僕「ふぁ〜〜〜・・・眠くなってきた」

 

部屋へ帰ろうとロビーを横切ると、

霧子さんがインターネットをやっている。

このペンションのメール予約を処理してるみたいだ。

 

僕「先ほどは、失礼しました・・・」

霧子「いえー、私の方こそー・・・」

僕「じゃ、じゃあ、おやすみ・・・なさい」

 

うん、お化けじゃない、幽霊じゃない・・・

確かに透き通るような白い肌だけど、透明って訳じゃない。

足もちゃんとあるし、いま白い恋人ドリンクのホットを飲んだように、ちゃんと飲食もする。

 

霧子「あ・・・お使いになられますか?パソコン」

僕「いえいえいえ、その・・・こんな夜遅くまで大変だなあって」

霧子「でも、夜のほうが調子がいいんですの」

 

ははは・・・霧子さんは幽霊じゃなくヴァンパイアなのかもね。

 

僕「では、おやすみなさい」

霧子「おやすみなさいませ」

 

寝よう、今度はぐっすり眠れそうだ・・・・・

 

 

 

 

 

ベッドに入ってうとうとと眠りに入る。

霧子さんって、美人で、スタイルよくって、ほんと、いい人だよなあ・・・

気立てがよくって大和撫子って感じ。若くはないけど。それでも落ち着いてていいよな、

ちょっとぽけーっと物思いにふける事があるけど、仕事は完璧にこなすし、ワープしたかのような身軽さだし。

にもかかわらず、あの大きすぎる胸・・・知的な眼鏡と相まって、魅力を倍増させる。それでいて家庭的で・・・

 

僕「こんな辺境にいるにはなぜだろう・・・」

 

昔、男に酷い目にあったとか?

いや、そんな下世話な理由である訳がない!

あの清楚可憐かつ色気たっぷり・・・あ、矛盾してる・・まあいい・・・

きっと、純粋な気持ちで、大平原の小さなペンションをやってみたいっていう、

小さい頃に憧れてた夢を叶えたに違いない・・・ふぁああああぁぁ・・・・・もう寝よう・・・・・

 

僕「おやすみなさい・・・・・」

 

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

 

ブロロロロロローーー・・・

 

僕「・・・・・?」

 

大きな車が通る音・・・

毎日通る除雪車、にしては変だぞ?

雪を吐き出す音がしないから・・・トラックにしても変だし・・・

このペンションのある道は本道から大きく外れてて近道にはならない、

事故かなにかの迂回としても遠すぎるし、通るのは本道を通った除雪車が帰りにおまけで通ってくれるだけ・・・

 

僕「除雪車の故障かな?まあいいや・・・」

 

パリーン!

ガシャーーーーン!!

 

僕「な、なんだなんだ!?」

 

ロビーの方向だ!!

慌てて部屋を飛び出すと・・・

 

霧子「きゃああああああああああああ!!!」

 

どうした!?熊か!?

 

僕「霧子さん!!!」

 

廊下に立てかけてあったモップを手にロビーへつくと・・・!!

 

霧子「や、やめてええええええええ!!」

僕「なんだ、お前らは!!」

 

黒ずくめの武装した連中が4人も!!

 

男A「おっと動くな!こっちは旭川で何人も殺してきたんだぜ」

男B「大人しく食い物とガソリンと、あと金もあるだけ貰おうか」

僕「お前ら・・・ニュースでやってた強盗か!?」

 

大きなナイフをチラチラ見せつける。

 

男C「わかってるなら話が早い、この女を傷つけられたくなかったら・・・」

霧子「わ、私はどうなってもいいから、このお客様だけには・・・」

男D「うおーい、どうせならこいつら縛り上げて、朝までやっかいになるか」

 

ビリビリとカーテンを破り、それで霧子さんや僕を縛る。

抵抗したいけど・・・霧子さんの首元に光るナイフを見ては・・・うぅ・・・

強盗たちはあちこちを好き勝手に物色してる、2人は奥へ・・・そうだ、見張りが1人になればチャンスが・・・!

 

僕「金ならくれてやる!だけど、そんなにないぞっ!強盗してきたなら、数万円なんていらないだろっ!」

男A「甘いな兄ちゃん、銀行の札束は番号で跡が付くから処理がいるんだよ、お前らの番号なら控える暇ねえからな」

男B「おーーーい!なんかいいものあったかーー?他に人はいねえかーーー?」

 

霧子さんが怯えている、僕が何とかしないと・・・

ナイフを奪うべきか、銃を奪うべきか、置いて逃げて通報なんてできやしない!

どうにかして1人だけにする方法を考えなきゃ・・・でもどうやって?いざとなったら怪我覚悟で2人を相手にしよう!

 

男A「ほう、姉ちゃん、よく見たら美人だな・・・いや、おばさんか!?」

男B「こんだけ乳がでけえなら、どっちだっていーや!うひゃひゃひゃひゃ!!」

僕「よせ!やめろ!変な事をしたら、ただじゃおかないぞ!」

 

ドカッ!!

 

僕「うがぁ・・・」

男A「何にもできねえだろうが!俺はこうやって蹴れるけどな!!」

 

ドカドカドカッ!!

 

し、しまった・・・縛られてたら脅しも逆効果・・・

でも、こうやって僕が的になってれば、霧子さんは・・・

 

男B「どんな乳か見てやるぜ、げへへへへ」

霧子「いや・・や・・やめてぇ・・・」

男B「へへへ、いい揉み心地だ、垂れてなけりゃいいけどよぉ・・・」

 

あぁ、すでに服の上からだけど触られてるっ!くそっ!!

 

男C「おーーい、他に人はいなかったぜ、食い物もほら、酒もこんなに!」

男A「よくやった、これなら船で外国逃げるとき、十分足りるな!」

男D「俺は管理人室を見てきたけど、薬が大量に、引く程あったぜ!おい、あれは何の薬だ?ヤクか!?」

霧子「あっ、あれは・・・あああぁ・・や、やめてっ!も、揉まないでえっ!!」

男B「ぐへへへへ・・・すげぇでかくって、エロい体していやがるぜ、ひっひっひ・・・」

 

もう見ていられない霧子さんの表情・・・

眼鏡がずれそうになってる、ああ!服の中に手を!

 

男D「それと管理人室にあった大きい金庫、あれを開けてもらおうか」

男C「そこの兄ちゃんの財布はもう貰っておいたからな!思ったより持ってんじゃねーかよ!」

霧子「お、お客様にこれ以上、手は・・・わかりました、あ、開けますからっ!」

男A「よし、じゃあついてきて貰おう、この男はお前とお前が見張ってろ!」

男B「ええっ!?・・・仕方ねぇ・・・おいお前、下手に動いたらこれで終わりだからな」

 

ライフルを持ち出し、銃口を僕の頭に向けた!

 

男C「じゃあ俺は持ってきたもん食うぜ!このベーコンうまそー」

男A「ほら歩け!で、薬とかいうのは何なんだ?あーん?」

霧子「は、はい、あれは・・その・・・血液の、く、薬で、血液の中に溶かして・・・」

男D「携帯電話とか持ってねえだろうな?・・・まあどっちみち圏外か」

僕「き・・・霧子・・・・・さん・・・・・」

 

縛られたまま連れて行かれた、

守ってあげたい、助けたいけど、引き金を引かれたら終わりだ。

後ろ手に縛られてるから、どうしようもない・・・

でも、この姿勢のまま朝までは無理だろう、絶対に隙は出るはずだ。

ベーコンやコンビーフを頬張る男がパソコンに気付いた、そうだ!あれで助けは呼べないか・・・?

 

男C「お!ネット繋がってんじゃん!・・・出てる出てる、俺たちの事件がニュースになってるぜ!」

男B「俺にも何か食い物くれよ、あとお前は運転手なんだから食い終わったら少し寝ろ!」

男C「あいよ!じゃあ酒は飲んじゃまずいな、飲酒運転で捕まっちまう!ぎゃははははは」

 

・・・面白い事を言ったつもりか?くそっ!

管理人室の霧子さんが気になる・・・そもそも僕だって、生かしておく必要は無いだろう、

あえてあるなら僕を殺されたくなければ金庫の番号を言え、と霧子さんを脅すくらい・・・ということは開けたら僕は・・・

 

霧子「きゃああああああああああああ!!!」

 

響く叫び声!

まさかあいつら、金庫が開いたからって霧子さんを!?

 

男B「動くな!!!」

 

くそっ!!

こうなったら、頭突きで・・・

 

霧子「いやぁ!あああぁぁ!あああぁぁぁぁ〜〜〜!!」

 

こ、こ、この声は・・・霧子さん、乱暴されてる!?

 

男B「うわ!あいつらだけ、ずりぃ!」

男D「食い気より女だ!俺もまざるぜ!」

男B「こらっ!よし、俺も行くぜ!兄ちゃん悪いな!」

 

えっ!?

 

ダァーーーーーン!!!

 

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