それから1週間が過ぎた。

平日、天気が良ければ外で絵を描き夜は霧子さん、

天気が悪ければ自室で1日中、霧子さんを描き続ける・・・

土日のお客さんが来る日は率先してペンションの手伝いをする、

宿代はすでに収めているものの、モデル料が曖昧になってるから、体で払わないと・・・

 

僕「寒いっ・・・早くペンションへ戻ろう」

 

ザッシュ、ザッシュ、ザッシュ・・・

 

僕「今日の夕食は、暖まる物だろうな・・・」

 

たった2人の夕食が、ここの所、豪華だ。

もてなしてくれている、というレベルを超え、

新婚さんがはりきってるって表現がぴったりだ、あーん、までしてくれるし・・・

 

僕「ま、まさか、餌を太らせてる訳じゃないよな!?」

 

霧子さんに限ってそんな事・・・心当たりは・・・・あるかも。

最近、霧子さんの癒してくれる魔法みたいなのが、どんどん気持ちよさを増している、

麻薬中毒になってしまいそうな恍惚感を朝と夜にたっぷり感じさせられ、全身が敏感になっていくようだ。

 

僕「でも食べる気があるなら、とっくに手を出してるはずだし・・・」

 

なんて考えているうちに砂丘斜へとついた。

 

カランカラン・・・

 

僕「ただいま・・・」

 

あれ?いつもならこの時間、

食事を作り終えた霧子さんがロビーで待っててくれてるのに。

ネットは・・・してないよな?夕食に凝り過ぎて、まだ煮込んでる最中とかなのだろうか?

 

僕「霧子さ~ん、お腹空きました~・・・」

 

廊下を見渡す・・・

あ、管理人室から明かりが漏れてる!

いい匂いもしてきたぞ・・・これは鍋だな、しかも・・・

 

僕「ただい・・・・・霧子さん!?」

 

中に入ると霧子さんが、

コタツの中に足を入れたまま倒れている!

上半身のまわりや上には沢山の薬が散らばって・・・!

 

僕「霧子さん!霧子さん!霧子さん!?」

霧子「ん・・・んん・・・・・んっ・・・ぅ・・あぁっ・・・」

僕「震えてる・・・どうしたんですか?霧子さん!」

 

わ、左腕が真っ青だ!

ゴムのチューブできつく縛ったまま・・・

慌ててそれを解いてあげる、目がうつろな霧子さん、口をパクパクさせてる・・・

 

僕「きゅ、救急車を呼びましょうか?」

霧子「す・・す・・・すわ・・・すわっ・・せ・・って・・・」

僕「え?すわ・・・どうしてほしいんですか!?」

 

ぼーっと見つめてくる瞳、

眼鏡ごしとはいえ、吸い込まれそうになる・・・

なぜか僕までぼーっとして顔が近づいてしまう・・・

 

僕「霧子・・・さん・・・」

 

あああ、勝手に、僕の顔が勝手に、キスしちゃうっ!

 

霧子「!!!」

 

ハッ!という表情で視点を取り戻した霧子さん!

震える腕で、ぐいっ、と僕を引き離すと、体を起そうと踏ん張っている。

 

霧子「す・・・すわら、せて、いただけますか・・・」

僕「あ・・・はいはい!座らせて、って言ってたんですね」

霧子「あと、お、お水を・・・飲ませてください・・・」

 

急いでコップへ注いで・・・

渡そうとしたが手が震えているのを見て、

口へと運んであげる・・・待って、という感じで腕を出し、

散らばる薬の中から固形の物を拾い集め、一気に頬張る・・・

大丈夫かな?と喉に詰まらないか心配しながらもコップを傾けてあげると、一気に飲み干した。

 

霧子「んぐ・・・んぐ・・・んんはっ・・・」

僕「いっぱい口から水が漏れてます、拭きますよ」

霧子「待って、まだ・・・粉のほうも飲まないと・・・」

 

拾い集めているうちにコロン、と注射器が転がってきた、

中は液体が入ったまま・・・危ない、とりあえずコタツの上に置こう。

霧子さんは・・・わ!急いで開けようとして、バリッと包みが裂けて粉ふいちゃってる!

 

僕「飲ませます!上を向いてください!」

 

まだ開いてない包みを僕がゆっくり開けて、

口の中へ・・・他の包みもみたいだ、2つ・・・3つ・・・

合計7袋分も入れると口の中が粉で埋まってる、いいのかなあ・・・水を注ごう。

 

霧子「ん・・・ん・・・ん・・・・・」

 

ごきゅごきゅと強引に飲み込んでる、

あきらかに前、僕が盗み見たときより量が増えてるよな、

そかも2倍3倍どころじゃない・・・一体どうしたんだろう?

 

僕「お水足りますか?はい、もう1杯」

霧子「ん・・・・・んあんっ・・・ありがとう、ござい、ます、です、わ・・・」

僕「落ち着いて・・・そういえば一昨日くらいから、ちょっと具合悪そうでしたよね」

霧子「いえ、いいんです・・・震えて注射を打ち損ねただけですから・・・」

僕「そうだったんですか・・・腕の色が戻るまで、安静にした方がいいですね」

 

震える腕の感覚を戻そうというのか、

コタツ布団の端を、ぎゅっと握っている・・・

濡れタオルを作らなきゃ!と離れようとした僕の足を、ぐいっ、と掴む霧子さん!

 

霧子「行かないで・・・」

僕「で、でも、待っててください、頭を冷やすものを作ってきますから」

霧子「いいんです・・・もう少しで、落ち着きますから・・・」

僕「じゃあとりあえず、布団に入りましょう」

霧子「はい・・・ぬ・・・ぬがせ・・・て・・・くださ・・・ぃ」

 

えええーーーーー!?

でも、戸惑ってもいられない!

楽にさせてあげなきゃ・・・メイド服を脱がす。

 

僕「こ、これはこう脱がせればいいのかな・・・」

 

あくまでも介抱するため、と自分に言い聞かせて脱がせる、

中はあいかわらず黒くも、やたらパーツの多い下着・・・窮屈そうだ。

とりあえず上下1枚ずつ脱がせたのち、布団の中へと引っ張って入れてあげた。

 

僕「はい、もう1杯、お水です」

霧子「・・・・・・ありが・・とうご・・ざい・・ま・・・す」

僕「お医者さんを・・・服部先生に連絡しましょうか?」

霧子「いえ、薬が・・・きいてきて、落ち着きますから、その後、注射で・・・」

僕「大変ですね・・・濡れタオル作ってきます」

 

1度、霧子さんから離れる・・・

いつもは僕を毎日癒してくれてるんだ、

こういう時にこそ、僕が霧子さんを癒してあげないと・・・

 

ジャーーー・・・

 

僕「・・・・よし、完成だ」

 

念のため、水を入れた洗面器も一緒に・・・

 

僕「霧・・・子・・さ・・・!!」

霧子「あつ・・・いぃぃ・・・」

 

掛け布団を蹴り飛ばし、

下着を自分で脱がそうとしている!

うわ、酷い汗だ・・・蒸れて暑かったんだろう。

 

僕「拭きます拭きます!」

霧子「お願い・・・ぬがせ・・」

僕「はい、わかりました!」

 

こう考えるんだ、

モデルになってくれてるのと同じだと!

黒い下着を順番に脱がす、ってどういう順番があるのか知らないが・・・

 

僕「背中、失礼しますね・・・」

 

少し体を起してあげて・・・

ブラを外すと、ぼいんっ、とたわわな実が・・・

汗が滴になって、おいしそう・・・なんて考えてる場合じゃない!

 

僕「・・・・・・・はい、これでいいですよね」

 

ショーツ1枚以外は全部脱がせ、

首筋から順番に拭いてあげる・・・具合悪そうだ、

まいったな、夕べモデルになってくれたあたりで気がつくべきだった。

 

霧子「んはぁっ・・・はぁっ・・・・ぁ・・・ぁぁっ・・・」

 

胸とか太ももとか、あくまでも事務的に・・・

背中もよーく拭いてあげて・・・霧子さんも気持ちがいいのか呼吸が整いはじめた。

腕もようやく色が戻ってきて・・・とはいえ全身はいつもの真っ白な肌がピンクに染まっている。

 

僕「何か、して欲しい事はありますか?何でも言ってください」

霧子「・・・・・・・・・」

僕「どうしたんですか?注射器、持ってきましょうか?」

 

凄く物欲しそうな目・・・

子供がおもちゃをねだるような、

いや、これは、恋人が帰りたくないと訴えかけているような・・・!?

 

ぐううぅぅぅ~~~~・・・

 

僕「あ、すみません!お腹が・・・」

霧子「先に・・・そちらにありますから・・・」

僕「でも霧子さんが心配で・・・先に1人で食べる訳には・・・」

 

とはいえ、ぺこぺこだ・・・

看病するにも体力がいる!ということで・・・

 

僕「じゃあいただきます、ごめんなさい」

霧子「いえ・・・一緒に食べられなくて・・・申し訳ありません・・・」

僕「気にしないでください、じゃあ・・・ここで食べるのは悪いので・・・」

霧子「ここで・・・そばに・・・いて・・・」

僕「は・・はい、わかりました、じゃあここで、いただきます!」

 

コタツの上の鍋を空ける・・・おでんだ。

ご飯を炊飯器からよそって、お茶も自分で・・・

霧子さんは目を瞑って精神統一みたいになってる、自分で自分を癒すかのように。

 

僕「いただきます・・・」

霧子「・・・・・・・」

僕「ん・・・おいしい・・・ダシがきいてる・・・」

 

・・・・・ここは、黙って食べた方が、よさそうだ。

 

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