
「よし、サキュバス族は国ごと滅びてました、めでたしめでたし、でいいや」
「夜中に気温が、急激に下がるとかないよな?凍死はごめんだぞ」
夜中でも走って戻りたい気が湧いたが、さすがに方向がわからなくなっては遭難する。
「サキュバス・・・何度か見たけど、人間だったらセクシーだよな・・・」
しかもエネルギー補給に竜人や鳥人、人間を捕らえて吸い尽くす・・・
魔物だ、と忌み嫌うのはきっと、その色気に負けて落ちてしまわないために、
自分に言い聞かせているのかも知れない、今の俺がまさにそう、変な想像をしないように心がけている。
・・・あんまり寝返り打つと、来た方向がわからなくなるな、荷物で位置確認を・・・
「どうしようか・・・単なる発光現象なら、迷子の危険があるな」
あとは目の前に谷底とかなければ・・・照明魔法を目の前に落としながら1歩1歩進む。
城壁のようなものに囲まれた、門の入口、両サイドに炎が灯してある!
いや、魔物だ!大きな黒い翼をつけ、おしりから伸びるしっぽで背中をポリポリ掻きながら両腕を空へ伸ばしている。
「ふぁあああ・・・夜早いの苦手・・・仲魔がいないからしょうがないけど・・・」
ひい、ふう、みい、3人ほどやってきた、1人が先頭、後ろの2人は滑車を引いているようだ、
紫のもやで表情までは、はっきりわからない・・・でもおそらく、この女たちは、きっと俺が探していた・・・!
「ええ、約束の11時には今から出なくては間に合いませんもの」
「ついでに物資を貰ってくるのね、敵の大将が話のわかる人でよかったわ」
「でも、まだまだ安心はできないわ、とりあえずは今、できる事をしましょう」
仕方がないから自力できたのに、まさか夜中の11時だったって事か!?
それに会話の様子からいって、生活自体が昼夜逆転しているようだ・・・
思い出した、大戦の時もサキュバスは夜襲が得意なんだったっけ、
昼に戦った方が奴らは弱いって話も聞いた覚えがある、夜行性の魔物だったのか・・・
「あら?おかしいわね、もうオトコの匂いが・・・しかもこれ人間ね、キャルミン、食べた?」
「いいえ、私はそんな事はしてないわ、でも・・・クンクン、ほんとだわ、美味しそう・・・」
「門の外ね・・・しかも門の影に隠れているみたいだわ、出ていらっしゃい!」
ここは素直に出よう・・・一応、防御魔法も心の準備をして・・・
「失礼、ようこそいらっしゃいました、貴方が新しい領主様であらせられますね?」
「私はここサキュバス国の首都・サバトゥスで女王代理を務めておりますミルネと申します」
「すでに伺っております、早速おもてなしを・・・マーサ、マサーナ、あなた達は支援物資を貰いに出なさい」
「領主様、あまり猶予はございませんので、早速働いていただきたいのですが」
「あ、ああ・・・うん、いいけど、とりあえず現状を把握したい・・・」
魔物といえど、いや、女の魔物だからこそ、ムチムチのばいーんぼいーんの、
肉厚がありつつも決してデブとは言い切れないような要所要所シェイプされたダイナマイトボディとか・・・
「え?もう街中なんだ、門は確かにくぐったけど・・・って、ひっ!」
近くもあれば遠くもあって、結構な数のサキュバスに、見られてる!?
「視姦されている訳ですから仕方ないでしょう、直に慣れていただけるかと思います」
そっか、目で犯されてるのか、ならムズムズするはずだ、体も・・・そして・・・股間も・・・
それを征してくれたのはキャルミンと呼ばれていた門番の子・・・ガードとしてついてきてくれてるのか。