
「にゃあ」
ただの猫・・・たべ?
こんなのが関係してる訳・・・
「しっ!しっ!」
追っ払おうとしても、
目を光らせてついてくるべ・・・
「にゃ〜〜〜ごぉ〜〜」
早く行け、つってる気が・・・
「わかってるだよ!」
早足で宿へ急ぐ・・・
外は白々としてきた、
そろそろ夜が明けるべ・・・
「・・・・・」
勝手口から失敬して・・・
そろーりそろりと・・この部屋だべ・・・
お侍さんはまだ寝て・・・い・・ない?
「誰だ!!」
キラッ!とオラの目の前に刀が下りる!
「ひっ!」
「おぬし・・・盗人か!?」
ふすまの陰で待ち構えていたお侍さん・・・
まだ傷は辛そうだけんど、刀を向ける目は真剣だべ。
「めめめ・・・めっそうもねえべ!これを・・・取り返してきたんだべ」
落とすように宝玉を差し出す。
「ぬぬっ!?お主、それをどこで!?」
「りょ、漁をしてたとき、洞窟のそばに落ちていたべ」
「そうか・・やはりあやつの仕業か・・うぐうっ!!」
肩から胸にかけての傷を抑えてうずくまる・・・
まだかなり酷そうだべ・・・窓ではさっきの猫がじーっと覗いてる・・・
「疑って悪かった・・でもなぜここがわかったのだ?」
「そりゃあ・・・ここは狭い村だべ、お侍さんが宝を持ってるって噂はすぐ広がるべ」
「む・・この宿にはおしゃべりがいるようだな・・これはただの宝玉ではない、封印の宝玉だ」
やはり魔物を封じる訳だべか・・・
「拙者は訳あって、魔・・・いや、なんでもない、かたじけなかったな、もう良い」
「わ・・・わかったべ」
「礼は後ほど・・近いうちに大金が入るのでな、この宝玉は元の場所に戻すが、代わりに良い物が手に入る」
・・・きっと、あの黄金のしっぽの事だべ。
「村のものに話すでないぞ!良いな!」
「へえ・・・じゃあオラはこれで・・・」
逃げるように宿を出ると、
外はもう、いつ朝になってもおかしくない明るさだべ。
後ろからはあの猫がついてきて・・・追い抜いたべ、そして砂浜のほうへ・・・
「一応ついていくべか」
猫もオラのほうを振り返って、
ついてくるのを確認して誘導してるみたいだべ。
進んでいくと・・・あの洞窟の中へ入っていった・・オラも入る。
「ここも明るくなってきたべ・・・」
洞窟の隙間から見えていた星はすでに姿を消している・・・
猫は走り出すと、岩場の奥にいたあそ魔物の足元へ突っ込み、
溶けるように、1つの蛇の尻尾みたいな足に変形してくっついた。
「・・・・・ほう、うまくいったようだね」
「ああ、言われた通りにしただ」
チロチロと岩から染み出る水を飲む化け物・・・
「・・・じゃあお礼をあげようかねえ、と言いたいとこだけど、まだ終わってないからねぇ」
「何を・・・だか?」
「・・・今夜、月が一番上に登る頃・・・あの侍はここへ来るのさ」
天井の隙間を見上げる魔物・・・
「どうしてわかるべ?」
「あの宝玉は、月の光りを浴びないと使えないのさ・・・満月か満月に近い月の光りでないとね」
「なるほどだべ・・・それで・・・」
「あの上の隙間から月が姿を見せた時を狙ってやってくるのさ、私を倒しにね・・・」
「で・・・あの偽物を使うと・・どうなるだべ?」
ニタリと笑う魔物・・・背筋が凍るべ。
「観に来るがいいさ・・終わったら・・・褒美をアゲル・・・ふふふ・・・」
そう言って金の尻尾を見せ付ける・・
だども・・・オラはその上の、大きな4つのおっぱいに目が行ってしまうだ・・・
「・・裏切るんじゃないよ・・・」
そう言葉を残し、
魔物は洞窟の奥へ消えて行った・・・
う〜〜〜ん、どっちが正しくてどっちが悪者なのか、
普通に考えればわかりそうなものだべ・・でも・・でも・・・・・
オラは・・・なぜかあの魔物の女に・・・惹きつけられるべ・・・う〜ん・・・
「とにかく、夜中に来るべ・・・漁は休むべな」
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