でも、ここからなら下を見渡せるから、みんなの動きがわかる・・・
海には船や瀬戸内海の他の島が見え、森では木の陰に兵隊さんが構えてる。
ヘルメットに自衛隊と書いてあったのは見なかった事にしよう・・・おそるべし菱大路財閥!!
しかもほんとに残り17発・・・それより僕用の武器って何だろ?
ええっと・・・あった、バームクーヘン3切れ・・・これは食料だ、違う違う・・・
「・・・・・あれ?ジャージのズボンの中に何か入ってるぞ?これは・・・」
「ふむ・・・わかった、これに情報を打ち込んでいけばいいんだな・・・よし」
情報がこんがらがってさっき体育館で回想した情報しか打ち込めない・・・」
こんな事ならもっとクラスメートとスキンシップしておくべきだった、
変に避けてたからなぁ、こんな仕掛けがあるなんて思いもよらなかったから・・・
さて、どうしよう・・・とりあえず学生服から動き易いジャージに着替えるかな。
中で着替えたんだろうな、でも何人かはセーラー服あと私服も・・・
ここから僕がみんなを見下ろせるってことは、みんなが見上げれば簡単に僕を見つけられるってことだ!
「なるほど、これは盲点だった・・・・・やば!逃げなきゃ!!」
1時間は撃たれないとわかってても、取り囲まれたらおしまいだ!
振り返るとそこには・・・ばかでかい眼鏡にセーラー服、背が低めの少女だ。
胸のネームプレートに目をやると幌月 世衣と書いてある、クラスメート、だっけ。
「まともに話するのは初めてね、ほろつき・よいっていうの、みんなには『ほろよいちゃん』とか呼ばれてるわ」
「ううん、化学に酔ってるの、ウチは代々理系学者なの・・・あ、身構えないで!私は愛とか恋とか興味無いから」
「ほんとう?・・・じゃ・・・じゃあ、味方になってくれる・・・の?」
「それは利口じゃないわ、私は何もせず、ずっと隠れてるから・・・逃げ切ってね」
「ええー?じゃあ・・・準優勝狙いだけど、まったく何もしないってこと?」
「そ、このクラス入ったのも研究に打ち込むためだし・・・愛や恋に興味無いから私は逃げるわ」
「それで、僕が逃げ切ったら漁夫の利で・・・でも、なぜそれを僕に?」
「敵と間違われて撃たれたらもったいないでしょ、何もしないから何もしないでって事が言いたいだけよ」
「そうそう、もうすぐここに8人くらい来るから逃げたほうがいいわよ」
「そうね・・・どこも危険だけど、とりあえず思いっきり遠くへ行った方がいいわ、30分は稼げるから」
「勇人くん・・・・・ほんとに、逃げ延びてね・・・・・最後まで」
僕はとりあえず、小川で水を飲みながらリュックからバームクーヘンを取り出した。
急いでパクつく・・・味は普通だけど、1個じゃ物足りない・・・
「んぐ・・・もっと食べたければ他の子を倒して、ってことか・・・」
何だろう?マニュアル、マニュアル・・拳銃の項目は・・・あった。
最小にすれば威力は弱まりますが発射速度が最速となり相手は避けられません
でも弾数は変わらないみたいだ、よし、真ん中に調整して、と・・・
音の短い銃声はビームが速く、長い銃声は遅いかわりに当たるとダメージ大・・・
大きいダメージなら多少急所を外れても相手をイカせられるかも知れない、
逆に小さいダメージのビームでも急所をうまく狙い済ませば一発で・・・マニュアルは読んでおくもんだ。
どこかに身を潜められる場所は・・・4時間なら同じエリアにいられるんだよな?