
「すっかり日が暮れちまったべな・・・」
パチパチと火をくべると、
その灯りが魔物の背中を映しだす・・・
はらり、と肌着をやぶいて作った包帯がめくれ落ちた。
「やっぱちゃんとした包帯でないといけんのか・・ん?」
傷口がもうほとんど消えちまってる・・・
たまげた・・あれだけ酷い刀傷が・・・さすが魔物だ・・・
「・・・・・」
「・・・・・・・んんっ!?」
ずずっ、ずっ、ずずずっ・・・
少しずつ、体が起き上がって岩場の影から這い出してきた・・・
お、おそろしい化けもの・・・だけんど、まだ傷が治りきってないのか辛そうだべ。
「おっ、お・・おめえさん・・・貝、食うべか?」
「・・・・・」
ギロッ!と蛇のような紅い目が光り、
こちらへずるり、ずるりと這ってくる・・・
に、にに、逃げたほうがよかべか?でも・・・
「や、焼けてるべさ」
「・・・・・・・・・・・」
さし出した貝を長い舌で串ごとペロリと奪うと、
裂けた口で頬張りながら、4本の腕で次々と他の貝も奪う・・・
「そ、その・・・オラ・・・水でも汲んでくるべか?」
「・・・・・お前は侍じゃないのかい?」
喋った!人間の言葉を!!
「あ、ああ、オラはただの漁民だべ、しかも船が恐いから浅瀬で貝ばっかり取ってるべ」
「そうかい・・・そんなに若いのにもったいないねえ」
「若いっていってもオラもう二十五だべ、船にも乗れねえから嫁っころもこなくて・・・」
魔物相手になに世間話してるんだ・・・
「そ、その・・・どうしてこげな目にあったべか?」
「・・・・・お前はあたいが恐くないのかい?」
「い、いや、だって、こげな立派なお社で祭られてるから・・・」
ニヤリと化け物が微笑んだ。
「そうさ、あたいは宝玉と一緒に祭られてたのさ、それをあの侍が宝玉目当てに斬りかかってきてさ」
「やっぱりそうだったべか・・・」
「すっかり体がなまってたから油断しちまってね・・・おかげであやうく死ぬ所だったよ、あんたが助けてくれたのかい?」
「ああ・・・消毒しただけだべ・・・あと包帯も作って・・・」
「酒だねぇ?あたいを助けるには傷口に酒を塗るしかなかったのさ、よく知ってたねえ」
あの状態で消毒できる物は焼酎しかなかったべ・・・
「それで・・・これから、どうするべ?」
「ああ、あの侍には私も大きい怪我をさせたさ、きっと明日にでもトドメをさしに来るはず」
「どうして・・・わかるんだべ?」
「あいつは宝玉だけじゃなく、あたしの足にある黄金のウロコも狙っていたからねぇ」
「黄金・・・?あ、それだべか!」
いくつかある大蛇のしっぽのうち1つが、
金色のうろこで覆われている・・・綺麗・・・ピカピカだぁ。
「お前さんもこれが目当てじゃなかったのかい?」
「めっ、めっそうもねえ!だったら最初から助けたりしねえべ」
「・・・まあいいわ、私を助けてくれるなら、今から言う事をきいてくれるかい?」
体を起こすと紫のおっぱいが4つ揺れている・・・
そんな所を観てちゃあいけねえ!ってその下はどうなってるんだろ・・・
「頼みっていうのは・・・宝玉を取り返してきて欲しいのさ」
「お、お侍さんの所へ行って、おいらが、その・・・奪ってくるのか?」
「ああ、私じゃこの姿じゃあ無理だからね・・・私のお願いをきいてくれるかい?」
・・・暗くてアソコがそうなってるのか、よくわからない・・・
そんな事より、ここまで関わった以上、お願いは聞いてやらねばならねえよな・・・
「できるかどうかわかんねえけど・・・行ってみるべ」
「ああ、お願いするわ・・・宝玉は血より赤い、大きな玉だからね」
「それを・・・奪ってくればいいんだべ?」
「大きさは・・・これくらいね」
「!!」
魔物は乳房の1つを持ち上げて、大きさを示す・・・
あのおっぱいくらいの大きさだべか・・こりゃあわかりやすい。
「今夜中に、探してくるべ」
「楽しみに待ってるからね・・・」
「う、うん・・じゃあもう・・・行くべ」
こうして、逃げるように洞窟を後にしたのだった・・・
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