今日はいよいよ夢と魔法のネズミーランド行きだ!

早起きして歯を磨き、荷物を持って、いざしゅっぱーつ!

エレベーターに乗り込み降りる・・・時間は午前5時20分だな、

駅につくのは30分過ぎ、それからネズミーまでは約1時間だから、

開門の15分前くらいには着くだろう、それから並べば丁度良い時間に・・・

 

雪沙「たのしみだね〜」

雪菜「忘れ物・・ないよね・・・」

雪巳「駅まで走っていきたーい」

僕「心配しなくてもタクシー乗るよ」

雪沙「らくだね〜〜〜」

 

エレベーターを降り、玄関へ・・・あれ?誰かいるぞ?

 

雪巳「あー!雅幸!」

雪菜「なんで・・・いるの」

雅幸「・・・・・ぼくも、行く・・・」

雪沙「なんでしってるの〜〜?」

僕「行くって、どこ行くんだ?」

 

さささっ、と雪菜の方へ詰め寄る雅幸くん。

 

雅幸「僕も・・・ネズミーランド、つれてってよ・・」

雪菜「だめ・・・雅幸、つれていけない・・・」

雅幸「ぼく、ちゃんと、おしえたのに・・・お父さんの・・・」

雪菜「だから・・・お金あげたし・・動物園だって・・・」

雅幸「みんなにあげてたし、みんなと一緒だったもん・・僕だけ・・・」

 

言いたい事はわかるけど、それは我侭だぞ・・・

 

雪巳「雅幸、お手伝いさんじゃないでしょー?」

雪菜「そう・・私たち、遊びに行くんじゃないの・・・」

雪沙「あそぶのがしごとなんだよ〜、だからつれていけないの〜」

 

うーん、言いえて妙な表現だな、

これはおそらく美鈴姉さんが吹き込んだんだろう、

確かに三姉妹は僕のお付きだもんな、一緒に遊ぶ仕事・・・

 

雅幸「だって・・・ネズミーランド行くんだよね・・・」

雪巳「お金いくらか知ってるー?雅幸の入場料は持ってないよー」

雪菜「3人ついていくので・・・いっぱいなの・・もう」

雪沙「さ〜、おに〜ちゃん、も〜いこ〜よ〜」

僕「そうだね・・・雅幸くんごめんね、それじゃあ」

 

出ようとするも、雅幸くんが雪菜ちゃんにしがみつく。

 

雅幸「そのお兄ちゃん、お金いっぱい持ってるんでしょ・・・」

雪菜「だめ・・それは・・・べつ・・はなして・・・」

雪巳「ついてきても入れないよー?」

雅幸「おねえちゃんたちが心配だから・・・ぼくも・・・」

雪沙「も〜、時間なくなっちゃうよ〜」

 

まあ、雅幸くんが納得いかないのも無理は無いだろう、

ネズミーランドへ行ってお手伝い、なんて言っても遊ばない訳ないんだし、

確かに僕のサイフには昨日下ろした9万円ちょっとが入っている。

 

雅幸「・・・ぼくと雪菜おねえちゃん、2人でネズミーランド行こうよ・・ならいいよね・・」

雪菜「だめ・・だめっ・・・」

雪巳「どーしよー?おにーちゃーん」

僕「どうするって、連れて行かないよ、絶対」

雪沙「も〜〜〜!え〜〜い!!」

 

ガスッ!!

 

雅幸「ううっ!!」

 

雪沙ちゃんが、蹴飛ばしたっ!?

 

雪菜「あ・・・」

雪沙「おにぃちゃん、いこ〜」

雪巳「雪菜、いまのうちー」

僕「雅幸くんごめんねー!」

雅幸「ひどい・・ひどいよ・・・」

 

逃げるようにして道路へ行きタクシーに乗り込む!

 

僕「駅まで」

雪菜「ゆきさ・・・けった」

雪沙「ゆきなおねぇちゃん、まさゆきにあまいんだも〜ん」

雪巳「しょうがないよねー」

僕「暴力はいけないよ、蹴るのは」

 

とはいえ時間があるからな・・・

雅幸くん、怨んでるんだろうなー、

本当は怨まれる筋合い無いんだけど、

子供にそういうのは通じないからなー。

でも、雪巳ちゃんの言うとおり、しょうがないよな。

 

 

 

 

 

JRの電車を乗り継ぎ、

ついにネズミーランドへとやってきた!

右へ曲がるとネズミーランド、左がネズミーシーか、

ん?それとは別に何だかネズミーな駅がある?これは?

ネズミーリゾートライン・・・あ、ネズミーで装飾されてるモノレールが出てきた!

 

雪巳「かわいいー!」

雪菜「すごい・・きれい・・」

雪沙「のりたーい!」

僕「でもあれって有料だよな・・・あ!!」

 

手提げリュックから封筒を出す、

ネズミーから貰った・・・あった!これだ!

 

僕「確かこれで乗れるはずだけど・・」

 

ネズミーリゾートトレイン1日乗車券4枚、

みんなに配って改札をくぐりモノレールに乗る。

 

雪沙「わ〜い、窓がネズミーさんだ〜」

雪菜「つり革も、ネズミー・・・」

雪巳「椅子もだよー、すごいすごーい」

僕「本当にすごいな、随分とお金かかってる・・・」

雪沙「ここすわろ〜」

 

ソファー風の椅子にもたれる、

窓の外にはネズミーランドとネズミーシーが広がっている・・・

僕も物凄くワクワクしてきた、今日ばかりは雪巳ちゃんくらいの年齢に戻りたい。

 

雪巳「ほんとにきちゃったー」

雪菜「ゆめみたい・・です」

雪沙「ひとがいっぱ〜い」

僕「あ、もうついちゃうのか・・降りよう」

 

あっという間にネズミーランド前駅へ到着した。

 

僕「引換券の列、結構あるなあ」

雪巳「10分くらいで済むかなー?」

雪菜「いま・・・6時41分です・・・」

雪沙「さくせんかえる〜?」

僕「ううん、チケット引き換えは僕がやっておくから、雪巳ちゃんたちは門に並んでて」

 

三姉妹は門のほうへ、僕は引き換えブースへ・・・

ちゃんと持ってきてるよな・・うん、ある、夕べ5回くらい確認したもんな。

列がじわりじわりと進んでいく、これなら間に合いそう・・・そりゃそうだ、

入場券販売&パスポート引き換えブースは全部で100くらいありそうだもん、

逆に1つの列でこれだけ並んでるってことは、相当な人数ってことだな、さすが夏休み・・・

 

 

 

正式な入場券を引き換え、本日用ガイドブックを貰いブースを離れる、

雪巳ちゃんたちが走っていった方の門へ・・どこだろう?・・・あ、いたいたいた!

 

雪沙「ね〜、あれ〜〜」

雪菜「ほんと・・・ネズミーさんたち・・・」

雪巳「もう出てきちゃったねー」

僕「ふう、間に合った・・・はい、パスポート」

雪沙「おにぃちゃ〜ん、あれ見て〜」

 

門の向こうではネズミーやミミーたちが愛想を振りまいてる!

 

僕「へえ・・・まだ5分前なのに」

雪沙「はやくはいりた〜い」

雪菜「入ってすぐ・・・ネズミーさんに会えるんだね・・・」

雪巳「えー、ネズミーさんと会ってたら作戦ができないよー」

僕「そうだよな、開門とともにダッシュしないと」

 

そう考えると開門とともにこの入り口広場にいるネズミーさんたちは、

走って思い思いのアトラクションへ急ごうとする人たちへのトラップなのかも知れない、

我先に人気の乗り物へ急ぐ人を少しでも足止めするための・・・うーん、

夢と魔法の国にしては、ちょっと卑怯かも?僕の考えすぎかな?

でも、ダッシュして乗り物行きたいのに子供がネズミーへ一直線に走ったら、逆らえないよな・・・

 

僕「あのネズミーさん、開門と同時に子供にたかられるんだろうな、大変そう・・・」

雪巳「ゆきさー、ネズミーさんのとこへ飛び込んじゃだめだよー」

雪沙「わかってるよ〜、ネズミーさんに会える家が他にあるからいいよ〜」

雪菜「私・・・走るの苦手だけど・・がんばる・・・」

僕「うん、雪菜ちゃんたちはそんなに急がなくても大丈夫だから」

 

さあ、もう午前7時になる!まずはみんなパスポートを1枚ずつ持って・・・

 

僕「開いた!」

雪巳「進んでるー」

雪菜「すごい・・足音・・・」

雪沙「あ〜、あそこの人、こけてる〜〜」

僕「みんなも転ばないようにするんだよ!!」

 

まずは僕が先頭になってゲートをくぐる!

続いて雪菜ちゃんがおっかなびっくりパスポートを入れて通る!

さらに雪沙ちゃん・・・2人のパスポートとリュックを僕が受け取る!

 

僕「怪我しないようにね!」

雪菜「うん・・・」

雪沙「は〜〜〜い」

 

駆けて行く2人!

最後に雪巳ちゃんがゲートをくぐり僕にリュックを渡し、

僕は3人分のパスポートを雪巳ちゃんに素早く渡した!

 

僕「がんばれ〜〜〜」

雪巳「お兄ちゃんもねーーー!」

 

あっという間に遥か彼方へ・・・

僕も急ごう!早くしないと埋まってしまう!!

子供にたかられるネズミーさんを尻目に僕が駆け込んだ場所は、そう!

 

僕「コインロッカーだ!!」

 

大きいのは次々と埋まっていってる!

僕も早く取らないと・・・4人分のリュックを抱えながら突っ込む!

よし、ここ取った!素早く入れて500円玉を入れ、鍵を抜く!!

間に合った、コインロッカーは多いとはいえ限られた数しかない、

朝を逃すとあっという間に全て埋まってしまう・・中には空のままお金を入れて鍵を抜く人も・・

ああして取っておけば、後になってお土産を入れる事ができるもんな、お金は倍かかるけど。

 

僕「さあ、次だ!!」

 

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