部屋で椅子に座りながら淫魔法を読む。

 

僕「・・・やっぱり守秘義務系が多いな、そして細かい」

 

ここまで縛りがある所を読むと、

きっと霧子さんが飛んで送り迎えしようかと言ったのは、

そういう事は駄目ですよ、厳禁ですよという事を逆に教えるためだったのではと思う。

 

僕「じゃあ、ひとっとびで送ってください、って言ったら怒られたんだろうな・・・」

 

あとは・・・当然だけどサキュバスに対する法律が中心だ、

インキュバス専用の法律は全体の2割くらい・・・精液はあくまで提供であって売ってはいけないとか・・・

終盤のページは共通の法律だ・・・あれ?共通条例の最初のページはどこだ?2枚同時にめくっちゃったかな、どこだどこだ・・・

 

シュッ!

 

僕「あつっ!!」

 

紙で指を、切った!!

 

僕「いたっ!いだ!いだだだだだだだだ!!!」

 

熱い!痛い!苦しい!

凄まじい激痛が指を襲う!!

ちょっと指が切れただけなのに、腹を刀で裂かれたみたいだ!!

 

僕「痛い痛い痛い!!いっづうううううううううう!!!」

 

じわりと血が滲んでいるだけなのに、

動脈でも切られて噴出してるかのような激痛だ!

これはやばい!このままじゃ、ショック死するくらい、痛い!!!

 

僕「いだあああ!!ぐあああああっ!がああああああああ!!!」

 

バタン!!

 

霧子「どういたしました!?」

 

飛んできた霧子さん!

メイド服の背中から翼を出して、文字通り飛んできた!!

慌てて痛がる僕の指を確認すると、両手で包んでやわらかい光をこめる・・・!

 

ポワッ・・・・・

 

徐々に痛みが退いていく・・・

あぁ、ジンジンとした鈍い痛みに変わって、やがて・・・

完全に治まった、スッと手が離れると何の痕も残っていない綺麗な指に・・・!

 

僕「はあっ、はあっ・・・ありがとうござい・・・ました」

 

うわ、首筋が汗でびっしょりだ。

 

霧子「申し訳ございません!まさか本で指を切るとは・・・」

僕「い、いや、これは完全に僕のせいだから・・・それより霧子さんが近くにいてくれて助かったよ」

霧子「これは私のミスですわ、想定できなかった、見落とした私がいけなかったのです、ごめんなさい・・・」

 

あ、泣いちゃいそうだ!

 

僕「も、もう痛くないから!ほら!じゃあそろそろ、ベッドで横になるよ」

 

う・・・体中のありとあらゆる触感が過敏になってる、

歩くのも、布団に入るのさえも1つ1つの感触が大げさに・・・

これ、寝返り打つのも大変だぞ!?掛け布団は外そう、霧子さんが気付いてどかしてくれた・・・。

 

霧子「では私は昼食の続きを作ってまいります」

僕「すみません・・・火をかけっぱなしとか、ないですよね?」

霧子「ええ、熱したり冷やしたりするものは使えませんから」

 

よかった、安心した。

って、じゃあどんな料理が出てくるんだろう?

人肌のもの・・・熱いご飯は無理でも、おにぎりならいけるのかな?

 

僕「霧子さん・・・ありがとう」

 

 

 

 

 

遅い昼食のサンドイッチを食べ終え、

ベッドでぼーっとする、美味しかった・・・味覚も2倍3倍になったみたいだった、

さあ、これから感覚が10倍20倍になっていくんだ、もう変に動けないぞ、テレビのリモコンが精一杯だ。

 

僕「とはいえ音も小さめで・・・凄いな、スピーカーからの振動まで敏感に感じる」

 

夜には早めに寝よう、そうやってやり過ごした方がいい・・・

 

僕「トイレも明日朝まで我慢できるかな?しなきゃな・・・」

 

・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・ぼーっとテレビを眺め続ける。

 

僕「・・・・・暇だ」

 

バラエティとかで笑っちゃって腹筋つったら大変だ、

かといって悲しいドラマで胸を痛めても激痛になっちゃう、

仕方なくどうでもいい通販番組・・・でもなぁ、買いたい物なんてないし・・・

 

霧子「きゃああああああああああああ!!!」

 

な、な、なんだなんだなんだ!?

 

僕「霧子さん!!!」

 

今度は僕が助けなきゃ!

慌ててベッドを降りると足が地に着くだけで大きな抵抗を感じる!

ドアノブを握るだけでも電流が流れるように痺れる!でもそんな事、構っていられない!!

 

たたたたたたたた・・・

 

どこだ!?確か声はロビーの方・・・いた!

 

僕「どうしたんですか!!」

 

そこにいたのは椅子にゆったり腰をかけ、

パソコンの画面を見ていた霧子さん!驚いた表情だ。

 

霧子「まあ、安静にしていなくては・・・」

僕「だって霧子さんの悲鳴が、凄い悲鳴が!」

霧子「それでしたら・・・これですわ」

 

と、モニターを見ると・・・あ、ホラー映画か、

DVDをパソコンで再生して見てたようだ、

髪の長い女幽霊があちらこちらから出てくるシーン・・・

 

僕「なーんだ・・・よかったぁ」

 

へなへなとしゃがみこむ僕、

ロビーまで走ってきただけなのにフルマラソンしたかのような疲労だ。

 

霧子「まあ大変!ご無理なさって」

僕「でも、何もなくてよかったぁ」

霧子「・・・ベッドまでお運びいたしますわ」

 

丁寧に僕をお姫様だっこすると、

歩いて振動しないようにか翼を広げてふわりと浮いた、

いつでも僕の所へ飛べるように背中のチャックを常時、開いてたみたいだ。

 

バサバサバサ・・・

 

霧子「さ、安静に、安静に」

僕「はい、びっくりしちゃってまだ胸がどきどき・・・」

霧子「つい見入ってしまいまして・・・ほんと、よくできたホラー映画ですわ」

 

本物である淫魔のサキュバスが言ってるんだから間違いない。

部屋まで運んでくれると、丁寧に僕をベッドの上へ・・・ほんと力持ちだよなぁ。

 

霧子「さあ、横になって・・・何か欲しいものとかはありますか?」

僕「いや、特には・・・今の所は、ないかな」

霧子「遠慮なさらず何でも我が侭に言ってくださいませ」

 

♪カランコロンカラ〜ン

 

男の声「すみませーん、山猫運輸でーす」

 

東京の荷物が届いたみたいだ!

 

霧子「では行ってまいりますわ、1人で残すのは心配ですが・・・」

僕「大丈夫だよ、何もしないから」

霧子「そうですか?それでは荷物の指示を、できるだけ早くしてまいりますから」

僕「いってらっしゃ・・・霧子さん、背中、背中!しまわないと!」

霧子「あら!危ない所でしたわ・・・では・・・背中をあげてくださいます?」

 

翼を仕舞い終わった背中のチャックを上げる・・・

あのままの格好で行ったら大変な事に!霧子さんってやっぱり天然かも?

 

霧子「それじゃ・・・あ・な・た」

 

ちゅっ♪

 

いつも以上の残る唇の感触を残し、

足跡ひとつたてず慌てて出ていった・・・

あいかわらず関心するな、メイド走りとでも言うんだろうか?

 

僕「さて・・・音を消したテレビでも見てるか」

 

でも画面の光すら見てるときつくなってくるんだよな。

疲れたらすぐに寝ようか、でも中途半端に夜、起きると感度が凄い事になっていそうだから・・・

 

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

 

♪カランコロンカラ〜ン

 

僕「ん?もう帰ってきたのかな?」

 

時刻は4時半過ぎ、早く終わったみたいだな、

本当に荷物を置くだけならそんなに時間はかからないか・・・

 

ガチャッ

 

香奈々「お兄ちゃ〜ん♪」

 

入ってきたセーラー服姿の少女、香奈々ちゃんだ。

 

僕「やあ、もう三者面談は終わったの?」

香奈々「うんー、それでママの車で霧子さん、スーパー行ったよー」

僕「そっか、たまには自分で食材を選ぶのも大事だからね」

 

にこにこしながら僕の顔を見つめてる。

 

香奈々「あとねー、こっち泊まる荷物も持ってきたのー」

僕「へー・・・あ、そういえば泊まるって霧子さんの部屋だよね?」

香奈々「そだよー、あ、私用のメイド服できたのー、着てくるから待ってて〜」

 

部屋を出ていった、香奈々ちゃん用のメイド服って・・・

中2のサイズっていったらかなり小さいよな、というか香奈々ちゃんも中2にしては小さい、

標準サイズで言えば小6用くらいのはず、って小学生が着るメイド服なんてあるのか?オーダーメイドだろうな。

 

香奈々「着たよー」

 

はやっ!廊下で着替えたのかよ!!

 

ガチャッ

 

入ってきた香奈々ちゃん、その姿は・・・!

 

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