木の上は丁度良く葉っぱに隠れてて、

2人が隠れるには丁度良い広さだ、荷物も置ける。

 

「んー、凄く良い隠れ場所だ」

「でしょー?この島って私の庭だもーん」

「住んでたの?」

「別荘があるからー、もうこの島に住んでる人はいないよー、半分廃墟になってるのー」

「そっか、じゃあ君が味方についていれば地図はいらないね」

 

☆地図☆

といいつつ銃を持ちながら地図を広げる・・・

ん?みみちゃん、腕を背中に隠して・・・何か持ってる?

 

「どうしたの?」

「え!?あ、こ、これー」

「あ、銃か・・・しっかり握ってるんだ」

「いつ誰か来ても撃てるようにー」

「そうだね、僕も油断しないよう、ずっと右手に持ってる」

 

みみちゃんだって信用しきれないからな、

逆にみみちゃんも僕を信用しきれないだろう、

そして、撃たれたら即アウトの女性陣と違い、僕には「中出し」という条件がある。

 

「ここは丁度、島の真ん中あたりか」

「逃げる場所はいっぱいあるよー」

「半分廃墟っていうけど、廃墟じゃない場所ってどこかな?」

「まず目を覚ました体育館ねー、会社のバレー部が2年前まで使ってたのー」

「なるほど、2年じゃ廃墟にはならないよね」

「この島、自衛隊がたまに演習で使うからー、その本部にこの体育館、たまに使うからー」

「ふむふむ、この合宿所っていうのもそうか」

「あと高校バレーの合宿にも貸したりしてるからー、体育館も合宿所も今でも使われてるよー」

 

・・・でも廃墟になってないからといって、

隠れるには良い所って訳でもないよな、それに、

そもそもこのゲームの運営本部になっていそうだし・・・

 

「右下の、このゴルフ場は?」

「そっちもちゃんと整備されてるよー、ちゃんと18ホールあって広いのー」

「今でも使われてるんだ」

「うんー、有名なプロゴルファーとかも泊りがけで借りたりするよー」

「じゃあ、クラブハウスもちゃんと整備されてるんだ」

「ちゃんと支配人もいるよー、今日はわかんないけどー」

「ここに泊まる設備とかはないの?」

「なかったはずー、プロゴルファーも泊まるときは合宿所使ってたはずだからー」

 

今夜、布団で寝るのは無理そうかな・・・

 

「ほかに廃墟じゃないのは?」

「温泉は入るだけなら入れるようになってるよー」

「公園は?」

「草ぼーぼー」

「港は?」

「整備されてるー、あとへリポートもー」

「ええっと、他は・・・」

「発電所とか灯台とかもちゃんと使われてるよー」

「その2つは隠れるのに良さそうだね」

「もっといい隠れ場所しってるよー、それはー・・・ここー」

 

指差された場所には・・・別荘、と書いてある。

 

「これ、君の別荘?」

「そうだよー、ここに入って鍵しめればー」

「なるほど・・・4時間毎に出なきゃいけないけど、拠点にはいいね」

「ベッドもちゃんとあるしー、クッキーやコーヒーもあるよー」

「ライフラインが全部あるのはいいな・・・じゃあ、お邪魔しようかな」

 

ちょっとずるい気もするが、

ルール違反してる訳じゃないし。

 

「今からいこー」

「え?ここで3時間くらい隠れてからでも・・・」

「ここだと気付かれちゃうよー、クラスに凄い子いるんだからー」

「たとえば?」

「メガネウルトラ株式会社社長の娘でどんなに細かい動きも見逃さない視力50.5の雷光射夢(らいこういむ)ちゃんとかー」

「うんうん、要注意だな」

「ヤバマ楽器社長の孫でー、どんな小さな声でも聞き分けられる唐城玉穂(からしろたまほ)ちゃんとかー」

「それはやばいね」

「予納堂化粧品会長の孫でー、どんな匂いでも嗅ぎ分けられる予納司(よなつかさ)ちゃんとかー」

「そんな子に来られたらどこに隠れてても・・・あれ?」

「有名指揮者で『世界の辺見』って呼ばれてる辺見正一郎の孫で、ピアニストの辺見静歌ちゃんなんかは視界が360度って噂でー・・」

「まま、待って!・・・その子たちみんな・・・・・倒した」

 

ていうか、勝手に倒れてくれたんだけど。

 

「うっそーーーー!?」

「ほんと。ちょっと待ってね、メモするから」

 

データ整理しておこう。

 

1日目午後3時00分の情報

 

「・・・よし、失格者は×にしとこう」

「ねー、おなかすいてないー?」

「え?いや・・・あ、僕のバームクーヘンでよかったら1つ食べる?」

「ありがとー、私のも1つあげるー」

「なになに?あまり喉が渇かないのがいいな・・・」

 

1番と書かれたリュックから取り出したのは・・・

 

「それ・・・パン?」

「甘食だよー、1個食べて残り2個ー」

「はは・・・バームクーヘンと大して変わりないね」

「でもー、勇人くんと交換できるのがうれしいー」

「じゃ、じゃあ・・・別荘で食べようよ、飲み物と一緒でないと、つらいから」

 

2人して慎重に神木を降りる・・・

どんな子が出てくるかわからないからなー、

油断してるとどの方向からビームが来るか・・・慎重に銃を構えながら進む。

 

「勇人くーん、こっちー・・・道は任せてー」

 

地元の子に任せれば、間違いは無いだろう。

できるだけ音をたてないように、慎重に、それでいて素早く、僕らは神社から別荘へと山を下りていく・・・・・

 

 

 

 

 

パシューーッ!!

 

「わ!どこだ?」

「この先みたいー、なんか撃ち合ってるー?」

 

茂みに隠れてこっそり見ると・・・

 

バシュ!バシュバシュッ!!

 

「やあっ!でいやっ!!」

「・・・・・・・」

 

2人の少女、と呼ぶには大柄な2人がやりあってる、

間合いを詰めたり離したりしながら撃ち合っているものの、

互いになかなか当たらないみたいだ、とはいえ段々と有利不利がわかってくる。

 

「はあっ!・・はぁ、はぁ・・・はいやあっ!!」

「・・・・・」

 

バシュバシュバシュッ!!!

 

攻めてるのがセーラー服で受けてるのがレスリングの試合で着るやつ・・・

威勢の良い声をあげ、ビームをレスリングの受け身で避けながら相手の背後を狙う少女、

オリンピック女子金メダリストの房後 晶(ふさご あきら)さんだ、

ただ、はじめは避けた直後に相手に向かって銃を撃ててたんだけど今は避けるのに精一杯で、

よけた拍子にとにかく銃を撃って相手にあたれば、っていう感じだ、下手な鉄砲数撃ちゃ・・うわっ!!

 

バシューーーーーン!!

 

流れ弾がこっちへ!

慌ててしゃがむ僕と閼伽砂(あかさ)さん、

その拍子にガサガサッ、と葉音が漏れるも2人は気付いてないみたいだ。

 

バシュ!バシュ!バシュ!!バシュッ!!

 

房後さんの相手、熊みたいにでかくて筋肉がすごい女性・・・

レスリング金の房後さんよりさらに凄く、闘うために鍛えられた肉体美がセーラー服を着ててもよくわかる。

転校生2人のうち1人、えっと名前は・・・なんだっけ?あのでかい体で動きが鋭い。

 

「・・・・・」

 

冷血な表情で房後さんを追い詰めていく大きいセーラー服、名札が見え大塔とある。

たまにビームが向かってきてもサッとそれを何事もないように無表情で避ける・・・

息を切らして必死に避けてる房後さんとは対照的・・・あ、スカートがひらりとしてパンツ見えた、

ピンクだった・・・ってそんな所を見てる場合じゃない!さすがの房後さんも樹の幹に追い詰められた。

 

カチャッ!カチャッ!!

 

房後さんの銃から玉が切れた、

直後、大塔さんは素早く銃を突きつける!

 

バシュッッ!!!

 

「えいやあっ!!」

 

ビームをはいつくばって避け、

そのまま樹を蹴ってタックルで大塔さんの銃を持つ右腕を絡め取る!!

関節を決めるか、と思った次には逆に大塔さんが腕を取られたままクルリと房後さんの背後にまわり、

もう片方の腕でスカートのポケットから・・・銃を出した!それをこめかみにつけて!!!

 

バシューーーーー!!!

 

「んあああああああっっ!!!」

 

目が裏返る房後さん!

レスリングタイツの股間がみるみるおもらしみたいになり、

ガクガクと震えながら地面に崩れ落ちる・・・完全にイッちゃったみたいだ。

 

「・・・こ、こええ・・・・・」

 

僕は思わずそう漏らして身震いした。

冷酷・冷淡・・・この前テレビで見た総合格闘技PRIDE189に出てた、

まったく表情を変えず相手をボコボコにするロシア人みたいだ、身のこなしもそんな感じ・・・

レスリング金の房後さんが簡単にやられたあの素早さ、なんとなくコマンドサンボって言葉を思い出した。

・・・あれ?大塔さん、顔と体は房後さんの方なのに、銃だけこっち向いてる・・や、やばいっっ!!!

 

バシュッッ!!

 

「うがぁっ!!」

 

一気に股間が熱くなるっ!!

 

「大丈夫!?」

「うぅ・・・頭、かすった・・・」

 

閼伽砂(あかさ)さんが心配そうに覗く顔のその後ろから、

無表情のまま大塔さんが跳びかかってきた!僕は思わず銃を・・・つ、つかめないっ!体が快感で痺れてっ!!

 

ガサガサガサガサガサ!!

 

「うわあああっっ!!」

 

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