ロビーへ向かうと話し声が漏れてくる、

いけないと思いつつもコッソリ隠れ、聞き耳をたてる・・・

 

女医「検死解剖されるでしょうから、死体がどのような裸だったかまではご遺族にはわからないでしょう」

霧子「本当に申し訳ありません、処罰が下るのであれば粛々と受け入れますので・・・」

女医「話が本当なら、あきらかに正当防衛です、相手が凶悪殺人犯であるならなお・・・ただし・・・」

 

凄く物騒な話をしてないか!?

 

女医「東京の本部からヒヤリングがあると思います、電話で済むと思いますが場合によっては呼び出されるでしょう」

霧子「あのお客様も、何とか誤魔化せそうですし・・・私を命がけで助けようとしてくださったので」

女医「ここに2年間住んでいただけるか、砂丘病院へ素直に通っていただければ良いですわね、何とかインキュバスにせずに済みそうです」

霧子「はい、ナイフが刺さった場所が心臓を外してくれていて、本当に運が良かったと思います」

女医「さすがに心臓を刺されてはインキュバスにすらできず即死ですからね・・・霧子さんの早い対処のおかげですね」

 

インキュ・・・なんだ!?

胸をナイフでって、僕の夢の中での話だぞ!

 

女医「夜が明けないうちに札幌の支部に電話があったので、今回は警察やマスコミへの対処もうまく収まりそうです」

霧子「本当にわざわざありがとうございます、先生の特殊な能力でないと、複雑な再生治療はやはり難しいので・・・」

女医「先ほど送り込んだ私のエネルギーで、おそらく症状は安定するでしょう、油断はできませんが」

霧子「あとはあのお客様のケア・・・再生させた脳をマッサージの名目でうまく癒し続ければ良いのですが・・・」

女医「24時間以上エネルギーを送り込まないでいれば脳が腫れてきてしまいますから、命に関わりますね、2年間騙し続けるしかありません」

霧子「脳が再生に馴染むのに2年・・・まさかもっと重い病気をでっちあげて入院させる訳にはいかないでしょうから・・・どうしましょう」

女医「やはり私たちの種族らしく行く方が良いと思います、霧子さんが無理でも砂丘病院の看護婦や女医が・・・特に東京には・・・」

 

・・・・・あれ?急に言葉が聞こえなくなった!?

どうしたんだろう・・・そーっとそーっと覗いてみると・・・

 

霧子「まあお客様!どうなされたのですか!?」

女医「1時間安静にしていただかないと酷くなりますよ?」

僕「す、すみません、診察料とかどうなっているのかなと・・・」

女医「心配する必要ありません、今回はプライベートで来ましたから」

霧子「え、ええ、非番の所を我侭言って来ていただいて・・・」

 

お医者さんがそんな事していいんだろうか?

それに変なこと言ってたよな?確か・・・イン・・・聞いてみよう。

 

僕「ごめんなさい、何かインキュ・バスとか言ってませんでした?」

霧子「はいっ!?それは何でしょうか?そのような話はしては、いませんが・・・」

女医「・・・インクリボンですね、宿泊客の方が病気だとメールで受け取って、パソコンでプリントアウトしようとしたのですが」

霧子「そうですそうです!インクリボンが切れて大変だったそうなんですよー」

僕「あと、これ落としましたけど、その・・・・・これ、服部先生のですよね?」

 

カルテという名のかわいいコックさん集を渡す。

 

女医「これでしたら来る途中の電車で暇つぶしに書いていたものです」

霧子「まあかわいらしい!・・・あ!車が来たようですわ!」

女医「それでは本当に失礼します・・・霧子さん、例のものは次から2倍にして送りますので」

霧子「ありがとうございます、助かります!あれがないと私、本当に・・・」

僕「そ、それじゃあ、部屋に戻ります、お、お気をつけて・・・」

 

迎えの車は香奈々ちゃんとこみたいだ、

今日は運転のお母さんだけかな?霧子さんとさらに言葉を交わし、

乗り込んで発車していった・・・札幌から僕の診察のためだけに・・・本当にいいのかなあ。

 

僕「まあいいや、保険証は次に病院行ったとき使うだろうし」

 

さて、大人しく寝てよう・・・

首を使わないでいるってことは、

本を読むくらいならいいのかな?

 

僕「う〜〜〜ん、細かいことはベッドで考えよう」

 

そして、さっきの霧子さんと女医さんの会話が何だったのか・・・

・・・いつつ・・・やっぱり動いたから頭痛がちょっとぶり返してきた、

首のコルセットとか付けた方がいいのかな?でもそれじゃあマッサージできないか。

 

 

・・・・・部屋で休んでいると霧子さんが帰ってきた。

 

霧子「お待たせいたしました、マッサージの続きをしに参りました」

僕「あ、ありがとう、でも女医さんのシップでかなり楽になりましたよ」

霧子「でもそれは冷やして感覚を麻痺させているだけですから・・・まずはうつ伏せでお願いしますわ」

 

言われるまま、おでこを枕につけてうつ伏せになる。

 

霧子「では失礼して・・・」

 

もみもみもみもみもみ・・・

 

僕「ん〜〜〜〜・・・気持ちいいぃぃぃ・・・」

 

ぽわっと首の筋がほぐされていくようだ、

さっき霧子さんが女医さんと話してた、エネルギーを送り込むとかどうとか、

まさにそんな感じだ、古い言い方をすればハンドパワーとかいうのかな?とにかく心地いい。

 

霧子「強すぎませんか?」

僕「強すぎもせず、弱すぎもせず、すっ、すんごい、いい・・・です」

霧子「それは良かったですわ・・・毎日してさしあげますから・・・」

 

もみゅもみゅ・・・くりくりくりくり・・・

 

僕「あふぅ・・・」

 

普通に揉むだけじゃなくって、

手の付け根でぐりぐり押してくれたり、

首の筋に沿って指でほぐしたり、後頭部のつぼまで・・・

 

霧子「あの・・・もし本当によろしかったら、1・2年滞在なさっていただきたいのですが・・・」

僕「でも・・・絵が完成したら売らなきゃ・・・そうのんびりもしていられないし・・・」

霧子「今はネットオークションというものもありますし、それに・・・私、ここに1人でずっと住んでいて、実は寂しいですの」

 

あっ、僕の背中に霧子さんが、覆いかぶさるように密着してきた!

 

霧子「ほら、男手もないと物騒ですし、年末年始まではお客様もあまり来なくなりますし・・・」

僕「で、でも、ゼロっていう訳じゃないですよね、有名な、人気のペンションですから」

霧子「そうですわね、スキー場が閉鎖されてから減ったとはいえ、流氷や野鳥を見に来るお客様、流星群を狙うお客様、温泉もありますし」

僕「あんまり長くいて、ヌシみたいになっちゃうのも嫌だなぁ、霧子さん目当ての男がいるとか噂立てられても嫌だし・・・んっ・・・」

霧子「あら、私は嬉しいですわ、私目当てでしたら、いつでもいくらでも、口説いてくださってよろしいのですわよ?」

 

そ、そんな事を言い出すなんて!

意外というか人が変わったというか・・・

あくまでも淑女なメイドさんだと思っていたのに・・・

 

霧子「こうしましょう、2年間の長期滞在割引ということで、1泊200円でいかがでしょうか?」

僕「えええ!?や、安すぎる・・・食費だけでも大赤字じゃないですか」

霧子「それは平気ですわ、毎日、私だけの食費と食材を考えると、2人分になってもそう金額は変わらないですから」

僕「でも・・・忙しい時期に入ったら、部屋が1つ潰れてて、その分、儲からなくなっちゃうんじゃ?」

霧子「それもこうしましょう、繁盛期はアルバイトとして絵を描きながら働いてみませんか?部屋は私と一緒で」

 

い、いい、いいいいっしょって!!

あぁ・・・誘惑するような手つきで首筋をやさしくなでられるぅ・・・

 

霧子「女の1人暮らしは物騒な事もありますからぁ・・・」

僕「でも、だって・・・ぼ・・・僕だって、男ですよ、なにを・・する・・かぁ・・・」

霧子「ふふふ、されてみたいですわね、逆に私の方が襲ってしまうかも・・・は冗談ですけど」

 

ああう・・・やばい・・・なんだかよくわからないけど、とろけそうだ・・・

 

僕「霧子さんの・・・負担になるようなことは・・・したく・・ないぃ・・・」

霧子「負担なんてありませんわ、ずっといてくださった方が、何より嬉しいです、でも本当にずっとは失礼ですから2年だけ・・・」

僕「そんな、話を進めないで・・・あぁう・・・喉まで・・なで・・ない・・で・・・」

 

いつのまにか愛撫されてる・・・別の話題で逃げないと!

 

僕「そうだっ・・・ロビーで・・・ライフルの弾みたいなの・・・みつけ・・まし・・・た」

霧子「おもちゃですか?きっとお客様の子供が忘れていったのでしょう」

僕「い、いえ、薬莢でしたから・・・ぁぁあ、耳まで指を、からめない・でっ・・・」

霧子「思い出しましたわ・・・お客様がいらっしゃる前に、猟友会の皆さんが泊まってらして・・・きっとその時ですわ・・・ふうっ」

僕「そんなっ!耳元でささやかれると、息が、息がふきかかって、く、くすぐったい・・・ですっ」

 

薬莢のことを誤魔化すかのように耳に息が入ってくる・・・

やばい、ちょっと股間が、元気になってきちゃった、ムクムクと・・・

 

僕「か、考えておきますから、も、もう、ゆ、ゆるして・・・」

霧子「そうですか?・・・そうですね、もうすぐ昼食の支度ですし・・・」

僕「食べ終わったら、さすがにもう、絵の続きをしてきます、1日空いただけでも本当はいけない事ですから・・・」

 

いけない事、って何か変な想像しちゃいそうだ、自分で言っておいて。

 

霧子「では今夜はあったまる鍋を用意いたしますから、私の部屋で食べましょう」

僕「えええっ!?・・・・・あ、そ、そうですね、そうしましょう」

霧子「はい、楽しみにしていますから・・・たくさん食べていただきますからね・・・・ふふふ・・・」

 

なんだか、食べられちゃいそうな言い方だな・・・

清楚なメイドさんだったはずなのに、急にどうしちゃったんだろう?

でも霧子さんの部屋に行けば、変なデジャヴの謎が少しでも解けるかもしれない。

 

霧子「では続いて仰向けになってください」

僕「はい・・・・はっ!?」

霧子「どうなされましたかー?」

 

一瞬、霧子さんの顔が、

人とは違うように見えた、何ていうか、

人形?違う、幽霊?雪女?というか・・・天使?

 

僕「なんでも、ない、です、新しい眼鏡、似合ってるなあって」

霧子「ありがとうございます、でもこれ本当は昔に使ってた眼鏡ですの」

僕「そうですか、霧子さんだったら何をつけても似合いますよ」

霧子「ふふ・・・さあ、こめかみもマッサージしますね、お顔もクリームをつけましょう」

僕「ほ、本格的なんですね・・・あっ・・・こめかみ・・・気持ち・・・・・いいっ・・・・・」

 

人を超えた天使に見えた霧子さん、

夢の中で死にかけたときに見た淫らな光景を思い浮かべる・・・

大きな翼で男の上にまたがって犯していた・・・なぜかそれが怖くも綺麗に見えた・・・

 

霧子「目を瞑ってくださぁい」

僕「はいぃ・・・」

霧子「私のされるがままにしていただければ・・・良いのですよ・・・」

僕「は・・は・・・・はいぃ・・・・」

霧子「これからずっと・・・体が本当に治るまで・・・・・ふふふふふ・・・・・」

 

ふぁぁあああぁぁ・・・・・

ねむく・・なって・・・きたぁ・・・・・・

このまま・・・落ちてしまいたいかも・・・霧子さんの・・・手・・・に・・・・・

 

霧子「ふふふふふふふふ・・・・・」

 

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