・・・・・ジリリリリリリリリリリリ・・・
けたたましい目覚まし時計の音、
朝7時・・・なんでこんなに早くセットしたんだ?
学校は11時からだから9時起きとかでいいのに・・・
寝なおそうかな、それとも何か予定あったっけ・・・
いいや、とりあえず朝刊でも取りに行くか・・・
・・・・・ん?玄関に見慣れない小さな靴が3つ・・・
・・・・・・・・ああっ、そうだ、思い出した!そういえば!
慌てて夕べ寝かせた部屋へ行く、きっとまだ熟睡中・・・やっぱり!
僕「ほら、朝だよ、起きて起きて!!」
雪巳「・・・・・んーっ」
雪菜「・・・・・・あ・・・さ?」
雪沙「・・・・・・・・・・ん・・」
僕「早く!家に帰らないと!起きて!」
強い口調に目を覚ましはじめる少女たち、
もうちょっと強引にいった方がいいかも・・・よしっ!
僕「布団はがすよっ!」
ガバッ!!
豪快に掛け布団をひっぺがす!
僕「・・・うわっ!」
その中を見た瞬間、目がピンクに染まった!
服が・・・シャツや下着が乱れて・・・なんて恥ずかしい・・
半裸状態の少女が3人・・・って顔を赤くしてる場合じゃない!
僕「起きて学校の準備しないと!ほらほらほら!」
雪巳「ん・・・もっと寝るぅー」
雪菜「・・・・何時・・・?」
雪沙「・・・・・・・・・・」
僕「もう7時回ってるよっ!」
むくり、むくりと起き出す雪巳、雪菜ちゃん。
雪巳「え・・・ええーーー!?」
雪菜「間に合わなかった・・・」
僕「え?間に合わないって・・・学校!?」
雪巳「ごはんーーーーーっっ!!」
雪菜「朝ごはん、7時にはもう全部なくなっちゃうの・・・」
そうだったんだ・・・それは悪いことしちゃったな。
僕「学校は?」
雪巳「まだ全然平気だけどー」
雪菜「ゆきさ!ゆ・き・さ!」
雪沙「んん〜〜〜・・・」
僕「・・・じゃあ、トーストで良かったら食べていく?」
目を輝かせる2人。
雪巳「いいんですかーーー?」
雪菜「嬉しい・・・」
僕「うん、待っててね、仕度するから」
雪沙「・・・んん・・眠い〜〜」
・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・高速で作り終え、さあ朝食だ。
雪巳「いっただっきまーす!」
雪菜「ブルーベリーおいしい・・・」
雪沙「ハムマヨハムマヨハムマヨネーズうう〜〜〜!!」
僕「はは、すごいな・・・」
焼きあがったばかりのトーストをすごい勢いで食べ始める3人、
雪巳ちゃんはバターや蜂蜜つけて、雪菜ちゃんはジャムをいっぱい並べて、
雪沙ちゃんは冷蔵庫にあったハムとマヨネーズをこれでもかと挟んで・・・
みんな飢えてるんだな、2リットルのオレンジジュースもすぐに無くなりそうだ。
本当だったらサラダとかも出してあげたいけど・・これぐらいの子供には絶対必要だろうな。
僕「もっと焼いた方がいいな・・・」
雪巳「お兄さんは食べないのー?」
雪菜「あ・・・私、焼きます・・・」
雪沙「ハムもっとない〜?もっと〜〜」
僕「えっとハム・・・ベーコンならあるけど」
一人暮らしにしてはそれなりに入ってた冷蔵庫がゴッソリ減って行く、
3人の少女でこんなんだから雛塚家の日常はどんなに恐ろしい物だろうか?
これだけ痩せてるんだ、それはそれは想像以上の戦場に違いない、だって・・・
雪巳「ゆきさー!お塩そんなにかけないのー!」
雪菜「私のたべかけまで・・・私の・・なのに・・・」
雪沙「だってゆきみおねぇちゃんも私のとったも〜ん!」
僕「ちょ、ちょっと、そんなにちらかさないで、こぼれすぎだよ・・・」
食べ散らかす3人、まあ雪菜ちゃんはまだましな方だけど・・・
こういうのを見るとやっぱり子供なんだな、と思う、でも子供すぎやしないか?
雪沙ちゃんなんて、しつけとかの部分でも見かけと同じ2歳くらい幼いような・・・
僕「はは、まあいいや、僕の分も食べていいから、僕は後でまたゆっくり作るよ」
雪巳「ありがとーーー」
雪菜「そんな・・・・・ありがとう」
雪沙「おいしぃ〜!マヨネーズもう一本ない〜?」
あーあ、シャツやパジャマが汚れまくってる・・・
それにしても、なんていうか、きわどいなあ、太ももとか・・・
小6中1でもじゅうぶん、なんていうか「幼い色気」を感じる、胸元も・・・
僕「あ、もう7時50分だよ、準備とか間に合う?」
雪巳「ええーーー!?もう行かなきゃー!」
雪菜「ごちそう・・さまでした・・・」
雪沙「もう〜?じゃ〜、パンもうひとつもらってく〜」
僕「あ、うん・・・じゃあ、僕の貸してるシャツは着替えた方がいいね」
どたどたと台所から部屋へ戻る雪巳、雪菜ちゃん、
着替える必要のないパジャマの雪沙ちゃんはジュースを最後の一滴まで飲み干している、
あの小さな体によくこれだけ入るな、子供って結構無理しても食べられるからなあ・・・
それにしても食卓のこのちらかり様・・まあ、にぎやかでいいけど、掃除に時間かかっちゃうな、
雛塚家が掃除しきれないはずだ、あの室内、尋常じゃなかった、あのむせる匂いといい・・・・・
・・・
雪巳「お兄さんどうもありがとーーー」
雪菜「お世話に・・・なりました・・・」
雪沙「もぐもぐ、もぐもぐもぐ」
玄関で夕べの格好に戻った3人を見送る僕。
僕「うん・・君たちのお母さんにはちゃんと話とくから」
雪巳「えー・・・」
雪菜「そう・・・です・・よね」
雪沙「もぐもぐもぐもぐもぐ・・・・・」
僕「大丈夫、何かあったら僕が責任もつから」
そう、子供の責任は大人のものなはずだから・・・
雪巳「じゃーねー、ばいばーい」
雪菜「それじゃあ・・・さようなら」
雪沙「んぐむむむ、むむむ〜〜〜!!」
手を振ってバイバイする・・・
雪沙ちゃん、最後まで物たべてたなあ・・・
さあて、掃除しなきゃ、嵐の後の大掃除だ。
僕「・・・・・やっぱり、脱ぎ散らかしてある・・・」
貸した僕のシャツがそのまま脱いであるのはもちろんのこと、
TVゲームも本もお菓子ジュースコップも、そのままで散らかっている、
台所の掃除もあるし風呂場も・・・もし自分が雛塚家の掃除を頼まれたらと思うとゾッとする。
女の子でこれだ、もし来てたのが3人とも男の子だったらこんなもんじゃ済まなかっただろう、
大学へ行く時間までに何とか出来る部分まで掃除しよう、食べ散らかしなんて念入りに取らないと・・・
・・・
・・・
・・・
大学の帰り、バイクでマンションに戻る、
裏で管理人が誰かともめている、荒い声をあげて・・・
あの太った低い声のおばさん、見かけはジャイアンのママと
プロレスラーのミスター・ポーゴをたしたような、そんな感じの・・・
あれは間違いなく、マンションいちの問題世帯・雛塚家のゴッドマザーだ。

雛塚母「なによ!捨ててある物だからいいじゃないの!」
管理人「ですから資源として出してある古雑誌は不要物といえどマンションの所有物に・・」
雛塚母「マンションのものならマンションに住んでる私のものでもあるんでしょ!?」
管理人「古新聞を出した時点でマンションの持ち物であって住人の持ち物には・・・」
雛塚母「別に誰も困らないでしょ?ちょっと読みたいだけじゃないの!!」
あいかわらずだなあ、あのおばさんが管理人と揉めない日は無いくらいだ。
管理人「でしたらせめて家賃をちゃんと払ってくださいよ」
雛塚母「なにいっ!?家賃滞納者は人権が無いとでもいうの?」
管理人「そこまで言ってないでしょう!!」
雛塚母「ちょっとみなさーん!ここのマンションの管理人は人種差別しますよー!!」
管理人「そういう問題じゃないでしょう!!」
駄目だ、ああいうおばさんには「理屈」というものは通用しない、
非をまったく認めようとしないのだから、いくら理路整然と注意しても無駄だ。
・・・本当なら僕は関わらないスタンスなんだけど、夕べの事情があるし・・・よし。
僕「あの、どうしたんですか?」
管理人「オーナー!!」
雛塚母「ちょっとアンタ、このジジイを今すぐクビにして!」
僕「そんな無茶な・・・」
雛塚母「私が間違って捨てた本を戻そうとしただけで泥棒呼ばわりするのよ?」
管理人「何言ってんだ!あんたのじゃないだろ!」
雛塚母「証拠は!?」
うーん、こんな化け物(失礼)から本当にあの可愛い姉妹が産まれたのか・・・
僕「とにかくここは他の人に迷惑になりますから、あらためて!」
管理人「いいや、今日こそははっきり言わせてもらう!」
雛塚母「雇われ人のアンタに何がわかるっていうのよ!!」
僕「・・・あれ?駐輪場で何かやってる」
管理人「え?・・・あ、あいつら、また自転車勝手に!!」
雛塚家の3悪兄弟がまた悪さをしてるみたいだ、
管理人が慌てて向かっていく、それをニヤニヤ見てるビッグマザー。
管理人「こらー!お前らまた人のをーー!!」
まったくあの3兄弟はどうしようもない・・・
高校・中学でもいつも問題起こしてるらしいし何よりこのマンションでも・・・
雛塚母「まったく、うちの広幸と彦幸と信幸はイタズラ好きで困るわねぇ」
僕「そんな他人事みたいに!!」
雛塚母「あら、子供のイタズラに腹たてる気?大人げないわね」
あいかわらずこんな調子だ・・・そ、そうだ、用件、用件!
僕「あの、ゆ、ゆうべ、雛塚さんところの娘さん・・・」
雛塚母「なによ?雪香(ゆきか)がまた何かしたっていうの?」
僕「え?えっと・・いえ、その娘さんじゃなく、えっと、雪巳ちゃんとか・・・」
雛塚母「雪巳?雪巳がどうしたっていうのよ!」
僕「いえその、ゆうべ、外で寝てたから・・・」
頭ごなしに怒鳴られると、こっちが悪いみたいだ。
雛塚母「誰がどこで寝ようが勝手じゃないの!」
僕「いや、その・・・」
うーん、これは言い方を間違えれば大変な事になりそうだ。
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