僕「い、痛かったら言ってくださいね」

 

やさしく、やさしく、

これは霧子さんの絵を描くように、

体の曲線をやさしく、やわらかく表現するように・・・

 

きゅっ、きゅっ、きゅっ・・・

 

絵筆をスポンジに持ち替えて、

背中のキャンパスに想いを描く。

ここから、あの黒く大きな翼が出てきたんだなぁ・・・

どうやって格納してるんだろうか?物理的な、物質量的な辻褄は合うのだろうか?

そもそも空を飛ぶって非現実的な部分を考えても、科学的には解明できないような現象なのかも。

 

霧子「あの・・・」

僕「あっ!痛かったですか?」

霧子「いえ、弱いので、少しくすぐったいのですが」

僕「肌が弱いんですか?すみません、デリケートですものね」

霧子「そうではなくて、スポンジの強さが弱くて・・・」

 

ああ、逆か。

そうだよな、女性にしては力がある霧子さんだ、

変に遠慮しない方がいい、ここは一生懸命にやろう。

 

ごしゅごしゅごしゅ・・・

 

霧子「いいですわぁ・・・」

 

うぅ・・・強く擦ってあげると、

前の胸が、大きなおっぱいが、ぷるぷると・・・

でも、普通の男ならスケベ心が芽生えて、触ってみたいと思う所だろう、

特に魅力的な霧子さんのボディだ、それにこのシチュエーション、誘っていると思って当然・・・

なのに、なのになぜか、怖くて手を出せない・・・叫ばれるからとか、殴られるからとかではなく、とんでもない事になりそうな怖さだ。

 

僕「首筋も・・・」

霧子「髪もお願いしてよろしいですか?」

僕「え?あ・・・はいっ」

 

解かれる長い長い髪、

ボリュームが半端じゃない・・・

背中の翼はこの髪が変形して出来たんじゃないかと思う程だ。

 

僕「・・・・・(ごくり)」

 

この髪の中へ手を入れる事すら、

なぜか怖く感じる・・・まるで底なし沼のように、

ずぶずぶと奥へ引きずりこまれてしまうような・・・

 

霧子「これとこれとこれをお願いします」

僕「はい・・・ええっと・・・」

 

渡された3つの容器、

どれがどれでどれだ?

シャンプーはこれかな?あとは・・・

リンス?トリートメント?コンディショナー?

まあいいや、匂いで決めよう・・・うん、最初はこれかな。

 

僕「ではいきます・・・」

 

やさしく、髪を傷めないように、

それでいて頭皮もマッサージするように・・・

髪の先のほうは別で1束1束洗った方が良さそうだな。

 

霧子「・・・・・」

 

目を瞑って、

まるで髪を愛撫され感じているかのよう・・・

サキュバスなら髪の毛1本1本に神経が通っててもおかしくな・・・あ!2本抜けちゃった。

 

僕「痛く、無いですか?」

霧子「ええ、まったく」

僕「そうですか・・・」

 

じゃあ、もうちょっと強くした方がいいな。

 

僕「・・・・・」

 

指に、腕にまとわりついてくる髪の毛・・・

これが触手のように僕を襲う様子を想像し、

ゾクゾクと奇妙な恐怖心が沸いた、なぜ奇妙か、それは・・・僕の股間が・・・!!

 

僕「ちょっと流しますね」

 

ザバーーーッ・・・

 

うーん・・・これだけ量が多いと、

濡れた髪って重いんだな、とかすのは良いんだろうか?

終わった後、ドライアーをかけながら、櫛で綺麗にしてあげたくもなる。

 

僕「あ、眼鏡が・・・」

 

ずれそうになったのを取ろうと思ったが、

手を出した瞬間、金縛りのように腕が動かなくなった!

底知れぬ恐怖が湧き、絶対に触っちゃいけない物だって事がなぜだかわかってしまう。

 

霧子「・・・・・」

 

黙って直した霧子さん、

よく考えたら髪を洗っているのに、

濡れるのも平気で眼鏡つけたままっておかしいよな、

顔とかどうやって洗うんだろう?・・・外れたらどうなるんだろう?

あの夜、強盗に犯された時、霧子さんの眼鏡が外れて・・・気がついたら逆に霧子さんが強盗を犯して・・・

 

ザバーッ、ザバーーーッ・・・・・

 

眼鏡を外したら、襲われちゃうんだろうか?

だったら外してみた・・・くない、絶対にただでは済まない、

干からびたミイラにされてしまうのだろう、今後、気をつけなくっちゃ。

 

シャカシャカシャカシャカシャカ・・・・・

 

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

 

お風呂と夕食を終え部屋でくつろぐ、

お腹いっぱいで落ち着いているのに、

まだドキドキが収まらない、霧子さんが頭から離れない・・・

 

僕「怖いのに・・・興奮してる・・・」

 

あの長い長い髪を洗わせてもらってから、

奇妙な感情が僕の心臓を鷲づかみにしている。

女性の美しさに何十、何百もの分類があるとすれば、

そのうちの1つにあるであろう、ミステリアスさが心へ突き刺さっている感じだ。

正体を知ってもなお、それは増すばかり・・・全てを知った時、僕の体がどうにかされそうで、怖い。

 

僕「それと同時に・・・・・全てを・・・・・知りたい」

 

それは知識だけではなく、

身をもって、この体で感じてしまいたい、

でもそれは、最後には霧子さんに、吸い尽くされてしまう末路を迎えることになるのだろう。

 

僕「危険だ・・・でも、その危険な部分こそ・・・・・絵にしたい」

 

コンコン

 

霧子「失礼します」

 

返事も聞かずに入ってきた霧子さん、

メイドパジャマではなくメイド服のままだ、

髪は完全に乾いたみたいで、きらきらと輝いている。

 

僕「はい・・・あ、食後の・・・ですか」

霧子「そうですわ、治療にまいりました」

僕「お願い・・・しま・・・す」

 

ベットに腰掛けた霧子さん、

その膝をポン、ポンと叩いて僕を促している、

あそこへ横になればいいんだけど・・・つきまとう恐怖感が足を重くさせる。

 

霧子「今日は仰向けからですわ」

僕「はい・・・あ、待って・・・先に水を一杯・・・」

霧子「どうぞ・・・今日から治療を強くしますから」

 

近づこうとしただけでカラカラになった喉を潤すと、

意を決して霧子さんの方へ歩む、見えない塀の上を歩いてるみたいだ、

ようやくベッドへ転がり、霧子さんの顔を見上げながら膝枕へと収まった。

 

霧子「楽にしてくださいね・・・」

 

左右のこめかみに指をあてられ、

白い光が膨らんだかと思うと心地よい暖かさが入ってきた、

微弱な痺れない電波でも流されているような・・・神経そのものを癒されてるみたいだ。

 

僕「ふぁあああぁぁ・・・」

霧子「・・・喋ろうとしてもうまく喋れないでしょうから、目を瞑って感じていてくださいませ」

僕「ぁ・・・ふぁいぃぃ・・・・・」

 

眠気に落ちる心地よさが延々と続くみたいだ、

決して本当に寝る訳ではないのに、心地よい眠りを起きながらにして感じている・・・

治療を強くするっていう事は、気持ちよさも大きくなるって事なんだろうか?ああぁ・・・とろけるぅ・・・

 

僕「・・・・・・・・・・」

霧子「ふふふ、同時にマッサージもしてさしあげますわ」

僕「・・・・・ぁ・・・ぁぁぁぁぁ・・・・・」

 

クリクリと指先で、こめかみを左右から揉まれる・・・

やばい、あまりの気持ちよさにパンツの中が勃起しはじめた・・・

でも、どうかする訳にはいかない・・・ううぅ・・・脳が・・・癒されるううぅぅぅぅぅ・・・・・

 

・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

 

霧子「・・・あら、よだれを拭きますわね」

僕「・・・・ぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・・・」

霧子「はい、おしまい、では私の胸にうつ伏せになってくださいませ」

 

ようやく、こめかみへの恍惚の癒しが終わり、

今度は胸に包み込まれての、後頭部の癒しだ。

よろよろと霧子さんのおっぱいへ、むしゃぶりつくようにして顔を・・・

 

僕「きりこっ・・・さあぁん・・・」

霧子「まあ、甘えてらして?嬉しいですわ」

僕「んん・・・気持ちいいですぅ♪」

 

ちょっと自分でも気持ち悪い男かなと思いつつ、

そうせずにはいられない、不思議なオーラに包まれる・・・

後頭部をなでられながら癒しのエネルギーを入れられると、

耳の先まで熱くぽかぽかしてくる、と同時に胸の中へ顔が沈んでいくようだ・・・

女は海、とはよく言ったものだ、でも、溺れ死んでしまいそうな恐怖心もまだ、まとわりついてくる・・・

 

霧子「このまま・・・私の赤ちゃんにしてしまいたいくらいです・・・ふふっ」

僕「んぁ〜・・・んむぅぐぅ・・・ぅぅ・・・・・」

霧子「これから2年・・・2年間だけ・・・存分に楽しんでいただきますから・・・」

 

さわさわさわっ

 

僕「あ”う”っ!」

霧子「あらごめんなさい、私の髪が首筋にかかってしまいましたわ」

僕「ぅぅぅ・・・・・」

 

ズキンズキン!と激しく疼いた股間・・・

霧子さんの髪が首筋を撫でた時、尋常じゃないくらい感じてしまった・・・

怖い・・・半端じゃない、物凄い快感に、得も言われぬ恐怖心を感じたのだった。

 

霧子「・・・終わりましたら、お薬飲んで寝ますね・・・」

僕「・・・・・」

霧子「本音を言えば一緒に寝たいのですが・・・ふふふ・・・かわいい・・・・・」

 

ああ、まだ快感の余韻で震えてるぅ・・・

それを、かわいいって・・・霧子さん・・ほんと・・おと・・な・・・だぁ・・・・・

 

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