朝、飛行機・電車と乗り継いで、駅まで車で迎えに来てもらった。

お土産を渡し、香奈々ちゃん家の車でペンションへと戻る・・・

いつもは助手席のはずの香奈々ちゃんが、なぜか後部座席の僕に甘えてきてる。

 

香奈々「えへへへへ〜〜〜♪」

僕「どうしたの?随分とゴキゲンだけど」

香奈々「おにぃちゃ〜ん、お土産ありがと〜」

僕「うん・・・そんなにお土産が、気に入ったの?」

香奈々「そうじゃなくってぇ〜・・・ないしょ〜♪♪」

 

ちょっと懐きすぎてるな、異常なくらい。

代わって助手席にいる霧子さんが嫉妬・・・する訳ないか、相手は中2だ。

 

霧子「私の主人をあんまり困らせないでね」

香奈々「困ってなんかないよね〜、ねぇ〜〜〜♪」

僕「ははは・・・何かいい事でもあったの?それより学校は?」

香奈々「今日は三者面談だから午後から行っておしま〜い」

僕「そうなんだ、で、明日の土曜は?北海道の雪深い所って冬休みが早いんだっけ?」

 

懐いているというより、絡み付いてきてる・・・

猫が匂いをつけにきてるみたい、手の動きもちょっといやらしい。

いや、中2の女の子だから、まだそんな意図していやらしい動きをする訳が・・・

 

香奈々「冬休み、始まりはクリスマス前だけど終わりは1月の真ん中くらいだよー」

僕「そっか、てっきり明日あたりにもう終業式かと思っちゃった」

香奈々「でも明日は他の子の三者面談があるから1日中お休みだよー」

 

う、手をなぜか服の中へ入れようとしてくる、なんでだ!意図はなんだ!まあ、じゃれてるだけか。

 

霧子「見えてきましたわ」

僕「長かった・・・やっとついた!」

香奈々「もうついちゃったぁ〜?ざんね〜ん」

 

さあ、荷物、荷物っと・・・

 

香奈々「いくつか持ってあげる!」

僕「え?いやいいよ、結構重いのもあるから・・・」

香奈々「平気だよー、お手伝いに来た時の練習させて〜」

 

玄関前に付くと強引に持って降りちゃった、

まあいっか、あの位の女の子は精神的に不安定というか、

躁鬱とまでは行かないけど気分の波がハイな日やブルーな日もあるんだろう。

 

香奈々「あけて〜〜」

霧子「はいはい、ではペンションの鍵を・・・」

僕「あ、香奈々ちゃんのお母さん、ありがとうございました」

 

カランコロン〜♪

 

僕「帰ってきた・・・・・我が家に」

霧子「早速、朝食の準備をいたしますわ」

香奈々「お兄ちゃんが帰ってきたぁ〜〜〜♪」

 

きゅうっ、て胸に抱きついてきてる、

あ、いい匂い・・・香奈々ちゃん生意気にも香水か何かしてきたか!?

中2って色気付く年頃だもんなぁ、って眼鏡がずれちゃってる、直してあげなきゃ。

 

僕「眼鏡落ちちゃうよ」

香奈々「きゃっ!?・・・・・えっちぃ〜〜〜」

僕「な、何をむくれてるんだよ、眼鏡触ろうとしただけなのに・・・」

 

ほんっと、デリケートだ。

 

僕「さて、手荷物がまだ・・・」

霧子「もう全て運びましたわよ?」

僕「はっや!ごめん、じゃれついてる間に」

香奈々「じゃあお兄ちゃん、またくるね〜」

僕「うん、またね」

 

って、背伸びをしてきてほっぺに・・・

 

ちゅっ♪

 

香奈々「じゃ〜〜〜ねぇ〜〜〜」

 

うー、今度は大胆・・・感情が支離滅裂だなもう。

 

霧子「仲がよろしいのですねー」

僕「いや、別にこれは、ほら、相手は中2だし・・・」

霧子「そうですわね、中学2年生の女の子に、焦ったりする方がおかしいですわよねー?」

 

うっ・・・笑顔がこわひ・・・

それを言うなら中2に嫉妬する方だって!

と言おうかと思ったけど、やめておこう・・・後が怖い。

 

ブッブー!

 

クラクションを鳴らして車は去って行った・・・。

 

 

 

僕「ごちそうさま〜お腹いっぱい!」

霧子「朝からカレーもよろしいでしょう?」

僕「うん、具も大きくて美味しいし・・・牛肉も手間がかかってそうだね」

霧子「サラダも今朝、お土産のお返しにいただいたものなので新鮮でしたわね」

僕「これだけ満腹になるとお昼は軽めでいいよ、さて・・・もうすぐ11時か」

 

0時半くらいから安静にしなくちゃいけない・・・

う〜ん、1時間だけでも絵を描くかな?そうだな久々に・・・

 

僕「じゃあ絵の続きに行ってきます、1時間で戻りますから」

霧子「そうですか、では私は週末のお客様の準備を・・・」

僕「あ!そっか、じゃあ僕も手伝いをした方がいいよね」

霧子「まだ平気ですわ、それより今はあなたのしたい事をして下さい」

僕「うん、わかった・・・ありがとう、じゃあ行ってくるよ」

 

まあ、重いものを運んで怪我でもして、

痛めたまま感覚が何十倍になったらやばいもんな。

絵を少しでも進めて売って、霧子さんを金銭的に助けるほうがいい。

 

霧子「よろしければ送り迎えいたしましょうか?」

僕「大丈夫、だって車とか無いでしょ?」

霧子「ほら、空をひとっとびすれば、すぐに」

僕「い、いいよ!万が一、誰かに見られたら言い訳の仕様が・・・」

霧子「その時は巨大トンビにでもさらわれたと言えばよろしいかと」

 

うーん、本気なのかウケを狙ってるのかわからない、まあいいや。

 

霧子「では、あなた♪」

 

ちゅっ

 

僕「はは・・じゃ、部屋で画材道具持ってそのまま行ってきます」

霧子「雪で滑らないように、お気をつけて」

 

うーん、霧子さん・・・やっぱり素敵な人だ、うん、愛してる。

 

 

 

いつもの低位置に座ると待っていたかのようなタンチョウヅルの群れ、

普段と変わり無いのに、今までとあきらかに違うものを感じハッとする。

 

僕「これは・・・わかる、タンチョウヅルの、躍動する命の炎が・・・」

 

これをオーラとかエナジーとでも言うのだろうか?

溢れる生命力がまるでサーモグラフィーのように感じ取れる。

これは・・・描くしかない!そして、描ける!今まで以上に躍動感満ちた絵が、作れるぞ!!

 

僕「すごい、これがインキュバスの力なら、凄すぎる」

 

前より重厚で、活きた絵を描けるぞ!

これはきっと、僕の寿命が半分になったから、

感じ取れる感覚がその分、倍になったんだろう!

もしくはすでに感じる力が増している状態だから?

どっちにしろ、今のこの僕なら凄い作品になるぞ!よーし!

 

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・ピピピピピッ

 

僕「あ!携帯電話のアラームが・・・もう正午か」

 

でも、この絵の出来栄えといったら・・・

凄すぎて恐ろしいくらいだ、1時間しか描いてないのに、

1日分丸々進んでいる!しかも納得いく、いや、それ以上の完成度!!

 

僕「これ、このペースだと3週間もあれば完成しちゃうな」

 

まあ細部の修正でもうちょっとかかるだろうけど、

こういう能力が付くのであれば嬉しいな、なった甲斐がある。

ただ、生き急いでる感じがしないでもないけど・・・さて、さっさと帰ろう。

 

僕「ううぅ・・・寒い、日は出てるのに・・・」

 

やっぱり感覚が鋭くなりはじめたみたいだ、

はやく戻って安静にしなきゃ・・・遅いと霧子さんが飛んで迎えに来ちゃう。

でも急いでこけて怪我したら大変だし・・・慎重に急いで、慎重に急いで・・・

 

・・・・・♪カランコロンカラ〜ン

 

霧子「おかえりなさい」

僕「ただいま、無事についた〜」

霧子「ではベッドでお休みになってください、はい、これを読みながら」

 

と渡された本は・・・淫魔憲法日本版!

 

僕「ありがとう、しっかり読むよ」

霧子「午後に届く引越しの荷物は、私の方で指示しておきますので」

僕「ホテル跡に放り込んでもらってください、適当でいいですから」

 

昼食は・・・まだ全然早い、

今のうちに、と思ってもお腹空いてないからなぁ、

刺激の無い物なら食べて平気なはずだ、2時くらいに食べよう。

 

霧子「定期的に様子を伺いますね、では露天風呂の掃除をしてまいります」

僕「はい、体が戻ったら僕が毎日やりますから」

霧子「頼もしいですわ、でももっと大事な仕事があなたにはありますから」

 

もっと大事な・・・絵かな?それとも・・・子作り!?

 

僕「じゃ、じゃあ・・・今のうちにトイレ行っておこ」

 

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