昼食が終わり部屋で待つ、

緊張する・・・もちろん霧子さんの裸を見るって事が緊張だけど、

それよりも、あの大きく黒い翼を、また見る事ができるのが、緊張する。

 

僕「どきどきしてきた・・・」

 

これがいざ目の前に来たら、バクバクになるんだろうな・・・

この心臓、よく無事だったと思う、ナイフが刺さっていたのに・・・

うまく奇跡的に急所を外れたんだろう、今にして思えばそんなに深く刺さってなかった気もするし。

 

僕「あの痛さは現実だったよな、でも霧子さんのおかげで夢に『してもらった』感じだ」

 

命の恩人・・・その霧子さんのお願いなんだから、2年住むくらいは平気だ、

逆に我侭言ってモデルまでしてもらう、ちょっと戸惑ったけど引き受けてくれた・・・

そんな霧子さんのためにも、本当に良い絵を作って、売ってこのペンションに、霧子さんに還元しなきゃ。

 

僕「・・・・・まだかなー・・・ちょっと遅いかな?」

 

まだ洗い物に時間がかかっているのかなあ?

まさか、念入りにお化粧とか・・・下着を選んでいるとか!?

脱ぐんだからそこまで気にする必要は・・・はっ!もしかして、冷静に考えたらやっぱり嫌です、とか!?

 

僕「迎えに行ってみようかな・・・」

 

コンコンッ

 

霧子「よろしいでしょうか?」

僕「はいっ!はいはい、どうぞ!」

霧子「失礼いたしますわ」

 

ガチャッ

 

霧子「すみません、薬を服用していて、時間がかかってしまいまして」

僕「あ・・・それは逆に僕が申し訳ないです、急がせてしまったみたいで」

霧子「いえ・・・注射の痕がまだ残っていますが、よろしいでしょうか?」

僕「それは構いませんが、時間を置かなくても平気ですか?その、変身するんですし・・・」

霧子「・・・できれば変身、という言い方は、控えていただけると嬉しいですの」

 

あっちゃー、失敗しちゃった、モデルさんを怒らせるのは最大のタブーだ。

 

僕「ごめんなさい、もう言いません・・・では、カーテンを閉めます」

霧子「私も準備をしますね・・・では・・・」

僕「あ!この籠を使ってください、ここへ脱いだのを・・・」

 

メイド服をゆっくりセクシーに脱ぎはじめた、

背中をこっちへ向けているのが何となく淫靡だ、

って覗いてちゃいけない!準備、準備・・・もうほとんど終わってるけど。

 

僕「ではこの椅子に・・・背もたれをサイドにしてもらって、座ってください」

 

あれ?霧子さん聞いてない?

精神を集中してる・・・わ!みるみるうちに黒い翼が広がって、、

黒い、しなやかなしっぽもニョキニョキと・・・完全なサキュバスになった。

 

霧子「ここへ座ればよろしいんですね?」

僕「そうです、じゃあ左腕をこの背もたれに乗せて・・・」

霧子「それと眼鏡だけは申し訳ありませんが、外せませんので・・・」

僕「いいですいいです、その、霧子さんの、好きなように・・・」

霧子「眼鏡以外でしたら、お好きにリクエストしてくださいね」

 

うっ・・・大きすぎる乳房、ピンクの乳首・・・

いや、やましい気持ちを持っちゃいけない!これは芸術だ!

ちゃんと計算して、翼の角度や、しっぽの位置を・・・まあ、どうでもいいか。

 

僕「座っていただいたら楽にしてください、辛くなったらいつでも言ってくださいね」

霧子「はい、足は揃えていてよろしいのですか?」

僕「ええ・・・じゃあちょっと、揃えて斜めに・・・そうそう、そんな感じで」

 

雑念を振り払い、

本気で絵にとりかかる・・・

風も無いのに翼が少し揺れている、この程度なら問題ないけど・・・

 

霧子「・・・・・」

僕「・・・・・・・・・」

霧子「・・・・・・・・・・」

僕「・・・・・・・・・・・・・あ、トイレや水は遠慮なく言ってください」

霧子「はいっ!こういうの、慣れてないもので・・・」

 

慣れてない・・・そもそも霧子さんは何歳なんだろう?

魔物っていうなら人間と同じ寸尺では考えない方がいいよな?

ひょっとしたら、あの姿で生まれたのかも知れないし、人間からああなったって事もありえる。

 

僕「・・・・・」

 

下書きをしながら考える、

サキュバスについて、正体を知ってから、

益々、更なる疑問が泉のように湧き出てくる・・・

あの大きさで空を飛べる秘密、サキュバスって何人くらいいるのか、

どうやって生まれるのか、インキュバスとかいうのも謎なままで教えてもらってない。

 

霧子「・・・・・」

 

きりっとした表情・・・

精を吸う魔物、って、じゃあ普段の食事は意味があるのだろうか?

そして、魔物が飲んでる薬、打ってる注射はどういう物か、サキュバス以外にも魔物はいるのか・・・

 

僕「・・・・・髪を少し掻き分けてください・・・そう・・・」

 

もっと深く深くサキュバスを、霧子さんを知りたい、

でも、知っちゃいけないような、深みにはまってしまいそうな・・・

さっきからすでに背筋がゾクゾクする、霧子さんが美しすぎて、というのもあるんだろうけど、

何と表現していいか・・・サファリパークで遠くにライオンが寝てるからってバスを降りちゃうような感じだ、

安心、安全と思ってても、向かってきたらバスに逃げ込めばいいだけだと思っても、神経がピリピリして恐怖心を拭えないような・・・

 

霧子「・・・・・・暖房を強くしましょうか?」

僕「いえ、寒い訳ではありませんから!霧子さんは寒くありませんか?」

霧子「ええ、元々、寒さには強い体ですから」

 

雪のように、いや、クリスタルのように透き通る肌・・・

その白さとは対照的な、黒い翼やしっぽ、このコントラストが素晴らしい、

脱ぐときにちらっと見えた黒い下着やストッキングも付ければ、もっと良いバランスになるんだろうな・・・

 

・・・

・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

僕「・・・・・とりあえず今日はこれでいいかな・・・霧子さん、ありがとう」

霧子「・・・・・・・」

僕「霧子さん?霧子さん?・・・霧子さーーーん」

霧子「・・・・・・・・・・・・は、はいっ!?」

僕「もういいですよ、時間は・・・えっ、5時半!?」

 

そんなに経ってたんだ・・・

まずい、夕食の支度とか、全然してもらってないや!

 

僕「ごめんなさい、こんなに遅くまで!」

霧子「いえー、私のほうも、つい夢中になってしまってー」

僕「ご、ご飯は、遅くていいですから、先にお風呂に入ってきます」

 

画材道具を片付ける・・・

一方、霧子さんは・・・しゅるしゅると黒い羽根がしぼんでいった、

しっぽも掃除機のコンセントみたいに、しゅるしゅると・・・そして脱いだ下着をつけはじめてる。

 

僕「また、お願い、します、天候の悪い日に」

霧子「はい・・・いっその事、お昼は外の絵、夜は私の絵、というのはいかがでしょう?」

僕「それも、いいですね・・・調子の乗ってる日は、是非」

 

・・・あれだけパーツはある下着を、

てきぱきと、もう全てつけちゃったよ。

ホテルでメイドやってた時も、仕事が早かったんだろうなあ・・・

 

僕「晩御飯、今夜は簡単なものでいいですから」

霧子「そうですかー?ラム肉が届いたのでジンギスカンはいかがでしょうか」

僕「良いですね、いただきます!楽しみだなぁ」

 

完全なメイド服に戻った霧子さん、

あの中身を見たうえで、あらためて着てもらうと、

その素晴らしさ、奥深さ、美しさが一層、際立つようだ。

 

僕「ありがとうございました」

霧子「ふふふ、どういたしまして」

僕「露天風呂、ゆっくり浸かってますから!」

 

・・・出て行った霧子さん、

どういう訳か、まんざらでも無い感じだ、

モデルも夢中になってたって・・ぼーっとしてる事が夢中なんだろうか?

 

僕「ちょっと天然っぽいからなぁ・・・そこがいいんだけど」

 

さあ、露天風呂で疲れを癒そう、

凄い大雪だったけど、お湯以外は全部凍ってたりしないよな?

積もってはいどうだけど・・・温度差が激しそうだから、気をつけて入らなきゃ。

 

・・・

・・・

・・・

 

僕「ふぅ〜〜・・・良い湯だ」

 

肩までじっくり浸かりながら考える、

絵を2枚完成させて、売ったら次はどうしよう・・・

春には風景画、初夏には霧子さんを完成させたら、

次は夏だ、このあたりの湿原を描くのもいいよな?

あと・・・2年間お世話になる記念に、このペンションにも、何か絵を1枚、プレゼントしたい。

 

僕「描くならオーロラかな・・・」

 

それと2年もあるんだ、

もう1枚、別の霧子さんも描いてみたい。

視点を変えてというか、サキュバスの持つ『怖さ』を全面に出した・・・

 

霧子「お背中、流しましょうか」

僕「わ!いつのまにっ!」

霧子「今日も、お疲れになられたでしょう?」

 

今夜も破壊力抜群のメイド水着!

これは・・・断れる訳がない!お願いしよう。

 

ザバッ・・・

 

僕「お願いします、1度洗っちゃったんで、背中だけ・・・」

霧子「まあ、それは残念ですわ・・・ではこちらへ」

僕「はいっ・・・」

 

何がどう残念なのか気になる・・・・・

座るとボディソープで背中と首筋を丁寧に洗ってくれる、

普通にしてもらってるだけなのに、ひとこすりが極上のマッサージみたいに気持ちいい。

 

僕「その・・・霧子さんって・・・」

霧子「はい?なんでしょうか?脇の下も洗いますね〜」

僕「あぅ・・・その、霧子、さんっ、て・・・」

 

聞いてはいけないような質問を聞こうとしたが、

急に頭がのぼせて聞けない、何を聞こうとしたかすら瞬時に忘れてしまった。

 

僕「・・・霧子さん、お、お礼に、霧子さんの背中、流しても・・・いいです・・・か?」

霧子「私ですか?まあ嬉しい!では私も一緒に入らせていただきますね」

僕「は、はい・・・って、ここで脱ぐんですか!?」

 

背中を洗い終えると、

メイドスクール水着をぬぎぬぎ・・・

見ちゃいけない!と思いつつも鏡ごしに見てしまう。

 

僕「じゃ、じゃあ・・・座って・・くだ・・・さい」

 

う・・・霧子さんの素肌を洗う・・・緊張するなあ。

 

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