いない・・・誰もいない、

ちゃんと医療ベッドがあって、

精液溜めるタンクもチューブ付きである、

でも人がいない、ナースもサキュバスもインキュバスも・・・中は綺麗なもんだ。

 

僕「ひょっとして・・・・・死んじゃった?」

ナース「いえ、ここは・・・貴方の部屋です」

鈴崎「新しいインキュバスをいつでも迎え入れられるように空けてあるのです」

久喜「今まで見てきた事を、今度は貴方が実際にされるのですわ」

僕「そっ、それは・・・・・ひいぃぃぃぃぃ・・・・・」

 

全身に鳥肌が立つ!

今度は、僕が、ここで搾り取られる・・・!

確かにある意味、今までで一番恐ろしい部屋だ!!

 

ナース「よろしければ今すぐ体験なさいますか?」

久喜「人数も鏡さんを入れれば丁度4人ですわね」

ナース「このプレイルームは1人のインキュバスにつき4人のサキュバスと決められてますから」

僕「い、いえ、まだ、その、人間です、し・・・ちょっと、はやい、かな・・・」

鈴崎「さあ、見てわかったでしょう、インキュバスは良い事ばかりではないと・・・それでも・・・なりますか?」

 

・・・確かにここまでの快楽地獄を見せられ腰が引けそうだ、

インキュバスがサキュバスの餌だという事がよくわからされた、

与えられる快楽はあくまでサキュバスのためのものだという事も・・・

だったら僕は霧子さんのために、喜んで快楽地獄へと身を投げたい!

それが心の底から愛するサキュバスの気持ちに応えるものなら、悩んだり時間を置く必要は、無い!!

 

僕「・・・・・なります」

鈴崎「いいんですね?」

僕「はい、今すぐにでも・・・なります」

 

鋭い目で僕を見つめる鈴崎会長、

もし、あの目が眼鏡のレンズを通してなければ、

視線だけで殺されてしまいそうな・・・いや、イカされてしまいそうな・・・・・!

 

鈴崎「わかりました、良いでしょう」

僕「本当ですか!?」

鈴崎「最初に申し上げた通り、私は今まで596年もの時を生きてきて、

 数多くのインキュバス志望者に会いました、そして貴方の目は、紛れも無く心の決心・・・

 どういう結果になっても後悔しない、どんな事があってもインキュバスになるという目です、

 これならば許可できるでしょう、それに強い意志でインキュバスになりたいとおっしゃる方には、

 なる事を断れないという規則もありますから・・・ここまで理解しておっしゃるのなら、こちらも信頼して良いでしょう」

 

やった!どうやら合格みたいだ!!

 

僕「ありがとうございます!」

鈴崎「礼を言うのはこちらの方です、私たちの種族では深刻なインキュバス不足ですから」

僕「が、がんばりますっ!」

鈴崎「・・・もし4年待つとか、いえ、1日でも考える時間が欲しいとおっしゃられたら、

 おそらくずるずると引き伸ばす事になったと思います、貴方も、私たちの方も・・・その結果、

 うやむやになって、おそらくどこかのタイミングでもう、どちらも言い出さなくなったでしょう」

僕「なんとなく、わかります・・・そうならないためにも、今日にでもなる決心をつけました」

 

きっと鈴崎会長も様々なケースを見てきたんだろう、

だからこそ、認めてもらえた事に価値がある・・・嬉しい!

これで堂々と、やっと、霧子さんのためにインキュバスになれるんだ!!

 

鈴崎「では行きましょう、鏡霧子さんが待っていますよ」

僕「はい・・・そうだ!ひとつだけ、質問が・・・」

鈴崎「聞きたい事は聞けるうちにいくらでもどうぞ」

 

まだプレイが続いている部屋の窓を横目に、来た廊下を戻る。

 

ナース「では私は残りますので、また・・・」

僕「は、はいっ、また、のちほど・・・かな?」

 

プレイルームと書かれた扉を出て地下通路を歩く。

 

僕「霧子さん・・・僕がインキュバスになるの、嬉しくないの・・・かな」

鈴崎「はっきり申し上げますと、インキュバスになると言われて喜ばないサキュバスなどいないでしょう」

僕「本当ですか?本当の本当の、本当に!?」

鈴崎「特にパートナーとしてならば、心の中でよだれを垂らしていた事でしょう」

久喜「こう考えてください、豪華すぎるプレゼントを出されて、本当に貰っていいのか戸惑っている状態だと」

 

なるほど・・・それなら納得いく・・・かな?

階段を上がってエレベーターへ、秘書さんが5階と8階のボタンを押した。

 

鈴崎「あとは貴方がその豪華なプレゼントを渡して後悔しないかと心配しているのでしょう」

僕「後悔はしません、絶対に!その意思を、会長さんは確かめたんですよね?」

鈴崎「鏡霧子さんにも、はっきりと伝えてあげて、安心させてください、私はもう安心しましたから」

 

・・・・・チ〜ン♪

 

久喜「さあ霧子さんはこちらですわ」

僕「では会長さん、ありがとうございました」

鈴崎「明日から海外なので今、ここで言っておきましょう・・・ようこそ淫魔の世界へ」

 

手袋を脱いで差し出された手を僕は握り返す!

 

ゾクゾクゾクッ!!

 

僕「!!!」

 

手と手が触れた瞬間、その感触が信じられない快感に・・・!

 

鈴崎「・・・・・では」

 

握手が離れると同時にエレベーターが閉じ、

会長と秘書さんは8階へと上がっていった・・・

降りた所で握られていた手をまじまじと見る僕。

 

久喜「さあ、5時までに手続きを済ませましょう」

 

・・・握られた余韻で足がすくんで動けない!

物凄い感触だった、あの手ざわり、すべすべの気持ちよさが100万倍になったような、

はじめて女性に耳に息を吹きかけられた時のような、いやもっと凄い、皮膚の感覚だけで挿入を超えるような・・・

 

僕「すごい・・・か・・い・・か・・・・ん・・・」

 

あの人が日本で一番偉いサキュバスだというのがよくわかった、

淫魔の頂点あたりにいる人は、手と手で触っただけで心を軽く犯していく・・・

あの手で全身をまさぐられたら、あの手で股間を掴まれたら・・・人間なら射精しながら悶え死にそうだ。

 

久喜「こちらですよー」

僕「は、はいはいはい!・・・あ、そうだ!まだ質問があった」

久喜「私にわかる事でしたら・・・」

 

5階は何だか普通に騒々しい、普通の会社みたいだ。

 

僕「ああいうのを見たからって訳じゃないんですが、精を捧げるのを霧子さんだけにするっていうのは許されないんですか?」

久喜「そうですね、義務違反で罰せられます、特に鏡さんの方が・・・結果的に義務を果たさず独占する訳ですから」

僕「霧子さんが怒られちゃうのか・・・申告とか登録みたいなのだけで終わらせるのは駄目なんですね、わかりました」

 

連れられて入った部屋はオフィス、というか役所くさいなここ・・・

端っこにある来客用な感じのテーブルとソファーに霧子さんが座ってお茶を飲んでる。

 

霧子「いかが、でしたか!?」

僕「はい、許可を・・・いただきました」

霧子「まあそれはうれし・・・いえその、本当に・・・いいんですか?」

 

やっぱりまだ戸惑うよなぁ・・・

僕だって戸惑えと言われれば戸惑えるもん。

 

僕「霧子さんの方こそ、ヒアリングは・・・どうだったんですか?」

霧子「はい、そこそこ怒られてしまいました」

僕「ははは、そこそこ、ね」

 

という事は、それなりに結構、怒られちゃったんだろうな。

 

霧子「でも、結果的にインキュバスが増えるなら、と・・・」

僕「そうですか、じゃあ、もう後には退けませんね」

霧子「いえ!決して、そういうつもりで言った訳では・・・!」

 

話しているうちに久喜さんが山ほどの書類を持ってきた。

 

久喜「実印はお持ちですかー?」

僕「はい、一応・・・これ全部読むんですか?」

久喜「そうですねー、ざっと目を通していただいてサインと判子を」

 

なになに、まず一番上・・・

誓約書、私はインキュバスになるにあたり、

いかなる事故・症状が起こっても一切申し立てを行わない事を誓います、か・・・

 

僕「次は・・・守秘義務契約書、インキュバス申請書、精液提供義務同意書・・・」

久喜「鏡さんもこちらの書類にサインと実印を」

霧子「はい・・・2人がサインするのはこちらへまとめてあるようですわね」

 

書いても書いても減らない書類・・・100枚くらいあるのかな?

 

僕「インキュバス医療補助申請、淫魔法同意誓約書・・・い、いんまほう!?なにそれ??」

久喜「サキュバス・インキュバスの法律です、普通に生活していれば問題無い規則ですから」

霧子「法律書はペンションにも置いてあります、今から読むと朝になってしまいますから今度・・・」

 

まあいいやサインしちゃえ!次は・・・

 

僕「・・・・・あれ?これ、生命保険?」

久喜「はい、死期がもうわかっている訳ですから、入っておいて損は無いかと」

僕「う〜ん、でもなあ、なんか詐欺みたいで嫌だなそれ・・・」

霧子「普通の生命保険ではなく初めからインキュバス用ですから」

僕「掛け金はどうなるの?あ、書いてあった・・・払えない額じゃないけど・・・」

 

画家の僕に生命保険ねえ・・・

ちょっと、胡散臭く感じてしまう。

う〜ん、ひょっとして、今まで見せられていたのが全部、作り物だとしたら・・・?

 

久喜「納得いかないのでしたら破棄してかまいません」

霧子「でも、それは確か人間の時でしか加入できないのでは・・・」

久喜「この保険は義務ではなく任意ですから、大した問題ではありません」

 

・・・早く死んじゃうんだから、霧子さんにお金を残してあげたい気はする。

でも、生命保険なんて物を見せられては、変な疑いを持ってしまうよなぁ・・・

いかに入らなくっていいって言われても・・・と、あたりをキョロキョロ見回してみる、

みんな一生懸命働いている、さすがにこういう実務となると凄い美人っていうのは少ない、

全員眼鏡をかけてはいるけど・・・これみんなサキュバスなんだよな?・・・そうだ、ちょっと試してみよう。

 

僕「すみません、凄く変なこと言ってもいいですか?」

久喜「はい、なんでしょうか?」

僕「久喜さんも、ここにいる皆さん全員、サキュバスなんですよね?」

久喜「もちろんです、下のショップも・・・隣の東京砂丘病院はさすがに全員とはいきませんが」

僕「じゃあ、その・・・こんな時間でも、サキュバスに変身する所を今すぐ見たいって言ったら・・・1人でいいですから」

 

服に手を掛け脱ごうとする久喜さん。

 

久喜「では私が・・・」

僕「ま、待って!ええっと・・・あの人!あの髪を後ろで縛っている黒縁眼鏡の・・・」

 

サキュバスにしてはいかにも地味そうな、

漫画家のアシスタントっぽい感じの女性を指名してみた。

 

久喜「わかりました、呼んでまいりましょう」

僕「はい・・・っていいのかな、こんな所で」

霧子「まあ、男性はいない職場ですし、サキュバスですから」

 

そっか、知らない男の前で脱ぐのは平気なんだな・・・

ほへ?私?て感じで久喜さんの声に応えた地味な女性、

よく見るとそばかすまであるし・・・作業を止めてこちらへ来た。

 

久喜「織畑さんです」

織畑「どうもー、翼を見せればいいんですね?」

僕「はい、今ここで・・・すみません」

霧子「申し訳ありませんが、お願いいたします」

織畑「はいはい、では後ろを下げてくださいな」

 

・・・うわっ!脱いだ中は凄い!

紫のゴージャスな下着、色気がむわっと・・・

久喜さんがその背中をはずすと、少し前かがみになって目を閉じた。

 

織畑「では・・・・・いきますね」

 

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