☆満月☆

「綺麗な満月だべ・・・」

 

あんまりに綺麗すぎて、

魔力でもあるように思えるべ・・・

 

「・・・この高さなら、あの洞窟から見れる・・・べ?」

 

オラはゆっくり、ゆっくり洞窟の中を進む・・・

虫の音と波の音だけが響く・・・奥につくと月明かりに照らされ空洞が見渡せる・・・

 

「・・・・・!?」

 

ザシュッ!!

 

「のわわわわっ!?」

 

ムチのようなものが目と鼻の先に下ろされる!

それは・・・長い長い蛇の胴体のように見えるべ!!

 

「・・・おや、あんたかい・・・てっきり奴かと思ったよ」

 

見上げるとあの化け物女・・・

下半身の蛇の一本を、待ち伏せして振り下ろしたみたいだ、

しゅるしゅるとその蛇が上へ戻っていく・・・ということは、あのお侍さんは、まだだべ・・・?

 

「もうすぐ来るから、見たいなら黙って奥へ隠れておきな!」

「へ・・・へえ・・・・・」

 

言われたまま岩陰へ・・・

見上げると満月はまだ少し岩に隠れていて、

この中からは全部は見れない・・・だども時間がたつと・・・・・

 

「・・・・・」

 

ザッ・・・ザッ・・・・ザッ・・・・・

 

入り口からゆっくりとした足音が聞こえてきた・・・

慎重に、先を探りながら来ている様子が音だけでわかる・・・

その足音の真上では、先を鋭角にした蛇のしっぽをいくつも構える魔物・・・!!

 

ザッ・・・・・・・ザッ・・・・・・・・ザザッ!!!

 

ビュン!

ビュビュンッ!!

 

「でやぁっ!!」

 

ズシャッ!

ズシャシャッ!!

 

見事な刀さばきで真上から降りてきた尾っぽを切り落とす!!

地面では切られた尾っぽがのたうちまわって・・・普通の蛇になって地面に潜っていった。

 

「おのれ化け物!今宵こそは成敗してくれよう!」

「あ〜ら、私の封印を解いたお前が、何が成敗なのさ?」

「うるさい!バケモノを退治して何が悪い!お前の首を城に献上してくれるわ!」

「そんなこと言って、本当の目的はこの黄金だろう?さっきからここにばかり目が行ってないかい?」

「そんなものは、あくまでもおまけだ!バケモノ退治の名声を手に、拙者は城に雇ってもらうのだ!」

 

・・・・・なんとなく見えてきただ、

このお侍さん、わざわざこの魔物の封印を解いて、

倒して金と名声と地位を得ようと思っているだな?

それでわざわざこんな田舎の漁師村まで・・・だったら、

倒されても自業自得のような気がするべ、少し心が軽くなる・・・

 

「ふふふ、バケモノよ、よく聞くがいい・・・今からお前の動きを止めて、この剣でぶった斬ってくれるわ!」

「おや、私の動きを止める?どうやってやろうっていうんだい?」

「これに見覚えがあるだろう・・・お前を封印するための宝玉だ」

「そ、それをどこで・・・捨てたはずなのに!キーッ!」

「これでお前を封印・・・する直前に刀で首を斬り落としてくれるわ!!」

 

宝玉を高々と掲げる!!

月明かりが宝玉を照らして、

きらきら輝きながら煙を・・・!?

 

「ぐわっ!?ぐ・・・ぐあああああああ!!」

 

お侍さんが・・・溶けていく!?

 

「まんまと騙されたようだねえ?ほっほっほっほっほ!!」

「な・・なぜだ・・・ぎゃぐぁがあああああああああああああああ!!!!!」

 

・・・・・あっという間に骨だけになってしまったべ・・・

ニタリと微笑む魔物・・・おそろしい・・・ちびってしまいそうだべ・・・

 

「・・・・・もう終わったよ、出てきな」

 

足を踏み出すもガクガク震えて・・・あわわわわ・・・

 

「そんなに怯えるんじゃないよ、あたしは無駄に人間を殺しはしないわ」

 

魔物のほうから近づいてくる・・・

 

「ほら、褒美だよ」

 

黄金のしっぽの先を指でつまみ、

引っこ抜くと・・・黄金の針が十本程出てきた。

 

「純金さ、これを売ればとうぶん遊んで暮らせるよ」

「だ、だども・・・」

「アンタもここばっかり見てたじゃないかい、遠慮することないよ、受け取りな」

 

オラが本当に見てたのは、その上・・・

 

「そんなものいらないべ・・・」

「・・・はぁ?いらないって・・・まさかあんた・・・」

「その・・・オラ・・・オラは・・・・」

「そうかい・・・そうかいそうかいそうかい!!」

「・・・・・え!?」

 

シュッ!と鋭利な尾っぽがオラの喉元を向く!

 

「人間って欲深いねぇ、私を倒して全部いただこうって寸法だね?」

「ち、ちがうべ!そんなこと、まったく思ってねえべ!これっぽっちも!!」

「じゃあその目はなんだい!ずっと見てたじゃないのさ!正直に言わないと・・・」

「わ、わかったべ!言うべ!その・・・オラが欲しいのは・・それじゃなくって・・その・・・」

「・・・・・・・・・?」

 

じーーっとおおきなよっつのおっぱいを見つける・・・

 

「・・・・・・・まさか、アタシの・・・・・体!?」

「・・・・・だべ」

 

顔があっちくなる・・・

 

「正気かい?」

「ああ・・・最初から・・ずっと気になってただ・・・」

「・・・・・珍しい人間もいるもんだねぇ・・・でも嫌いじゃないよ」

「じゃ、じゃあ・・・」

「この体でよかったら、いくらでも相手してやろうじゃないの・・・人間じゃあ味わえない快感をね・・・」

 

うにょうにょとした足で擦り寄って、

オラの体は魔物に・・・4本の腕で抱きつかれた。

 

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