「まだなのね・・キスもした事ないのに、私にえっちな事、教えて欲しいだなんて・・・」
冷たい手が心地いい・・そのまま首筋にかけて両手同時になでる・・
「そう、キス・・・はじめてのキス・・キスしないとエッチな事、始められないわ、
でも君の、イタルくんのとっても大事なファーストキスだから・・・自分で決めなさい、どう?私と・・・キスする?」
「ほら・・・勇気を出して・・・キスして・・・それとも初めては、取っておく?」
「うっ、ううん・・・流香さんが・・初めて・・が・・いい・・」
「そう、光栄だわ、君のものすごぉく大切なファーストキス、本当に私でいいのね・・・」
本当に綺麗な目だ、眼鏡を外すときつい感じがやわらぐのかなあ?・・・
「君の一生に残る大切なキスだから、君のしたいようにしましょう・・眼鏡外した方が、いい?」
「そう、眼鏡のままの私と初めてのキスをするのね、いいわ・・さ、いつでもいいわよ・・・」
勇気を出して・・・したいんでしょ?私は待ってるから、ほら・・・」
僕が落ち着くためにも、この厚い眼鏡を外してあげようかな・・・
でも、眼鏡のままの流香さんとキスしたかったのは本当だし・・・
それよりも、時間切れでキスさせてもらえなくなっちゃうかも・・・
あっ、ため息が流香さんの顔にかかっちゃった・・・でも何も言わず、じっと待ち続けてる・・・
ね、寝ちゃったのかな?そんな訳ない・・落ち着け!落ち着くんだ僕!これは流香さんが僕に、
キスを教えてくれてるんだから・・キスしないと、そのキスがどうかの採点もしてもらえない!
流香さんはすでに先手で黒い石を置いてくれてるんだ、僕も後手で白い石を置かないと・・・
簡単な手、というかまだ僕の最初の一手なのに・・投了・・するのはもったいなすぎる、
これで帰ったら一生後悔しちゃう、それに、大事なファーストキスを出来なかったなんてなったら、
流香さんが言ってたみたいに僕の将来にも・・・キスしなきゃ、キス・・待ってくれている流香さんのためにもっ・・・!!
やわらかい・・流香さんの唇が、ねちゃっ、と僕の唇とくっついてる!
ぴったりと合わせる・・息が苦しい!鼻に流香さんの眼鏡のレンズがあたって冷たい・・・
も、もうこれ以上は・・!ぐいっ、と顔を引く、流香さんの顔を見る・・・まだ目を閉じたままだ。
僕、き、ききききき、キスしちゃった・・・やわらかい感触・・・
唇と唇って、ちょっと吸い付くんだ・・下唇に指をつける・・あ、口紅が・・・!
ま、まだ無言の流香さん・・キスしたのがわからなかったのかな?
待ち続けているみたい・・もう一回、なんて、無理・・どきどきどき・・・
「でも、もうちょっとして欲しかったなあ・・私の事、そんなに好きじゃないの?」
「そうよね、私、教えてあげるだけだから・・私の事、本当に好きって訳じゃないものね」
「そんな事ないです!僕、流香さん、好きです、だから、だから・・・」