☆謎の猫☆

 

「にゃあ」

 

ただの猫・・・たべ?

こんなのが関係してる訳・・・

 

「しっ!しっ!」

 

追っ払おうとしても、

目を光らせてついてくるべ・・・

 

「にゃ〜〜〜ごぉ〜〜」

 

早く行け、つってる気が・・・

 

「わかってるだよ!」

 

早足で宿へ急ぐ・・・

外は白々としてきた、

そろそろ夜が明けるべ・・・

 

「・・・・・」

 

勝手口から失敬して・・・

そろーりそろりと・・この部屋だべ・・・

お侍さんはまだ寝て・・・い・・ない?

 

「誰だ!!」

 

キラッ!とオラの目の前に刀が下りる!

 

「ひっ!」

「おぬし・・・盗人か!?」

 

ふすまの陰で待ち構えていたお侍さん・・・

まだ傷は辛そうだけんど、刀を向ける目は真剣だべ。

 

「めめめ・・・めっそうもねえべ!これを・・・取り返してきたんだべ」

 

落とすように宝玉を差し出す。

 

「ぬぬっ!?お主、それをどこで!?」

「りょ、漁をしてたとき、洞窟のそばに落ちていたべ」

「そうか・・やはりあやつの仕業か・・うぐうっ!!」

 

肩から胸にかけての傷を抑えてうずくまる・・・

まだかなり酷そうだべ・・・窓ではさっきの猫がじーっと覗いてる・・・

 

「疑って悪かった・・でもなぜここがわかったのだ?」

「そりゃあ・・・ここは狭い村だべ、お侍さんが宝を持ってるって噂はすぐ広がるべ」

「む・・この宿にはおしゃべりがいるようだな・・これはただの宝玉ではない、封印の宝玉だ」

 

やはり魔物を封じる訳だべか・・・

 

「拙者は訳あって、魔・・・いや、なんでもない、かたじけなかったな、もう良い」

「わ・・・わかったべ」

「礼は後ほど・・近いうちに大金が入るのでな、この宝玉は元の場所に戻すが、代わりに良い物が手に入る」

 

・・・きっと、あの黄金のしっぽの事だべ。

 

「村のものに話すでないぞ!良いな!」

「へえ・・・じゃあオラはこれで・・・」

 

逃げるように宿を出ると、

外はもう、いつ朝になってもおかしくない明るさだべ。

後ろからはあの猫がついてきて・・・追い抜いたべ、そして砂浜のほうへ・・・

 

「一応ついていくべか」

 

猫もオラのほうを振り返って、

ついてくるのを確認して誘導してるみたいだべ。

進んでいくと・・・あの洞窟の中へ入っていった・・オラも入る。

 

「ここも明るくなってきたべ・・・」

 

洞窟の隙間から見えていた星はすでに姿を消している・・・

猫は走り出すと、岩場の奥にいたあそ魔物の足元へ突っ込み、

溶けるように、1つの蛇の尻尾みたいな足に変形してくっついた。

 

「・・・・・ほう、うまくいったようだね」

「ああ、言われた通りにしただ」

 

チロチロと岩から染み出る水を飲む化け物・・・

 

「・・・じゃあお礼をあげようかねえ、と言いたいとこだけど、まだ終わってないからねぇ」

「何を・・・だか?」

「・・・今夜、月が一番上に登る頃・・・あの侍はここへ来るのさ」

 

天井の隙間を見上げる魔物・・・

 

「どうしてわかるべ?」

「あの宝玉は、月の光りを浴びないと使えないのさ・・・満月か満月に近い月の光りでないとね」

「なるほどだべ・・・それで・・・」

「あの上の隙間から月が姿を見せた時を狙ってやってくるのさ、私を倒しにね・・・」

「で・・・あの偽物を使うと・・どうなるだべ?」

 

ニタリと笑う魔物・・・背筋が凍るべ。

 

「観に来るがいいさ・・終わったら・・・褒美をアゲル・・・ふふふ・・・」

 

そう言って金の尻尾を見せ付ける・・

だども・・・オラはその上の、大きな4つのおっぱいに目が行ってしまうだ・・・

 

「・・裏切るんじゃないよ・・・」

 

そう言葉を残し、

魔物は洞窟の奥へ消えて行った・・・

う〜〜〜ん、どっちが正しくてどっちが悪者なのか、

普通に考えればわかりそうなものだべ・・でも・・でも・・・・・

オラは・・・なぜかあの魔物の女に・・・惹きつけられるべ・・・う〜ん・・・

 

「とにかく、夜中に来るべ・・・漁は休むべな」

 

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