
「綺麗な満月だべ・・・」
あんまりに綺麗すぎて、
魔力でもあるように思えるべ・・・
「・・・この高さなら、あの洞窟から見れる・・・べ?」
オラはゆっくり、ゆっくり洞窟の中を進む・・・
虫の音と波の音だけが響く・・・奥につくと月明かりに照らされ空洞が見渡せる・・・
「・・・・・!?」
ザシュッ!!
「のわわわわっ!?」
ムチのようなものが目と鼻の先に下ろされる!
それは・・・長い長い蛇の胴体のように見えるべ!!
「・・・おや、あんたかい・・・てっきり奴かと思ったよ」
見上げるとあの化け物女・・・
下半身の蛇の一本を、待ち伏せして振り下ろしたみたいだ、
しゅるしゅるとその蛇が上へ戻っていく・・・ということは、あのお侍さんは、まだだべ・・・?
「もうすぐ来るから、見たいなら黙って奥へ隠れておきな!」
「へ・・・へえ・・・・・」
言われたまま岩陰へ・・・
見上げると満月はまだ少し岩に隠れていて、
この中からは全部は見れない・・・だども時間がたつと・・・・・
「・・・・・」
ザッ・・・ザッ・・・・ザッ・・・・・
入り口からゆっくりとした足音が聞こえてきた・・・
慎重に、先を探りながら来ている様子が音だけでわかる・・・
その足音の真上では、先を鋭角にした蛇のしっぽをいくつも構える魔物・・・!!
ザッ・・・・・・・ザッ・・・・・・・・ザザッ!!!
ビュン!
ビュビュンッ!!
「でやぁっ!!」
ズシャッ!
ズシャシャッ!!
見事な刀さばきで真上から降りてきた尾っぽを切り落とす!!
地面では切られた尾っぽがのたうちまわって・・・普通の蛇になって地面に潜っていった。
「おのれ化け物!今宵こそは成敗してくれよう!」
「あ〜ら、私の封印を解いたお前が、何が成敗なのさ?」
「うるさい!バケモノを退治して何が悪い!お前の首を城に献上してくれるわ!」
「そんなこと言って、本当の目的はこの黄金だろう?さっきからここにばかり目が行ってないかい?」
「そんなものは、あくまでもおまけだ!バケモノ退治の名声を手に、拙者は城に雇ってもらうのだ!」
・・・・・なんとなく見えてきただ、
このお侍さん、わざわざこの魔物の封印を解いて、
倒して金と名声と地位を得ようと思っているだな?
それでわざわざこんな田舎の漁師村まで・・・だったら、
倒されても自業自得のような気がするべ、少し心が軽くなる・・・
「ふふふ、バケモノよ、よく聞くがいい・・・今からお前の動きを止めて、この剣でぶった斬ってくれるわ!」
「おや、私の動きを止める?どうやってやろうっていうんだい?」
「これに見覚えがあるだろう・・・お前を封印するための宝玉だ」
「そ、それをどこで・・・捨てたはずなのに!キーッ!」
「これでお前を封印・・・する直前に刀で首を斬り落としてくれるわ!!」
宝玉を高々と掲げる!!
月明かりが宝玉を照らして、
きらきら輝きながら煙を・・・!?
「ぐわっ!?ぐ・・・ぐあああああああ!!」
お侍さんが・・・溶けていく!?
「まんまと騙されたようだねえ?ほっほっほっほっほ!!」
「な・・なぜだ・・・ぎゃぐぁがあああああああああああああああ!!!!!」
・・・・・あっという間に骨だけになってしまったべ・・・
ニタリと微笑む魔物・・・おそろしい・・・ちびってしまいそうだべ・・・
「・・・・・もう終わったよ、出てきな」
足を踏み出すもガクガク震えて・・・あわわわわ・・・
「そんなに怯えるんじゃないよ、あたしは無駄に人間を殺しはしないわ」
魔物のほうから近づいてくる・・・
「ほら、褒美だよ」
黄金のしっぽの先を指でつまみ、
引っこ抜くと・・・黄金の針が十本程出てきた。
「純金さ、これを売ればとうぶん遊んで暮らせるよ」
「だ、だども・・・」
「アンタもここばっかり見てたじゃないかい、遠慮することないよ、受け取りな」
オラが本当に見てたのは、その上・・・
「そんなものいらないべ・・・」
「・・・はぁ?いらないって・・・まさかあんた・・・」
「その・・・オラ・・・オラは・・・・」
「そうかい・・・そうかいそうかいそうかい!!」
「・・・・・え!?」
シュッ!と鋭利な尾っぽがオラの喉元を向く!
「人間って欲深いねぇ、私を倒して全部いただこうって寸法だね?」
「ち、ちがうべ!そんなこと、まったく思ってねえべ!これっぽっちも!!」
「じゃあその目はなんだい!ずっと見てたじゃないのさ!正直に言わないと・・・」
「わ、わかったべ!言うべ!その・・・オラが欲しいのは・・それじゃなくって・・その・・・」
「・・・・・・・・・?」
じーーっとおおきなよっつのおっぱいを見つける・・・
「・・・・・・・まさか、アタシの・・・・・体!?」
「・・・・・だべ」
顔があっちくなる・・・
「正気かい?」
「ああ・・・最初から・・ずっと気になってただ・・・」
「・・・・・珍しい人間もいるもんだねぇ・・・でも嫌いじゃないよ」
「じゃ、じゃあ・・・」
「この体でよかったら、いくらでも相手してやろうじゃないの・・・人間じゃあ味わえない快感をね・・・」
うにょうにょとした足で擦り寄って、
オラの体は魔物に・・・4本の腕で抱きつかれた。
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めくる |