☆夕日☆

 

「すっかり日が暮れちまったべな・・・」

 

パチパチと火をくべると、

その灯りが魔物の背中を映しだす・・・

はらり、と肌着をやぶいて作った包帯がめくれ落ちた。

 

「やっぱちゃんとした包帯でないといけんのか・・ん?」

 

傷口がもうほとんど消えちまってる・・・

たまげた・・あれだけ酷い刀傷が・・・さすが魔物だ・・・

 

「・・・・・」

「・・・・・・・んんっ!?」

 

ずずっ、ずっ、ずずずっ・・・

 

少しずつ、体が起き上がって岩場の影から這い出してきた・・・

お、おそろしい化けもの・・・だけんど、まだ傷が治りきってないのか辛そうだべ。

 

「おっ、お・・おめえさん・・・貝、食うべか?」

「・・・・・」

 

ギロッ!と蛇のような紅い目が光り、

こちらへずるり、ずるりと這ってくる・・・

に、にに、逃げたほうがよかべか?でも・・・

 

「や、焼けてるべさ」

「・・・・・・・・・・・」

 

さし出した貝を長い舌で串ごとペロリと奪うと、

裂けた口で頬張りながら、4本の腕で次々と他の貝も奪う・・・

 

「そ、その・・・オラ・・・水でも汲んでくるべか?」

「・・・・・お前は侍じゃないのかい?」

 

喋った!人間の言葉を!!

 

「あ、ああ、オラはただの漁民だべ、しかも船が恐いから浅瀬で貝ばっかり取ってるべ」

「そうかい・・・そんなに若いのにもったいないねえ」

「若いっていってもオラもう二十五だべ、船にも乗れねえから嫁っころもこなくて・・・」

 

魔物相手になに世間話してるんだ・・・

 

「そ、その・・・どうしてこげな目にあったべか?」

「・・・・・お前はあたいが恐くないのかい?」

「い、いや、だって、こげな立派なお社で祭られてるから・・・」

 

ニヤリと化け物が微笑んだ。

 

「そうさ、あたいは宝玉と一緒に祭られてたのさ、それをあの侍が宝玉目当てに斬りかかってきてさ」

「やっぱりそうだったべか・・・」

「すっかり体がなまってたから油断しちまってね・・・おかげであやうく死ぬ所だったよ、あんたが助けてくれたのかい?」

「ああ・・・消毒しただけだべ・・・あと包帯も作って・・・」

「酒だねぇ?あたいを助けるには傷口に酒を塗るしかなかったのさ、よく知ってたねえ」

 

あの状態で消毒できる物は焼酎しかなかったべ・・・

 

「それで・・・これから、どうするべ?」

「ああ、あの侍には私も大きい怪我をさせたさ、きっと明日にでもトドメをさしに来るはず」

「どうして・・・わかるんだべ?」

「あいつは宝玉だけじゃなく、あたしの足にある黄金のウロコも狙っていたからねぇ」

「黄金・・・?あ、それだべか!」

 

いくつかある大蛇のしっぽのうち1つが、

金色のうろこで覆われている・・・綺麗・・・ピカピカだぁ。

 

「お前さんもこれが目当てじゃなかったのかい?」

「めっ、めっそうもねえ!だったら最初から助けたりしねえべ」

「・・・まあいいわ、私を助けてくれるなら、今から言う事をきいてくれるかい?」

 

体を起こすと紫のおっぱいが4つ揺れている・・・

そんな所を観てちゃあいけねえ!ってその下はどうなってるんだろ・・・

 

「頼みっていうのは・・・宝玉を取り返してきて欲しいのさ」

「お、お侍さんの所へ行って、おいらが、その・・・奪ってくるのか?」

「ああ、私じゃこの姿じゃあ無理だからね・・・私のお願いをきいてくれるかい?」

 

・・・暗くてアソコがそうなってるのか、よくわからない・・・

そんな事より、ここまで関わった以上、お願いは聞いてやらねばならねえよな・・・

 

「できるかどうかわかんねえけど・・・行ってみるべ」

「ああ、お願いするわ・・・宝玉は血より赤い、大きな玉だからね」

「それを・・・奪ってくればいいんだべ?」

「大きさは・・・これくらいね」

「!!」

 

魔物は乳房の1つを持ち上げて、大きさを示す・・・

あのおっぱいくらいの大きさだべか・・こりゃあわかりやすい。

 

「今夜中に、探してくるべ」

「楽しみに待ってるからね・・・」

「う、うん・・じゃあもう・・・行くべ」

 

こうして、逃げるように洞窟を後にしたのだった・・・

 

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