でも人がいない、ナースもサキュバスもインキュバスも・・・中は綺麗なもんだ。
鈴崎「新しいインキュバスをいつでも迎え入れられるように空けてあるのです」
久喜「今まで見てきた事を、今度は貴方が実際にされるのですわ」
ナース「このプレイルームは1人のインキュバスにつき4人のサキュバスと決められてますから」
僕「い、いえ、まだ、その、人間です、し・・・ちょっと、はやい、かな・・・」
鈴崎「さあ、見てわかったでしょう、インキュバスは良い事ばかりではないと・・・それでも・・・なりますか?」
与えられる快楽はあくまでサキュバスのためのものだという事も・・・
だったら僕は霧子さんのために、喜んで快楽地獄へと身を投げたい!
それが心の底から愛するサキュバスの気持ちに応えるものなら、悩んだり時間を置く必要は、無い!!
視線だけで殺されてしまいそうな・・・いや、イカされてしまいそうな・・・・・!
鈴崎「最初に申し上げた通り、私は今まで596年もの時を生きてきて、
数多くのインキュバス志望者に会いました、そして貴方の目は、紛れも無く心の決心・・・
どういう結果になっても後悔しない、どんな事があってもインキュバスになるという目です、
これならば許可できるでしょう、それに強い意志でインキュバスになりたいとおっしゃる方には、
なる事を断れないという規則もありますから・・・ここまで理解しておっしゃるのなら、こちらも信頼して良いでしょう」
鈴崎「礼を言うのはこちらの方です、私たちの種族では深刻なインキュバス不足ですから」
鈴崎「・・・もし4年待つとか、いえ、1日でも考える時間が欲しいとおっしゃられたら、
おそらくずるずると引き伸ばす事になったと思います、貴方も、私たちの方も・・・その結果、
うやむやになって、おそらくどこかのタイミングでもう、どちらも言い出さなくなったでしょう」
僕「なんとなく、わかります・・・そうならないためにも、今日にでもなる決心をつけました」
これで堂々と、やっと、霧子さんのためにインキュバスになれるんだ!!
僕「霧子さん・・・僕がインキュバスになるの、嬉しくないの・・・かな」
鈴崎「はっきり申し上げますと、インキュバスになると言われて喜ばないサキュバスなどいないでしょう」
鈴崎「特にパートナーとしてならば、心の中でよだれを垂らしていた事でしょう」
久喜「こう考えてください、豪華すぎるプレゼントを出されて、本当に貰っていいのか戸惑っている状態だと」
階段を上がってエレベーターへ、秘書さんが5階と8階のボタンを押した。
鈴崎「あとは貴方がその豪華なプレゼントを渡して後悔しないかと心配しているのでしょう」
僕「後悔はしません、絶対に!その意思を、会長さんは確かめたんですよね?」
鈴崎「鏡霧子さんにも、はっきりと伝えてあげて、安心させてください、私はもう安心しましたから」
鈴崎「明日から海外なので今、ここで言っておきましょう・・・ようこそ淫魔の世界へ」
物凄い感触だった、あの手ざわり、すべすべの気持ちよさが100万倍になったような、
はじめて女性に耳に息を吹きかけられた時のような、いやもっと凄い、皮膚の感覚だけで挿入を超えるような・・・
淫魔の頂点あたりにいる人は、手と手で触っただけで心を軽く犯していく・・・
あの手で全身をまさぐられたら、あの手で股間を掴まれたら・・・人間なら射精しながら悶え死にそうだ。
僕「ああいうのを見たからって訳じゃないんですが、精を捧げるのを霧子さんだけにするっていうのは許されないんですか?」
久喜「そうですね、義務違反で罰せられます、特に鏡さんの方が・・・結果的に義務を果たさず独占する訳ですから」
僕「霧子さんが怒られちゃうのか・・・申告とか登録みたいなのだけで終わらせるのは駄目なんですね、わかりました」
連れられて入った部屋はオフィス、というか役所くさいなここ・・・
端っこにある来客用な感じのテーブルとソファーに霧子さんが座ってお茶を飲んでる。
霧子「まあそれはうれし・・・いえその、本当に・・・いいんですか?」
僕「霧子さんの方こそ、ヒアリングは・・・どうだったんですか?」
久喜「そうですねー、ざっと目を通していただいてサインと判子を」
いかなる事故・症状が起こっても一切申し立てを行わない事を誓います、か・・・
僕「次は・・・守秘義務契約書、インキュバス申請書、精液提供義務同意書・・・」
霧子「はい・・・2人がサインするのはこちらへまとめてあるようですわね」
書いても書いても減らない書類・・・100枚くらいあるのかな?
僕「インキュバス医療補助申請、淫魔法同意誓約書・・・い、いんまほう!?なにそれ??」
久喜「サキュバス・インキュバスの法律です、普通に生活していれば問題無い規則ですから」
霧子「法律書はペンションにも置いてあります、今から読むと朝になってしまいますから今度・・・」
久喜「はい、死期がもうわかっている訳ですから、入っておいて損は無いかと」
霧子「普通の生命保険ではなく初めからインキュバス用ですから」
僕「掛け金はどうなるの?あ、書いてあった・・・払えない額じゃないけど・・・」
う〜ん、ひょっとして、今まで見せられていたのが全部、作り物だとしたら・・・?
霧子「でも、それは確か人間の時でしか加入できないのでは・・・」
久喜「この保険は義務ではなく任意ですから、大した問題ではありません」
・・・早く死んじゃうんだから、霧子さんにお金を残してあげたい気はする。
でも、生命保険なんて物を見せられては、変な疑いを持ってしまうよなぁ・・・
いかに入らなくっていいって言われても・・・と、あたりをキョロキョロ見回してみる、
みんな一生懸命働いている、さすがにこういう実務となると凄い美人っていうのは少ない、
全員眼鏡をかけてはいるけど・・・これみんなサキュバスなんだよな?・・・そうだ、ちょっと試してみよう。
僕「久喜さんも、ここにいる皆さん全員、サキュバスなんですよね?」
久喜「もちろんです、下のショップも・・・隣の東京砂丘病院はさすがに全員とはいきませんが」
僕「じゃあ、その・・・こんな時間でも、サキュバスに変身する所を今すぐ見たいって言ったら・・・1人でいいですから」
僕「ま、待って!ええっと・・・あの人!あの髪を後ろで縛っている黒縁眼鏡の・・・」
よく見るとそばかすまであるし・・・作業を止めてこちらへ来た。
久喜さんがその背中をはずすと、少し前かがみになって目を閉じた。