引越し作業を終えるとすでに夕方だ。

 

僕「さあ綺麗になったぞ、もうこれで引き払える」

霧子「まあ、飛行機の時間が迫っていますわ!」

僕「うん、じゃあ駅までタクシーに・・・んむむ!!」

 

おもむろに重なってきて唇!

がらんとした部屋で、ただ抱き合ってキスだけをする・・・

深い深い、情のこもった舌に頭がぼーっとなり、だらんと両腕が下がる・・・。

 

ちゅっ、ちゅぴっ、じゅぶっ、ちろちろっ、ぬちゃぬちゃっ・・・

 

あぁ、誰にも邪魔されない2人っきりの空間だからこうなるのか・・・

しかもこのキス、霧子さん相当我慢していた感じだ、舌を貪ってきている・・・

まるで『この餌は私のもの』と勝ち誇るかのようにペースを握ったキス、それに翻弄される・・・。

 

僕「・・・・・ぁぁ・・」

霧子「・・・・・んふっ・・・」

 

や、やばい、起ってきちゃった、

キスに夢中でいつのまにか抱きしめられてるのに気付かなかったし、

気付いたら気付いたで、大きな大きな胸が密着して、僕の心を埋もれさせようとしてくるっ!

 

くちゅくちゅっ、ちゅぶちゅぶちゅぶっ、れろれろれろれろれろっ・・・・・

 

あああ、夕べの、インキュバスにされた時の記憶が蘇ってくる!

あの恐ろしくてそれでいて凄まじい快感を、すっかり脳裏と体に焼き付けられた吸い尽くされる喜びを・・・!

 

霧子「・・・・・んっ、はい、ここまでですわ、続きは帰ってから・・・」

僕「ぁ・・・ぁふうぅぅ・・・」

霧子「さあ、駅へ・・・その前に口紅が付いてしまいましたわね、お拭きしますわ」

 

ううう・・・この勃起どうしてくれるんだぁ・・・あ、しぼんできた。

 

 

 

午後7時前には羽田空港についた、

フライトまで45分・・・ちょっと空港内で買い物をする、

今度は札幌へ持っていくお土産に、あとは・・・本屋に安いDVDが並んでる。

 

僕「そうだ!霧子さん、参考資料があったよ」

霧子「はい?絵のでしょうか?」

僕「ううん、最新のとまでは行かないけどホラー映画の」

 

またクラシカルな幽霊の格好で笑わされたら、たまんないからなぁ・・・霧子さんも傷付くし。

 

僕「リング・・・呪怨・・・着信アリ・・・怪奇大家族は違うな日本じゃ珍しいコメディホラーだから」

霧子「まあ怖そうですわね、でもそんなに買って大丈夫ですの?」

僕「廉価版だからね、洋画も買っておくか・・・でも洋画は1980〜90年が一番いいんだよな〜」

 

やっぱり霧子さんが意図する『精神的恐怖』は日本のホラーがいいな、

あと昔はエロティックホラーていうジャンルが確立されてて妖女伝説セイレーンとか、

アニメでもホワイトシャドウとか・・・そのあたりはネットで観る有料動画サイトに繋げばいいか。

 

僕「やっぱり外国のホラーは単にびっくりさせるだけのが多いから、日本のこれで」

霧子「わかりました、勉強させていただきますわ」

僕「はい・・・って霧子さんが持っていっちゃ・・・ま、いっか」

 

レジに並んじゃった、

売れた絵のお金で買うみたいだし、

どっちみち財布はもうほとんど一緒だもんな。

 

僕「・・・・・あれ全部見終わったら、どんなことされるんだろう」

 

想像しただけでゾクゾクする・・・

でも、それが楽しみに感じるのは、やっぱりインキュバスになったからなのかも・・・

人間のとき、ペンションで霧子さんが迫った時の恐怖、あれ以上のものが・・・・・待っていそうだ。

 

僕「じゃあ僕は食品を・・・香奈々ちゃんはプリンでいいかな」

 

あとは・・・東京とはこれで当分お別れだから、

自分用に何か記念って訳じゃないけど今まであえて買わなかったような、

雷おこしとか、銘菓ひよことか、もしくは形に残るような・・・東京タワーの置物はいらないよな。

 

霧子「買ってまいりましたわ、あらお土産でしたら程ほどにしておいてくださいませ」

僕「うん、でも自分用っていうか、こういうの持って行きはしても自分じゃまず食べないから・・・」

霧子「よろしいですが、北海道の空港でもお客様にお出しする用のお土産を買っておきたいので」

 

そっか、僕は東京でのお土産の事ばかり考えてたけど、

霧子さんは東京や大阪、本州から、いや、北海道以外の場所から来たお客様のために、

北海道土産をあえて買ってペンションで出すのか、僕も夜にお腹が空いて、白い恋人を貰ったっけ、ためになるなぁ。

 

僕「じゃ・・・自分のは、やわらかいひよこ饅頭だけにしておこう」

 

ペンションで安静にしなきゃいけない時間、

お腹が空いたらこれなら食べても平気だろう、

硬くなく熱くも冷たくもない、刺激も強くないから。

 

霧子「夕食はどうしましょう、今から空港で、ですと時間があまり・・・」

僕「んー、手料理がいいかも・・・まだ明日の朝は普通の食事でいいんだよね?」

霧子「そうですね、お昼から変化が表れますから、明日の朝はお好きな物を・・・ただ・・・」

僕「あ、朝だから重い食事は無理か・・・かといって電車の中とかで手料理は無理だし、まあ、駅弁でもなんでもいいや」

霧子「わかりましたわ、そのかわりと言っては何ですが、食べさせてさしあげましょう」

 

う・・・電車の中で『あ〜ん』は、恥ずかしいぞ・・・。

 

 

 

霧子「・・・・・(すやすや)」

 

機内、霧子さんは疲れたのか眠っちゃってる、

さすがに忙しかったからなぁ、体を休める暇ってあったっけ?

ラブホではある意味、あれが東京へ来たメインていうくらい大変だったからなぁ。

僕が眠った後もシーツの交換とか、体も拭いてくれたみたいだし、霧子さん大して寝てないだろう。

そっとしておいてあげよう・・・機内誌でも読むか・・・あいかわらず広告が多いなぁ、まあ無料だから・・・あ!

 

僕「このカメラ持った眼鏡の女優、栗河原千尋だ!」

 

実はサキュバスの・・・案内VTRでは和服だったけど、

これはドレスを着てる、私の黒髪もこんなに綺麗に!か、

黒い翼も美しかったなぁ、黒い尻尾も・・・女は魔物というけど、これは魔物の女だ。

あらためてインキュバスになって見てみると、この目とか淫魔独特のそれっぽい、写真なのにゾクッとする。

じーっと見てると段々と僕を獲物として見ているような気がしてきて、て、手が震えてきた・・・慌てて雑誌を畳む。

 

僕「す、すごいな・・・」

 

写真になっても目だけでインキュバスの心を犯してくる・・・

一線級のサキュバスとは、まさにこの事なのだろう、鈴崎会長も別格だった。

そういえばこのサキュ・・・女優、ホラー映画も出てたよな、髪の毛が伸びて襲うやつ・・・

あれを霧子さんにあげれば良かった、まだ公開して日が経って無いから廉価版は出てないのだろう、

札幌で新品を・・・まだいいか、いきなり情報をいっぱい与えても霧子さんがこんがらがっちゃう、序々にでいい。

 

僕「さて、気を取り直して機内誌を・・・」

 

さっきとは違うページを・・・えい!

 

僕「うわっ!!」

 

また栗河原千尋!

今度はアイスモナカ食べてるし!!

うー、雑誌にもかかわらず、このサキュバスに取り付かれた感じだ。

 

僕「・・・一発でこのページ出るのって、どのくらいの確率だ!?」

 

って他のページ見たらまた出てきそうだ、

とりあえず今現在は隣で寝てるサキュバス1名で間に合ってる、

前の網に突っ込んで戻す・・・機内ラジオでも聞くか、って嫌な予感が・・・!

 

ラジオの声「宮森ゆま子がお送りする、空飛ぶアニメソング放送局ぅ〜♪」

 

ひいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃ〜〜〜〜〜・・・

 

僕「この声優はぁ・・・!!」

 

同じくサキュバス紹介VTRでナレーション担当してた、

さ、ささ、さきゅばす声優・・・うぅ、しょうがない、とりあえず寝よう・・・

もっ、もちろんイヤホンは抜いて!これ聞きながら寝たら、間違いなく夢で犯される!!

 

霧子「・・・・・zzzzz・・・・・」

 

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