嫌な夢を見たもんだ、時間は・・・5時前か、あまり眠れなかったな、
外はあんまり明るくない、いや、逆にもう明るくなりはじめていると言った方が正しいかな?
霧子さんがいたもんだから、結構、寒い中で出たり入ったりしたよな。
北海道は寒すぎて逆に風邪をひきにくいっていうのは嘘だったのかも知れない。
ロビーについて、お水を・・・ん・・んぐ・・んぐぐぐ・・・・・・ぷはぁ・・・
普通だ、何もなかったように・・・何もなかったんだったら、そりゃそうだ。
僕「あ・・・朝日かな?・・・違う、赤い光がいくつもあるぞ?」
さらに消防車、違う、レッカー車も遠くからやってきた・・・わっ!
ボコボコになったワゴン車を吊ってる!事故でも起こしたのかな?
続いて救急車も・・・スリップ事故か、おっかないなあ、テレビでやってるかな?
アナウンサー「午後5時になりました、ここでBSニュースをお伝えします」
アナウンサー「北海道旭川で起きた強盗殺人事件の犯人グループは、本日午前11時過ぎ、
スリップ事故を起こし車が横転しているのが見つかり、中から全員が凍死して発見されました・・・」
ヘリコプターからの画像が見える、午後2時半の映像ってスーパーが出てるけど、
あ!いま、ここのペンションが映った!すぐ近くだ、道の先にはホテル跡があるから間違いない!
じゃあ、夕べの夢は、犯人が近くに来てたっていう予知夢なのか?ううっ、頭がガンガン痛いのが強くなってきた・・・
僕「アクセサリーかな?・・・違う、これは・・・・・薬莢!?」
確か夢の中ではこれを撃たれた気がするけど・・・あああああぁぁ・・・頭が、割れるぅぅ・・・・・
安静にしててもガンガンと内側から頭蓋骨を叩かれてるみたいだ、
血管の脈動すら敏感に痛みを感じる・・・これってひょっとして脳梗塞とか脳溢血とかじゃ・・・?
霧子「いえー、病人なんですからー・・・明日にはお医者様がいらっしゃいますー」
でも時間的に今夜の診察は無理か、駅前の小さな病院に無理してでも昼間、行きたかったな、
寝てたし霧子さんも忙しそうだったから無理か、不便だ・・・とりあえず頭痛を止める麻酔だけでも欲しい。
僕「汗より先に、あた・・・まの、頭痛の、鎮痛剤があったら・・・」
霧子「お食事の後にした方が良いと思います、では脱がせますね」
僕「え?ぶわっ!そんな強引に・・・はぁぅ・・・・・ぁ・・・気持ちいぃ・・・」
僕「そこまでしてくれなくても・・・あ、ありがとう、ございます・・」
霧子「いいえ、私の責任もありますから・・・夜遅くに慌てさせてしまって・・・」
霧子さんは悪くないのに・・・本当に良い人だなぁ・・・ぅぅ・・頭痛がまた酷く・・・
霧子「あら、そうですか、そうなさりたいのでしたら、どうぞー・・・」
僕「はい・・・ふぅ・・・結局、今日は筆を持てなかったなぁ・・・」
気が紛れる良い癒しになってくれてるような・・・ん・・・おいしい。
僕「だ、大丈夫ですよ、さすがにおかゆくらいは持て・・・いててててて」
霧子「まあ大変!じゃあ、こうしますから、落ち着いてください」
大きすぎる胸の中へ顔が埋もれる・・・あふぅ・・・心地いいぃ・・・
ガンガン痛む頭をやさしくなでてくれる、それだけで魔法みたいに痛みが退いて行く・・・
霧子「力を抜いてくださいね・・・しばらくはこうしていましょう」
こうしてるだけで、頭痛が治っていくような気がしてくる・・・。
霧子「明日、札幌から来るお医者さんが、痛みをちゃんと取ってくれますから・・・」
僕「はぃ・・・さ、札幌からってそんな、めちゃくちゃ遠い・・・」
霧子「しっかりした、ちゃんとした、専門医の方でないと、心配ですから・・・」
まさか本当はやっかいな病気でそれを隠してるとか?一晩でそこまではわからないよな・・・
確かに普通の風邪にしては頭の痛みが尋常じゃないけど・・・あぁ、癒されすぎて眠くなってきちゃった・・・
照れくさいけど、感謝しないといけないよな、心配してくれてるんだから。
夏は予約でいっぱいなはずだよ、東京に戻ったら友人知人に知らせよう。
僕「んぐんぐ・・・・んっ・・・・・痛みが和らいだら食欲が出てきたよ」
霧子「まあ、ではフルーツもお持ちしますね、その後で鎮痛剤を」
元気になったら何かお礼したい・・・でも今は休もう、それが霧子さんへの僕ができる事だ。
僕「そういえばニュースでやってたけど、強盗殺人犯が・・・いだだだだだ!!」
僕「はい・・・・・んぐっ・・・食べると痛みもやわらいできました・・・」