バシュッ!バシュッ!!
「きゃーっ!?」
「やっぱりいましたわ」
「撃ち返さないとまずいわね」
相手は3人か・・・
どうやってきたのか知らないけど、
またこっちの動きが丸見えかも知れない、隠れよう。
「あー、あっちに動いたー、足音したもーん」
「くんくん・・・間違いなく勇人さまの匂いですわ」
「たまほちゃん、つかささん、上に銃を撃ちますから、あたりを照らしてる間に勇人さんを撃つのよ!」
く、くるっ!
ビームを照明にして襲い掛かってくるのか!
まずい、この暗視ゴーグルだと急にまぶしい光が来れば、真っ白でなにも見えなくなりそうだ!!
「しずかちゃん、準備できたよー」
「勇人さまの方向は匂いでわかってます、あとは撃つ場所だけですわ!」
「さあ行くわよ・・・5発くらい撃つからそのうちに捕捉するのよ!勇人さん、覚悟!!」
逃げなきゃ!
で、でも、光った瞬間にまわりが見えなくなれば、
もし転んで頭でも打てば、岩場なだけに命にかかわる!!
こうなったら、とびかかってきた瞬間にこの2丁の銃を乱射するしか・・・
潜んでいるのがあそこだから、来るルートは大体見当がつく、よし、来るなら来いだ!!
「・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
静まる廃坑・・・
ピチョン、ピチョン、と水滴の音が響き・・・そして!!
「今よ!!」
カチッ!カチッ!
「あ・・・あら?」
ビームが、出てこない!?
「しずかちゃん!!」
「いかがなさったのです!?」
「お、おかしいわね・・・あ!残り0・・・弾切れだわ」
がくっ!!
「もー、大事なときにー!」
「どうして残しておかなかったんですの!?」
「仕方ないわ、たまほちゃん、代わりに打ってよ」
「えー、私だってあと3発しかないのにー!つかさはー?」
「残り2ですわ、2あれば襲撃には十分ですもの、0になるなんて信じられないことですわ!」
「だってしょうがないじゃないの!ここまで来るのに照明がないから代わりに撃って・・・」
「しずかちゃん途中で撃ちすぎー!もっと要所要所で撃たないとー!」
「そうですわよ、最後の詰めが甘いなんて最悪ですわ!なにが5発撃つですの!」
「何よ!最初に入ろうって言ったの、たまほちゃんでしょ?奥に絶対人がいる音がするって・・・」
なんか揉めてるぞ!?
「でもー、勇人くんの匂いがするって言ったのー、つかさだよー」
「嘘はついていませんわ!事実、そこにいるじゃありませんこと!」
「やっぱり他の子を襲って、もっと銃とかライトを奪うべきだったのよ!それを勝手に進んで!」
「3人で行けば勝てるって言ったのしずかちゃんだよー」
「早くしないと誰かに取られると焦ってらしたのもあなたですわよ!?」
「何よ何よ!どんな小さな音でも聞こえるたまほの耳と、どんな遠くの匂いでも嗅げるつかさの鼻なら真っ暗でも平気っていうから・・・」
い、いまのうちに逃げよう。
「私わるくないよーちゃんと3発残してたもーん」
「わたくしも2発残して最後に備えたのですの、私も作戦は守ってましたわ!」
「それって道案内を全部私に押し付けただけじゃないの!まとめる私の身にもなってよ!」
「誰もしずかちゃんがリーダーだなんて決めてないもーん」
「弾を切らした時点でリーダー失格、もう用済みですわ!」
「ま、まさか弾を残したのは私を撃って、勇人さんを1人占めするつもりだったんじゃないの!?」
「1人占めはしずかちゃんだよー、しずかちゃんが代表でHして3人で賞金分けるって勝手に決めてー」
「そうですわ、調子の良い事を言って、あなたの方が後で裏切るつもりだったのでしょう?」
「せっかくここまで来て何言ってんのよ!2人とも素直に私のいう事だけ聞いていればいいのよ!!」
そろーり・・・そろーーーり・・・・・
「ちょっとー!真っ暗なんだから暴れないでよー!あ、銃取らないでー!」
「わ、わたくしの銃まで奪って何をしようっていうんですの!?引っ張らないでくださいます?」
「早く貸しなさいよ!2人とも耳と鼻だけの役立たずのくせに!」
「しずかちゃんだって指示しかしてないくせにー」
「照明係なのに照明を切らしたおバカさんに私の銃は渡せませんわ!」
「何よ何よ何よ何よ何よ、なによーーーーーーーーーー!!!」
パシュッ!パシュッ!パシュッ!!!
わわわ!洞窟内が光った!!
・・・パシュッ!パシュッ!!
「ああーーーん!!」
「んっ・・・くふうううっっ!!」
「い、い、いいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!」
・・・・・・・・・あ、あれ?僕は撃たれて・・・ないよな?
静まり返る洞窟・・・暗視ゴーグルが白一色から開けてきた、
さっきまで口喧嘩していた方向は・・・覗いてみると、3人の女の子が体をピクピクさせてる。
「・・・ーーー!!」
「っ・・・・っ・・・っっ・・・」
「ぃ・・・ぃ・・・・ぃぃぃ・・・」
うっぷ・・・いやらしい匂いでむせる・・・
どうやら銃を奪い合って揉みあってる隙に、
3人とも撃ち合ってしまったみたいだ、僕は何もしてないのに・・・
「えっと・・・銃は・・・もう3人とも0、だよな?」
銃声は5発だから、言ってた事が正しいなら丁度使い切ったはずだ。
「特種道具と食料を貰おうかな・・・」
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・・・
うわ!いっぱい来る!
逃げなきゃ!あの子たちの荷物は欲しいけど、
捕まったら意味は無い・・・僕は自分のリュックを抱えてさらに先の洞窟へ走った!!
「・・・・・はぁ、はぁ・・・あ、外だ」
ゴーグルを外す、時計は・・・もうすぐ3時、きついなー・・・
洞窟から出るか・・・でも、どこに出るんだろう?
それに、出た所に誰かが待ち受けてたら・・・銃を構えて慎重に進もう・
ザッ・・・
ザッ・・・・・
ザザッ・・・・・・・・
紅い何かが見える、あれは・・・鳥居だ!!
「ということは、ここは・・・」
洞窟から出ると、そこは神社の裏だった。
「結構立派な鳥居だな、でも神社の建物はボロボロ・・・」
建物自体それほど大きくないうえに廃墟になってる。
「・・・洞窟の方からは・・・誰も来ない」
よく考えればさっきの大量の足音は、
失格者を回収する兵隊さんたちだったのかも?
だったら待って荷物を回収したかったなー、でも今からあそこへ戻る気にはなれない。
「神社・・・神社って、そういえば何かひっかかるな・・・」
「わ!そっちからきたんだー、勇人くーん・・・勇人くーーーん」
僕を呼ぶ声・・・
でもどこだ?神社の中は人が入れそうにないし、
声は上から・・・屋根の上?ちがう、もっと別の方向・・・
「こっちー、こっちーー、木の上ーー」
神社の主みたいな、しめ縄のしてある大木の上に・・・
いた!あの子は確か、出席番号1番の、あかさ みみちゃん!!
「よ、よくそこ登れたね」
「小さい頃からこの樹は登ってたのー・・・はやくー」
「あ、僕も?わかった、いま、行くよ・・・」
・・・いや、行っていいのか?
確か、うん、確かにここで待ち合わせはしていた、
でも、素直に信じて行ってもいいんだろうか・・銃をぎゅっと握り締める。
「なんにもしないよー?それより早くこないと危ないよー」
「で、でも・・・僕を、その・・・撃ったり・・・しない?」
「こんな変なゲームでヴァージン捧げたくないもーん、勇人くーん、信じてー」
「ほんとうに・・・本当の本当に、僕を、助けてくれる?」
「んもー、早くしないと、熊みたいな転校生に犯されちゃうよー?さっきうろついてたよー?」
それはやばい!!
僕は大木にしがみついて上へ登った。
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