今日は海の日、明日はいよいよネズミーランドだ!

本当ならワクワクしてるはずなんだけど、朝から心が重い。

児童相談所の人がやってくる・・・いや、もちろん雪巳ちゃんたちのために来るんだけど、

もし「ここには置いておけない」って事になったら、三人とも連れて行かれてしまうだろう、

せっかくこんなにかわいい同居人、メイドさんが出来たのに・・・夏休みが終るまでは正直、離したくない。

 

雪巳「ねーねー、フルーチェ作ったよー」

僕「えっ?あ、ありがとう、3時のおやつか」

雪沙「3時37分のおやつだよ〜」

僕「そうだね、あと20分か・・・」

雪菜「・・・・・つめたくて・・おいしい」

 

ガチャッ

 

美鈴「暑いわね〜〜」

僕「美鈴ねえさん!」

雪巳「こんにちわー」

雪菜「よかった・・・まにあって」

雪沙「わ〜〜、いらっしゃ〜〜い」

僕「ごめんなさい、せっかくの祝日なのに」

美鈴「いいのよ、弟クンの大ピンチだもの。嫌よ?明日のニュースに出るの」

僕「そんな!僕そんなこと、してません!」

美鈴「冗談よ、じょ・う・だ・ん。これくらいで慌ててたら相談所の職員に不審がられるわよ?」

僕「は、はい・・・」

雪巳「おねーさんのフルーチェ持ってくるねー」

美鈴「あら、ありがとう。冷たい飲み物も欲しいわ」

雪菜「はい・・・麦茶です」

美鈴「気が利くわねー・・・ありがと」

雪沙「ね〜ね〜、昨日フリーマーケット行ってきたの〜〜」

美鈴「よかったわねー・・あ、弟クン!」

僕「はい?」

美鈴「管理人さん呼んできて、来客用の居間へ。雛塚家についての重要証言者だから」

僕「わ、わっかりました・・・」

美鈴「ほら、急いで!!」

 

 

 

言われた通り、管理人さんを呼んできた。

雪巳ちゃんが麦茶を運ぶ・・・置いてすぐ引っ込む、

きっとまた美鈴ねえさんと作戦会議を練っているのだろう。

 

管理人「あの子たち、大変でしょう、面倒見るの」

僕「え?ええ、まあ・・」

管理人「あの雛塚さんの子供ですからねえ」

僕「はは・・・でも女の子だから、そんなに凶暴じゃないですよ」

管理人「女の子だからこそ大変でしょう、色々と」

 

ぴんぽ〜〜ん

 

きたあああああああああああああああああああああああ!!!

 

たたたたた・・・

 

廊下を駆けて玄関へ行く足音、これは雪沙ちゃん!

 

雪沙「は〜〜い・・・あけま〜〜す」

 

とたとたとたとたとた・・・

 

雪沙「おにぃちゃ〜ん、そ〜だんしょだよ〜、もうくるよ〜」

僕「うん、わかった」

 

いよいよだ・・・

僕は立ち上がって玄関へ・・・

 

美鈴「弟クンはここで待ってなさい」

僕「え?はい・・・」

 

義姉さんと三姉妹で玄関へ迎えに行く、

僕は客間で管理人さんと待つ・・そして・・・

 

職員女「しばらくぶりですー」

職員男「失礼致します」

僕「はい・・・」

 

軽く会釈・・・

座った職員に麦茶を注ぐ雪沙ちゃん。

 

職員女「えらいわねえー」

雪沙「えへへ〜〜」

職員男「急にお伺いして申し訳ありません」

僕「いえいえ・・・」

管理人「何かあったんですかい?」

美鈴「あら管理人さん、何かあったかどうかを伺いにらしたんですわ、きっと」

職員女「ええ、それもありますが・・」

職員男「えっと、雪巳ちゃん、雪菜ちゃん、雪沙ちゃん、でしたよね」

 

ノートを取り出して確認してる、

エンピツも取り出して・・・いよいよチェックが始まるのか。

 

雪巳「そうですー」

雪菜「はい・・・」

雪沙「ゆきさだよ〜〜」

 

駄目だ、ドキドキドキドキしてきたぁ!!

 

職員女「雪巳ちゃん、ここでの生活はどう?」

雪巳「すごくいいよー、お布団も新しいの買ってもらったしー」

職員男「買ってもらったんだ、お部屋は?」

雪巳「お部屋は三人一緒だけどー、私たちがそれでいいって言ったのー」

美鈴「逆に3人いた方が落ち着くのよね?」

雪巳「うんー」

 

何だか汗が出てきたぞ、

何でもないはずなのに・・うろたえるな僕!

 

職員男「食事はどうしてるの?雪菜ちゃん」

雪菜「三人で、交代して、作って、ます」

職員女「この前私たちと会った時から、今でも?」

雪菜「はい、たくさん、たべて、ます」

美鈴「育ち盛りだものねーー」

 

大丈夫だ、きっと大丈夫だ・・・

 

職員女「雪沙ちゃん、お風呂、ちゃんと入れてもらってる?」

雪沙「うん〜、入れてもらってるよ〜〜」

 

どっきぃい!!

 

管理人「えっ、このお兄ちゃんに入れてもらっているのかい?」

雪沙「ん〜ん、雪菜おねぇちゃんに〜」

雪菜「背中、ベビーパウダーつけてあげてる、です・・・」

雪巳「わたしもつけてあげてるよー」

美鈴「もう、管理人さんったら・・・おほほほほ」

 

・・・・・ふう、心臓に悪い・・・

 

雪沙「さんにんで入ることが多いよ〜」

雪菜「そうしないと・・お兄ちゃんが、好きなときに入れない・・・」

雪巳「お兄ちゃんが入りたい時に入る邪魔しないよーにしてるのー」

職員女「まあ、えらいわねー、気を使って」

職員男「かち合ったりしたら困るでしょう」

僕「そうですね、ですからお風呂の時はちゃんと入る前と出た後に報告し合うように・・・」

 

よかった、うまく口止めされてる、

そうだよな、一緒にお風呂入ってるのバレたら一発で疑われる・・・

 

美鈴「この子たちも弟も、その辺はデリケートですから」

管理人「でも雪沙ちゃんくらいの子なら一緒にお風呂入っても平気でしょうに」

職員男「・・・この子たちに色々と買ってあげているんですか?」

僕「ええ、夏休みの間って言っても結構期間がありますから、服を・・美鈴ねえさんが」

美鈴「私が選んであげました、弟クンはこの前、動物園連れていってあげたのよねー?」

雪沙「そうだ〜〜みてみて〜〜〜」

 

とたとたとた、と部屋を出て、画用紙を持って戻ってきた!

 

職員女「これは・・・たぬき?」

管理人「キツネじゃないですかい?」

職員男「アライグマ・・・かな?」

雪沙「れっさ〜ぱんだだよ〜」

美鈴「言われてみたらそうね〜〜」

 

まあ、確かに一発で当てるのは大変そうだ。

 

僕「夏休みの宿題で写生が必要だっていうんで・・・」

雪菜「昨日は・・フリーマーケット連れていってもらったの・・・」

雪巳「明日はネズミーランドいくんだよーー」

職員女「わー、それは楽しみねーー」

職員男「お金もかかるでしょう」

僕「はは、僕も楽しみにしてますから」

美鈴「弟クンは金銭的に相当余裕があるから大丈夫ですわ」

管理人「じゃあ、おじちゃんもどこか連れてってあげようか」

 

なぜそこで管理人さんが出てくる!!

 

職員女「・・・三人とも問題なく預かっていただいてるようですね」

雪巳「でもねー、下で本当のお兄ちゃんに会うといじめられるのー」

雪菜「・・・でも、これ買ってもらったから・・・」

職員男「それは防犯ブザーですね、いつも持ち歩いてるのかな?」

雪沙「おでかけのときはいつも〜〜」

管理人「何かあれば、おじちゃんも呼ぶんだよ」

 

だから何で管理人が!!

 

職員女「・・・大体わかりました、で、雪巳ちゃん、雪菜ちゃん、雪沙ちゃん」

雪巳「はーい」

雪菜「はい・・・」

雪沙「は〜〜い?」

職員女「ここに、これからも、住んでいたい?」

雪巳「うんっ♪」

雪菜「すみたい、です」

雪沙「うん〜〜〜♪」

 

本当によどみのない、屈託の無い笑顔で目を輝かせる三姉妹、

その透き通る瞳に嘘偽りが無い事を職員の女性は感じ取ったようだ。

 

管理人「でも三人は大変でしょう・・どうだい、おじちゃんの所へ誰か来るかい?」

 

一瞬にして表情が険しくなる三姉妹!

このおっさん・・・管理人、実は狙っていたのか!?

 

職員男「彼女たちはここがいいようですね・・わかりました」

職員女「それでですね、あとは・・」

美鈴「あ、弟クン、雪巳ちゃんたち、もういいわ、部屋で遊んでなさい」

僕「え?もう、いいんですか?」

管理人「じゃあ、私もこのへんで・・・」

美鈴「いえ、ここからが管理人さんの出番ですから・・・ほらほら、もういいわよ」

 

客間を追い出される・・・

しっかり挨拶して部屋を出る僕と三姉妹。

そして部屋に戻った・・・ふう、緊張したぁ〜〜〜

 

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